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レーデンブルク編 お出迎え?

本編を再開します。

○○○ サーシャ 視点


ふー、やっぱり空は気持ち良いわね。フィンとイリスも慣れてきたかな?


「2人とも、この高さはもう慣れた?」


「はい、始めは怖かったですが、大分慣れましたね。ふと思ったんですが、師匠はご自分で飛ばないんですか?」


「う〜ん、飛ぼうと思えば飛べるけど、リッカやジンに乗って進む方が気分的に落ち着くわね」


「お姉様、その気持ちわかります。ただ、私としては自分の力で飛んでみたいです」

「師匠、私も飛んでみたいです」


そうね、今後は空中戦を行う可能性もあるし教えておきましょう。


「良いわよ。レーデンブルクで、空の飛び方を教えておきましょう。ただし、フィンはそのままで大丈夫だけど、イリスはスカートだし着替えた方が良いわね。空を飛んだら、地上の人から下着が丸見えになるわよ」


「ふおおぉぉぉぉー、それは嫌です!今後は、私もズボンに着替えて行動します!」


空の旅は順調か。邪族に襲われる気配もなし。そういえば、地上でフィンを襲ってくる邪族もいなかった。まあ、私が邪神や女神だから恐れた可能性が高いのかな?バーンさんの方でも、何か大きな動きがあったようね。加護の件で怒られている最中に、「ドーピング勇者〜」とか「ドーピング聖女〜」とか、夕実達の声が聞こえてきたのよね。何をしたら、そう連呼されるのかしら?ドーピングだから、何かを食べて急激に強くなったのかな?まあ、今日中には通信が来るでしょう。


「ふぇ〜〜、レーデンブルク王国に入りました〜。うう、久しぶりだな〜。懐かしいな〜」


フィンにとっては故郷だものね。レーデンブルクか、ガルディア帝国と違って緑豊かなところね。テルミア王国やガルディア帝国は森を開発して街を作った感じがするけど、ここから見えるレーデンブルクの村や街を見た限り、開発は最小限に抑え、緑と一体化したような感じがするわね。私としては、この光景は好きね。


「へえ〜、レーデンブルク良いわね。緑を大事にしているところがいいわ」


「そうなんです!レーデンブルクとアルテハイムは森林破壊を最小限に抑え、今あるものを大切にする習慣があります。そのため精霊様も数多くいますので、仮に邪族によって森林が破壊されても再生力が凄いんです!」


うわあ、フィンが力説しているわ。自分の国とアルテハイムが余程好きなのね。


「フィン姉、レーデンブルクでは何も起こっていないらしいけど、アルテハイムの方で怪しい動きがあるんだよね?」


イリスが言った瞬間、ピコピコ動き回っていたフィンの耳と尻尾が急激にシュンとなった。


「うん、レオン様大丈夫かな〜」


うーん、レーデンブルクで何も起こっていないのが、むしろ気になるわ。少し精霊に聞いてみるか。


下に降りようと思ったら、前方に気配を感じた。


「フィン、遠くにいるあいつら誰かわかる?」


「ふぇ、あれは警備のワイバーン部隊ですね。多分、ワイバーンが私達の気配を探ったんでしょう。でも、この周辺に大きな街はないんですが、どこの所属なんでしょうか?」


ふーん、何か不穏な雰囲気を感じるな。


「サーシャ様、あそこにいる3体のワイバーン、完全にサーシャ様を見て萎縮しています。どうされますか?」


ジンの言う通り、ワイバーンが動かないのはわかるんだけど、さっきから騎手の獣人も動かないのよね。何か妙ね。


「うーん、怪しいし撃ち落とそうかしら?」


「ふぇーーー、ダメですよ。師匠が魔法なんか唱えたら、ワイバーンが木っ端微塵になる未来しか想像出来ません!そして、そのまま弾丸は王都に直撃して壊滅する可能性があります!」


「そうです、お姉様は絶対魔法使っちゃダメです!システムの上限を超えてから、攻撃魔法を殆ど使用していませんよね。絶対制御ミスって、街を滅ぼしそうな気がします!下手したら、レーデンブルクが壊滅するかもです!」


「いや、さすがにそこまで馬鹿なことにならない--------と思う」


「「なんですか、その間は!!!」」


「あはは、それじゃあ、ワイバーンの警備部隊に挨拶しておきましょう」


「「絶対魔法を使わないで下さいね!」」


2人揃って言われたよ。まあ、ゾンビハウスの件でシステムの上限を超えて以降、攻撃魔法を使ってないのは確かだよね。ビルブレムにいた邪族達も簡単に討伐して、攻撃魔法を一切使っていない。闘技会では、私は座ってただけで、何もしていない。うーん、そう考えると、本当に制御をミスりそうな気がする。邪神のいた空間で、魔法の練習を早急にしておきましょう。


2体のワイバーンのところに行くと、ワイバーンも騎手達も見るからにガタガタ震えていた。ワイバーンはわかるけど、どうして騎手まで?


「と、止まれ!そ、それ以上近付くな!」


えー、魔法で拡声してきたよ。まだ結構距離があるんだけど?でも、これ以上近付くと、ワイバーンが死んじゃうかもね。騎手の獣人も震えが尋常じゃないし。これって私が女神だからだよね。相手を威圧してもいないのに震えさせるとは、何とか制御したいわね。


「あのー、何か御用ですか?」


「そ、そこに乗っているのはレーデンブルク第3王女フィン・レーデンブルクで間違いないか!」


「そうですよ。先に言っておきますけど、もしフィンを殺すつもりで来たのなら覚悟して下さいね」


《バシン》


「あ〜あ、だから言ったのに」


私達に気付かれた瞬間、1体だけ上空に飛んだのを確認しているのよね。虚無魔法の修行で、基礎スキルだけでなく、覚えている全ての魔法スキルが少しずつ上がってきている。案外、虚無は全てに繋がっているのかもね。この訓練のおかげで、フィン・イリス・リッカは新たに空間魔法と時空魔法を覚えた。


そこで、4人全員に『ディストーションフィールド』を教えておいた。そして、それは今でも自動で機能している。相手が攻撃して来た場合のみ発動する仕組みになっているから、こいつらは敵だ。


ワイバーンと騎手は、『ディストーションフィールド』の膜に激突して、そのまま墜落した。こいつらは、警備を装った暗殺者かな?


「ふぇーーーーー、なんで私を?」

「な!お、お前ら-----」


少し威圧しただけで、ワイバーンも騎手も全員墜落したよ。


《ドーーーーーン》


レーデンブルクに入って、いきなりこれですか。



○○○



地上に下りて、3体のワイバーンの墜落場所に行くと、ワイバーンは普通に気絶しているだけだった。問題は騎手達で、どこを探してもいなかった。完全に気配が消失していたのだ。残っていたのは、衣服と武器・防具・アイテム類と灰だけだ。


「師匠、やはり騎手3人がいませんね?」


「おかしいわね。ワイバーンは普通にいるのに、騎手3人は消えて、なぜか灰だけがあるわ」


うん?視線を感じ、4人が私をジーっと見ていた。


「なに?」

「いえ、師匠なら一瞬で人を灰にする事が可能だろうな〜と思って」

「お姉様なら、光魔法で太陽光線を集めて当てれば可能と思うのですが?」


あー、この灰がその人達の成れの果てと言いたいわけか。


「あのね、確かに可能だけど、無闇に人を灰にするわけないでしょ。これ以上からかうようなら、4人まとめて刺激臭まみれにするわよ!」


「「「「ひいいいぃぃぃぃーーーー、すいませーーーーん」」」」


全く、ワイバーンを回復させて話を聞きますか。


「ジン、ワイバーン達を回復させたら話を聞いておいて。ジンとリッカは神獣形態のままでいなさい。ワイバーンは人語を話せないはずだから、その形態の方がワイバーンも落ち着いて、自分達の言語で話してくれるでしょう」


「あれ?サーシャ様はどうするんですか?」


お、リッカが尋ねてきたか。


「今の私がここにいたら、ワイバーン達が目覚めても死ぬ可能性もあるから少し距離を開けておくわ。その間に、私の中にある女神の力の制御練習をしておきます。毎回毎回、邪族に怯えられたら話も碌に聞けないからね。リッカ、ワイバーン達が混乱しないようにゆっくりと話してあげるのよ」


「はい、わかりました!」


リッカだけだと不安だけど、まあ4人いるから大丈夫でしょう。




さて、このくらい距離を開ければ大丈夫かな?


今の自分のスキルに、邪族に怯えられるものがあるとしたら『威圧』しかないのよね。でも、闘技会での邪族の恐れ方が威圧使用時と何か違うのよね。問題はそれがなにか---ね。『威圧』は自分の力を相手に知らしめて脅威を与える技、私の女神のあれは私を見た瞬間、超目上の人が目の前にいて怖れ崇めているように見えるんだよね。威圧というより、そう言葉にするなら『畏敬』かな。よし、もう1度自分の中の怖れ崇める力を確認しよう。


-------この力がそうか!自分の中に言葉に出来ないそれらしきものがある。ただ、この力は、この世界のスキルとして存在しないみたいね。うん、それならこの力を今から『畏敬』というスキルにしよう。私自身がスキルの概念として作っておけば、管理世界のシステムに接続した時、スキル『畏敬』も組み込まれるでしょう。よし、この『畏敬』も理解出来た事だし、OFFにしておこう。


フィン達にを見ると、ワイバーン達も回復しており仲良く談笑していた。あのワイバーン達、私達と同じ言語を話せるようね。


「あ、お姉様、随分時間がかかりましたね。あれから30分程経過していますよ」

「30分!随分集中していたのね。もう、大丈夫よ。完全に制御出来たわ」


「あ、本当だ。ワイバーン達が師匠を見ても、怖がってない」

「サーシャ様、あの力は何だったのですか?」


「そうね、私達の世界の言葉でいうと、『畏敬』というのよ。意味は、畏れ敬うとか畏れ崇めるとかね。力の差で恐怖を覚える威圧と違って、この力は遥か格上の存在を見ることで、本能的に畏れ崇めるようになるのでしょうね」


「え、お姉様、それなら人はお姉様を畏れ崇めないんですか?」


「邪族は純粋に力だけを見て、強弱を判断しているわ。それに、生物としての本能も人より遥かに優れている。人の場合は知能が高い分、生物としての本能が邪族より弱いのよ。だから、私が持つ女神の崇める力『畏敬』を知覚出来ないのかもね」


「確かにそうですね。私自身、お姉様を見ても邪族のようになりませんでした」

「私もそうですね。師匠、リッカ・ジンさん・リッチさんはどうなるんですか?」


「リッチとジンとリッカは、初めて会った時点から私を畏れ崇めているし、主従契約を結んでいるから邪族の様にはならないわ」


「あ、確かにそうですね。あれ?それなら騎手達3人はどうして?」

「問題はそこね」



さて、畏敬について区切りが付いたところで、ワイバーン達に話を聞きましょうか。


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