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最古の遺跡へ行ってきます

イリスをお仕置きしてから3日が経過した。この3日間、フィン達には虚無魔法の訓練を行ってもらっている。そしてそこには、私の加護を与えた新たな仲間レオンも新たに加わっている。



あの時----イリスのお仕置きを終え城に戻った時、レオンが私に直談判してきたのだ。



「サーシャ、お願いだ。私にあなたの加護を授けてくれないか?自分の力で、家族を取り戻したいんだ。アルテハイムの第2王子として、成すべきことをしたいんだ!頼む!」


これには、フィンも驚いたようだ


「レオン様、本気ですか!」


「ああ、フィンが命懸けで悪魔と戦っている時に、自分だけ学園で平和な生活を送るのは惨め過ぎる。好きな女の子が強大な敵と戦っているんだ。私もその隣に立ちたいんだよ!」


カッコいい事を見事に言い切ったわね。


「加護を与えれば、あなたの人生も大きく変わるでしょう。それでもいいのね?」

「はい!」


この目、どんな事でも受け入れる覚悟を持った目だ。


「----わかったわ。レオンに加護を授けましょう。これからは、フィンに見合った強さを身につけてもらうわよ」


「サーシャ、ありがとう!フィン、今はまだ弱いけど、必ずフィン達と渡り合えるぐらい強くなるからな!」


「---レオン様、一緒に頑張りましょう!」

「ああ」


レオン自身はまだまだ弱過ぎるので、虚無魔法ではなく、私自身が基礎訓練を教えている。この3日間、フィン達と模擬戦を行せることで、スキルレベルも少しずつ上がってきている。


また、この間フィン達にはラーメンを与えていない。調理場にいるラーメン部門の料理人達で、オーク骨ラーメンを完成させる為、麺・スープ・材料の調整で忙しいからだ。私も、時折顔を出しアドバイスを行なっている。ラギウスは普通に我慢出来ているんだけど、国王や王妃といった王族達が定期的に調理場を訪れては、


「オーク骨ラーメンまだ?」


と聞いてくるのだ。どれだけ中毒になってるのよ!だから、私は王族達を含めた全員にある宣言をした。


「オーク骨ラーメン自体は、最後の締めに取り掛かっているところです。今の時点で、みんなに食べてもらう事は可能です。ただ、評価点は70点しかない。もし、あなた達が今食べる事を選択すれば、70点のラーメンをある程度食べれるわ。でも、アルテハイムの件が解決するまで我慢する選択をすれば、醤油ラーメンとオーク骨ラーメンはさらなる進化を遂げ、100点いえ200点のものを好きなだけ食べれるでしょう。そう、あなた達が我慢すればする程、ラーメンは進化していくと思いなさい!」


「「「「「「オオオオォォォォーーーーーー」」」」」」


「さあ、どちらを選択する?」


「「「「「もちろん、我慢を選択だーーーー」」」」」


この宣言以降、国王や王妃、王太子、ラギウスはレーデンブルクの国政や悪魔・邪族掃討に全力を注ぎ、2人の王女達は学園に戻り勉学に励むようになった。そしてフィン・イリス・ジン・リッカそこにレオンを含めた5人は、今まで以上に真剣に訓練に取り組むようになった。またレオンは、ジンやリッカとも模擬戦を何度も行い、まあ8戦全敗だが、ジンやリッカのアドバイスを的確に聞き、自分の欠点を少しずつ克服していくことで、強くなり始めていた。ただ、全員が真剣に国政や訓練に取り組んでいるのは良いんだけど、時折小声で



「「「「全てはラーメンのために、全てはラーメンのために、全てはラーメンのために」」」」



とブツブツ言っていた。まあ、レオンだけは【全ては家族とラーメンのために】だったけどね。


そう、全員が真剣に国政や訓練に取り組む理由は、ただ1つ、ラーメンを早く食べたい為だった。そんな理由で良いのかしら?まあ、それだけでレーデンブルクの一部滞っていた仕事が急速に動き出し、宰相達からは会う度にお礼を言われたからいいけどね。


ただ、1つ疑問に思う事がある。この世界の人達は、食に飢えているのだろうか?それとも、私が作るから?私が食事を与えると、毎回毎回、変な感じになる。



トイフェルベリーに関しては、私と加護を持った者達、計6人には毎日朝昼晩1人20個ずつ食べてもらっている。ただ、さすがに飽きるだろうから、新たな料理としてアンパンとクリームパンの作り方を料理人に教え、パンの中に餡やクリーム以外にトイフェルベリーも内緒で入れてもらった。フィン・レオン・イリス・ジン・リッカの4人は何も知らず朝食のパンをパクパクパク食べていた。悪魔の絶叫が聞こえるはずなんだけど、軽く無視して食べまくっていたわね。後で教えた時は酷く驚いていたけど、好評だったので今後からトイフェルベリー餡パンやトイフェルベリークリームパンで朝食を食べる事になった。トイフェルベリージャムパンも考えたけど、潰した瞬間に核が消えてしまうため却下となった。



こうして、ラーメン作りや訓練を行いつつ、レーデンブルクに来てから6日目の朝が来た。この日、私はとある重要事項を仲間や王族達に知らせるため、会議室に集まってもらった。



○○○



会議室には、私達の仲間とラギウス・国王・王妃・王太子に集まってもらっている。


「サーシャ、どうしたんだ?全員を集めるなんて?その様子からして、何か大きな事が起こったのか?」


ラギウスもわかっているようね。


「ええ、みんなも知っている事だけど、私は邪神を喰ったことで、邪神が持つ全てのスキルを取得したわ。そして、それ以外に邪神の記憶のほんの一部も頭の中に入ってきたの。始めは気付かなかったけど、ここレーデンブルクに来てから、その記憶が一瞬だけどイメージとして浮かび上がるのよ。そのイメージ映像がこれよ」


ほんの一瞬残った頭に浮かび出たイメージ、それはどことなく地球の日本に近い印象ではあったが、明らかに違う。私のいた日本より、もっと未来に建てられるような建造物や乗り物があったのだ。


「師匠、この映像はスフィアタリアなんですか?こんな場所、存在しませんよ」

「お姉様、私も見た事がありません」


「サーシャ、この映像、どこか日本と似てないか?」


「ラギウスの言う通り、日本と似ているわ。でも、建物の形や映っている人達の服装が今と全く違う。そして、私の直感が告げているのよ。この映像は、間違いなく過去のスフィアタリアにあった場所なの。多分、ここレーデンブルクの映像ね」


「「「「ええええぇぇぇぇーーーーー」」」」


みんなが驚くのも無理ないわね。


「おいおい、サーシャ、この映像が私の治めているレーデンブルクだと!」


「はい、とは言っても、おそらく数千年以上昔のものだと思います。これは私の仮説ですけど、ここスフィアタリアは私やラギウスがいた地球よりも、遥かに高度な文明を1度築いていたのではないかと思います。それが何らかの理由で崩壊して、少しずつ今のスフィアタリアを形成していったのではないでしょうか?」


「なあ、ハーキス、レーデンブルクの遺跡から発掘された出土品はないのか?」


「ないな。そもそもレーデンブルクの遺跡は全てがダンジョン化しているんだが、宝箱で出てくるのは、みんなが見知ったアイテムばかりだ。この映像に出てくるものは一切発見されていない」


そうなると、やはりスフィアタリア最古の遺跡に行くしかないわね。


「今回、みんなに集まってもらった理由は簡単よ。しばらくの間、私はここ王都を離れます。目的地は最古の遺跡【オリュンプス】よ。多分、そこに行けば、スフィアと邪神の関係もわかるはず」


「ええ!お姉様1人で行くんですか!」


「今回は1人で行くわ。あの遺跡の地下深くに過去の文明の物が眠っていると思う。ここに来て6日が経過しているけど、まだ虚無魔法を完全にマスターしていないでしょう。私が戻るまでに、完璧にしておきなさい。レオンはジン達とダンジョンに入って、レベルを上げておきなさい。ラギウスを私の代理とするわ。後のことは任せたわよ」


私の次に強いのはラギウスだ。余程のことがない限り、討伐される事はないだろう。


「わかった。最古の遺跡か。もし過去の文明の物が残っていて、それを守る警備システムなどが機能していたら、ジン達でもヤバイかもしれないからな。最善を考えるなら、単独で行くのがベストだろう。お前がいない間に、アルテハイムの奴等が攻めてくる可能性もある。俺がここに残り、全員を指示してやるよ」


ラギウスも、最古の遺跡の危険性をわかってくれている。


「頼むわね」


「サーシャ様、私達が弱いばかりに申し訳ありません。必ず虚無魔法をマスターしてみせます。サーシャ様が留守の間に悪魔が攻めてきた場合は、容赦なく殲滅していきます」


「トイフェルベリーを食べて大幅に能力値が上がっていると思うけど、油断しないようにね。あと、私の分のトイフェルベリーは、あなた達で分配しなさい」


「サーシャ、最古の遺跡はSクラス認定されていて、誰も踏破した事がない。最下層も不明だ。現在、わかっているのは地下5層までだ。地下1階は天然の洞窟のような感じで、邪族も出現しない。ただ、地下2階に行くにあたって2つの扉があり、そこに妙なメッセージがある。


【弱き者は去れ!】

【強き者が辿り着けるのは、地下50階までと思え】


冒険者達は、このメッセージの意味を地下2階で知ったそうだ。現れる邪族はAクラス以上、地下2階であってもSクラスが出現するそうだ」


なんか、どこかのRPGの隠しダンジョンみたいね。


「大丈夫とは思うが気をつけて行ってこい」


「ええ、国王様も気を付けて下さい。アルテハイムにいる悪魔のボスも悪魔王と呼ばれるぐらいだから、こちらを観察する術を持っているかもしれません。私がいなくなる事で、待ちの姿勢から攻めの姿勢へとシフトする可能性もあります」


「ああ、レーデンブルクの国民達は、我々が守る!」


よし、レーデンブルクに関しては、まあ大丈夫でしょう。気掛かりなのは、シルフィーユ王国だ。現在、バーンさん達と通信出来ない状態にある。ハイエルフとの謁見が終わり、何かあったんだろう。まあ、3日前から感じる視線を考えれば、何が起こったのか想像つくけどね。


それに、私の加護を持っている人が死んだ場合は、すぐにわかるようになっている。誰かが死んでしまった場合は、遠慮なくハイエルフ共をぶち殺すけどね。シルフィーユ王国の奴等が怒るだろうけど、理由を言えば納得するだろう。今感じている視線だけに強烈な殺気を込めておきましょう。



さて、これで準備は全て整ったわ。みんなも納得してくれた。



最古の遺跡【オリュンプス】に行きますか!

女神と邪神の関係がわかれば良いんだけどね。


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