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勇者、桜木春人の決断

桜木君は何を言うつもりなのかな?どこか思い詰めた表情から強い決意に満ちた表情になっているわ。


「茜、確認するが、どこで分身体を作るつもりなんだ?」


「テルミア王国王都から少し離れた森の中で作るわ。私自身は、クラスのみんなと会うつもりはないわ」


「やっぱりな。それなら、ここで言っておいた方が良い。-----茜、俺を神族にしてくれないか?」


全員「はああぁぁぁぁぁ!?」


「ちょっと春人、自分が何を言っているのかわかってるの?」

「そうだぞ。神族になるという事は、地球に帰れないんだぞ!」


美香や義輝君の言う通りだ!何を考えているんだろうか?


「もちろん理解している。でもな、茜がいなくなって、クラス全員に自分の想いを曝露したせいか、茜への想いがどんどん強くなっていった。茜の分身ではなく、本体と一緒にいたいと思ったのさ!」


「はあ!?」


ええ!私と一緒にいたい!?


「はあ〜あんたね〜、茜がいなくった時といい、今回といい、突拍子も無い事をするわね。そこまでするなら、今この場で言っちゃいなさい!」


え、言うって、まさか!?


「ああ、そのつもりだ。茜!」

「は、はい!」


し、心臓がドキドキしてきた!?


「----好きだ!俺と付き合ってくれないか!」


!告白されたーーー!!!

は!きちんと返事をしなくては----春人君の目を見て、真剣に言おう。


「--------春人君と離れ離れになって、ようやく自分のこの想いが、なんなのか理解しました。あ、あ、あの私も春人君の事が-----好きです」


言った、言ってしまった。

目が泳ぎながら、告白してしまった。


「おおおおーーー、茜もようやくわかったんだ〜〜!これで2人は恋人同士だね!」


「ようやく---ですね」


私と春人君が------こ、恋人!


「はあーー良かった〜〜〜茜、ありがとう。振られたら、どうしようかと思ったよ」


「振られるわけないじゃん!私がどんな思いで、あんたらを見てたかわかる?お互い両想いなのはわかってたからね。それとなく気付けるように話題を振ったりしていたんだから!」


「そうですよ。私と美香も、春人君と茜、お互いを意識させるのに苦労しました」


「え、そうだったの!」


『コンタクトレンズに変えたらどう?』とか言われたりはしたけど、春人君を意識させるためだったのか。


「茜、これから宜しくな!」

「あ、はい!」


うーん、我ながらぎこちない。


「おー、告白を間近で見たのは初めてです。サリア様は言われた事ないですよね?」


「そもそも、地上に降りれない時点で、告白されるわけないでしょうが!サーシャが、あそこまで慌てるのは初めて見たわ」


「お姉様とハルトさん、お似合いの関係です」

「サーシャ様の恋人が勇者か〜。私は良いと思うな?ジンはどう?」

「俺も、ハルトなら信頼出来るな」



あ、春人君を神族化させるとなると、分身も必要になるわね。



「春人君、神族になってもいいの?分身スキルを作れば、分身を通して地球の事がわかるけど、直接触れ合えないわよ?」


「ああ、それも承知しているよ。地球の方は、分身に任せれば良いさ。俺は本体の茜と一緒にいたいからな」


「------その----ありがとう」


こうもはっきり言われると、凄く照れます。


「---サーシャとハルトを見ると、昔を思い出すわね」

「そうだな。俺も佐江にプロポーズしたからな」


プロポーズか---いつか言われたいな。



○○○



春人君を神族化するにあたって、ステータスをどう変化させるか悩んだ。私のステータスの平均は約10億だ。春人君は、私の加護者でもある。その場合、ステータスに関しては、私の1/10までなら自由に設定可能だ。どうせ神族になるのだから、MAXの1億に設定してあげよう。


「それじゃあ、ステータスを1億に設定して神族化させるわね」

全員「1億!!!」


「茜、1億に設定する必要あるんですか?」


「夕実、現在の私のステータスの平均は、10 億なの。加護者のステータスを自由に弄れるんだけど、私の強さの1/10までが限界なのよ。だから、限界の1億にしようかと思ったんだけど?」


「サーシャ、あんた10億もあるの!管理世界で私と出会った当初より、数倍も上がっているじゃない!」


周りを見渡すと、全員引いている。


「仕方ないじゃない。デモゴルゴンのステータス数値や称号、スキル全部を強奪したせいで、1レベル上がる毎に全ての数値がかなり上昇するのよ。邪王を討伐した時に入る経験値を全部私が貰ったせいで大幅にレベルが上がって、最終的に10億になったの」


「呆れた数値ね。スフィアでも異世界間を渡る際は、管理世界にある1人用の異世界船に乗って出て行ったけど、今のあなたなら生身の状態でも異世界間を自在に動けるんじゃないの?」


「多分、出来るわ。美香達を地球に送還する時、テルミア王国の召喚魔法陣を管理システムを通して解析する事で地球の座標も覚えれるから、異世界間の転移も可能になるわね。サリアやテイル、佐江さんと努さんを地球に連れて行く事も可能よ」


「「「「マジで!!!」」」」


4人とも、心底驚いているわね。


「サーシャ、私達も帰れるのですか!」

「はい、帰れます。ただし帰れるだけで、神族化は治りませんよ」


「いえ、それだけでも十分です。私と努が召喚されたのは1990年なんですが、現在は西暦何年なんですか?」


「2016年です。私達は5月16日にスフィアタリアへ召喚されましたから、現在は7月の終わり頃だと思います」


2016年と言うと、佐江さんも努さんも目を見開いた。


「「2016年!」」


「あれから、たった26年しか経過していないんですね。それなら、まだ間に合います。一度お互いの両親にきちんと言っておきたいんです」


「サーシャ、時間がある時で構わないから、一度地球へ連れて行ってくれないか?」


スフィアタリアでは数百年経過していても、地球ではたった26年か。システムマニュアルスキルによると、時間の流れは地球とスフィアタリア間で同じなのよね。おそらく召喚される時だけ、地球の時間の流れに一時的に関与し、過去・現在・未来の中からスフィアタリアを救ってくれそうなメンバーを探し出しんじゃないかな?


佐江さんと努にも両親がいるのだから、会わせてあげたいわね。26年程度なら、まだ生きている可能性があるわ。早めに連れて行ってあげましょう。


「もちろん、構いませんよ。ただ、各国に謝罪行脚が終わってからになりますが良いですか?」


「ああ、それで構わない」

「サーシャ、ありがとう」


喜んでくれて良かったわ。


「サーシャ、その時は私も付いて行くわよ。地球の食べ物を是非堪能したいわ」

「サーシャ様、テイルも行きたいです!」

「お姉様!私も行きたいです!」

「「サーシャ様、従者の私達は当然付いて行きますから」」


ここは許可してあげないとね。


「アイリス以外、いいわよ」

「そんなーーーー」

「「「「やったーーーー」」」」


アイリスが跪いて奈落の底に突き落とされたかのような表情をしているわ。フォローしてあげないとね。


「アイリスの場合、エレノア様の許可が貰えたら、連れて行ってあげるわ」

「本当ですか!絶対、許可を貰えるように説得します」


一気に表情が明るくなったわね。


「春人君、話がズレちゃったわね。1億で、神族化するわね?」

「もう、それで構わないよ」


さて、いよいよ神族化だ。これで1億になったら、私は春人君と一緒に同じ時を歩んでいけるのね。私は、人の人生を左右する程の力を手に入れたんだね。改めて、自分の力の大きさを痛感するわね。これからは、もっと強い責任を持って行動していこう。

----よし、これで終了だ。


「春人君、終わったわ。身体の状態はどうかな?」


「----なんか、異様に力が上がったのがわかる。戦いの時は注意しておかないとな。加減を間違えたらアウトだ」


「落ち着いたら、デモゴルゴンが封じられていた異世界で訓練すれば良いわ。あそこなら、全く問題ないから」


「ああ、わかった」


「ふーん、もう終わったんだ?見た目は、全く変化していないわね」

「もっと筋肉隆々な人に変化するものと思ってましたね」


美香、夕実、変化するのは魂で、身体には何も起こらないわよ。


「これで神族化が終了したから、次は分身ね。今日はここに泊まらせて貰って、明日の朝、テルミア王国王都入口に転移させる時に分身体を作るわ。私達本体とは、そこでお別れにしましょう。転移後、美香達は分身達と一緒に王城に向かってね」


「うーーーーん、全然、お別れの感覚がないんだけど?分身体も、本体と繋がっているから茜と春人なのよね?」


「もちろんよ。私と春人君も共有しているから、完全なお別れというわけではないわ」


「変な感じだな。義輝、普通なら最後のお別れだから、号泣するシーンだよな?」


「ああ、そのはずなんだが、微妙な感覚だ。明日別れる時、どう言って別れるか言葉が思い浮かばん」


まあ、その気持ちはわかるわ。

逆の立場なら、私だって戸惑うもの。


「皆さん、お別れに関しては明日にして、サーシャとサリア以外の人達はゆっくりと休んで下さい。これからディザイグが邪王を討伐した事をシルフィーユ王国全体に通信してもらいますから、通信終了後はお祭り状態になるはずです。そのお祭りに参加して、最後のスフィアタリアの夜を楽しみましょう。サーシャとサリアは、先に邪王システムの排除をお願いします。それが終わり次第、各国のトップ達や各属性の精霊王達と通信してもらいます。その方達に今回の独断専行の件をきちんと謝って、今後訪問する事を伝えて下さい」



ああ、やっぱり謝罪は必要よね。各国のトップ達に一切相談せず、各属性の精霊王達にも一切会わず、より強力な神剣を作っちゃたからな〜〜。


邪王システムに関しては、すぐ出来るわ。

ただ------



「邪王システムを見た限り、邪族達は人の負の感情で生まれたりもしますが、自分達で交配して種を増やす事も可能なので、排除するのは邪王と邪王直属のSクラス邪族だけにしておきます。現在のスフィアタリアは、邪族の一部を食料にしています。全てを排除すると、国家間のバランスが大きく崩れて、食糧危機に発展しますからね」


「-----確かにそうですね。サーシャ、それで排除をお願いします」

「わかりました」




善は急げという事で、私とサリアは管理世界に戻り、邪王と邪王直属のSクラスだけを完全消滅させた。今後の邪王システムをどう改良するかサリアと相談してから、シルフィーユ王都に戻った。全員に邪王を完全消滅させた事を伝えると、国王や王妃、美香達は凄く喜んでくれた。これで美香達の任務は、完全に終了したわけだ。



その後、ディザイグ国王がシルフィーユ王国全体に、【勇者ハルトが邪王を討伐した。その後、新たに降り立った女神サーシャとサリアが、邪王を完全消滅させたため、もう2度と蘇ることはない。ただし、邪族の一部は我々の食料にもなっていることから、邪族だけは消滅していないので、今後の邪族の行動だけは注意しておくように】と言い切った後、王都全体が大歓声で揺れた。邪族の目的は人類の魂を邪王に注ぐ事なのだが、その邪王が完全消滅したのだ。つまり国民全員が、今後邪族の勢いは大きく減少する事を理解して、大歓声に到ったというわけだ。


国王の発表後、王都ではお祭りが開催された。そこに勇者一行や聖女アイリス、女神の従者2人が参加した事で、さらに盛り上がった。


しかし、私とサリアだけは、祭りに参加出来なかった。各国のトップ達と各属性の精霊王達と映像付きの通信を行い、私が女神に到った経緯やサリアが抱えていたデモゴルゴン・スフィア・悪魔召喚などの事情をきちんと説明してから、全員に謝罪しました。この際、誠心誠意の謝罪といえば土下座しかないと思いサリアを説得し、【土下座謝罪】を敢行した。すると、全員が慌てふためき-----


レムナント国王

《女神様なんですから、土下座はやめて下さい!女神様方の事情も佐江様と努様からお聞きしました。今回に限っては、仮に我々に協力を求めたとしても、一切役に立たなかったでしょう。サーシャ様の選択が最善だったのです。ですから、顔をあげて下さい》


と、やたら気を使わせてしまった。レムナント国王以外の人達からも、似たような事を言われたわ。会談終了後、異世界召喚を行なったテルミア王国の国王だけ残ってもらい、クラスメイト達全員を王都に呼び戻すよう言っておいた。全員が戻るまで、数日を必要とするらしいから、その間に私が召喚魔法陣に魔力を充填しておきますと言ったら喜んでくれた。


ちなみに、精霊王達といえば怒っているどころか、むしろ喜んでいた。理由を聞くと、どうもスフィア自身に問題があったらしい。これまでの邪王戦で緊急事態が発生しても何もせず、殆どの対処を精霊達に任せていた所為で、精霊達からは【役立たずの女神】というレッテルを貼られていたそうだ。今回、新たな女神、私とサリアが降臨し、精霊達に頼らず、全てを自分達だけで解決した所為で、精霊王達からは-----


《我ら精霊、役立たずの女神スフィアではなく、女神サーシャ様とサリア様に忠誠を誓います》


と言われてしまった。スフィアは、スフィアタリアの全てに見限られたわね。今は、どこで何をしているんだろうか?時間があったら探してみよう。


ともかく、これで一応の謝罪は終わった。まあ、通信だけではダメなので、今後きちんと全ての国を回って謝罪行脚していこう。


異世界召喚が行われて、2ヶ月強かな?


裏技使って最速攻略したようなものだけど、あとはクラスメイト達を地球に送還すれば一段落ね。さて、私達も祭りに参加させてもらおうかな。


ブックマーク、評価をお待ちしています。

次回で完結します。

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