突然の異世界召喚
目覚まし時計が鳴り、時計を見ると、朝6時となっていた。私、清水茜は高校生になっても、生活リズムは変わらない。さて、朝御飯の用意をしましょうか。家族は4 人、父や母も仕事があり、年の離れた弟はまだ9歳、疲れて寝ている父や母に朝御飯用意してと言えるわけがない。中学の頃から、母から料理を習い、今では母以上の腕前となってしまったため、料理は私の担当となった。作るのは、楽しいから良いけどね。
身支度を整え洗面台に行き、顔や髪型をチェックした。はあ〜、体型は普通なんだけど、顔のニキビとかどうにかならないかな〜。おまけに視力が0・01と低いため、眼鏡が必須。美香に相談したら、
「やっと気にするようになったか!今度、イメチェンしてあげる。男共、びっくりするわよ」
となぜか喜んでいた。私、そんな美人でもないんだけど。
さて、気をとり直して、料理を作りますか!
------1時間後
「じゃあ茜、健一、行ってくるよ。帰りは、18時頃になると思う」
「私もそれぐらいね健一、車には気をつけてね」
「うん、いってらっしゃい!」
「お父さん、お母さん、いってらっしゃい」
時間はまだあるわね。
「健一、一緒に食器を洗いましょうか」
「うん」
今日は、数学と世界史、確か小テストがあったわね。教室に入ったら、早速予習しておこう。さて、全ての作業終了。時間は、7時30分。
「それじゃあ、私達も学校に行きましょう」
「うん、用意は出来てるよ、お姉ちゃん」
健一を小学校まで送り、私は高校に向かった。あれ、あそこにいるのは美香じゃないかな。彼女は島崎美香、私の親友だ。走って行き、肩をポンと叩いた。
「おはよう、美香、今日は早いのね」
「茜〜、おはよう〜、早速だけど助けて〜」
あ、小テストね。さては復習やってないわね。
美香は運動神経抜群、おまけに超美人、でも勉強だけが超苦手なのよね。ちなみに、私は運動音痴、顔は普通、勉強だけが超得意かな。なにせ、学年トップだからね。
「わかったわ。でも、今からだと、殆ど何も出来ないだろうから、テストに出そうなところをピックアップしましょうか」
「助かります、茜様!」
しょうがないわね。テストの問題の事で話をしていたら、あっという間に教室に到着した。朝一番の授業で、テストがあるから半分くらい来てるわね。あ、あいつらもいるのか。何事もなければ良いけど。美香が早速全員に挨拶した。私も挨拶しておこう。
「みんな〜、おはよう」
「おはよう」
「島崎さん、おはよう、あいかわらず元気だね。清水さんもおはよう」
「あ、桜木君、おはよう」
桜木春人君か、この人は男子女子、誰にでも優しい。顔もイケメンのせいか、男女ともに凄い人気がある。今も、声をかけられたせいか、後ろの女子共に睨まれている。
金子・青木・小倉・江東の女4人組だ。私は、金子組と呼んでいる。こいつらの筆頭が金子 望、何故か桜木君と話しただけで、いつも突っかかってくる。今回は挨拶だけだ。それだけで、なんでこうなるのよ。美香ならともかく、私なんか眼中にないでしょうに。とりあえず、自分の席に行こう。
「茜〜、早速教えて」
「OK!まずは数学からね」
「あの先生の性格から考えて、多分この5つが出題されるかも」
「げ!どの問題も難しいのばっかりだ。でも、茜の言う事て高確率で当たるからな〜。なんとか理解するしかないか」
こうして2人で勉強しているのだけど、周りにいる男子と女子達が指摘した問題をメモしている。正直、毎回毎回やめて欲しい。当たった時も外れた時も、どちらにおいても私にメリットはない。当たった時は、みんなに喜ばれる。当然、桜木君も喜んでくれるので、後で女子達(主に金子組)に呼ばれて何かと咎められる。そして、外れた時は、主に親しくしていない連中に怒られる。なら、「自分でなんとかしなさい」と思うだろうけど、そうすると、今度は美香が悲しみ、全員から咎められる。結局、テストを予想するこの行動は、私には殆どメリットがなく、デメリットばかりなのだ。まあ、美香が喜んでくれれば、それで良いんだけどね。強いて言えば、この行動は美香が絡む以上、金子組の連中から虐めを受けないということが唯一の救いかな。あれ、これってメリットになるのかな?
数学の小テストが終了した。今回は、予想問題が5問中3問的中だから、みんなからの非難もなさそうだ。一番いいパターンかな。
「茜〜、ありがとう。3問解けたおかげで、60点くらいはとれると思う」
「本当、よかったね。次は世界史だけど、大丈夫なの?そっちは予想できないからね」
「まあ、数学よりは出来るでしょう」
本当かな〜。集中してたからか、目がちょっと疲れたわね。少しの間、教室を離れよう。廊下に出て、眼鏡を外した。ふー、私もコンタクトレンズにしようかな。美香が異常に勧めてたのが気になるけど。
「清水さん」
誰かに呼ばれた。これは桜木君か。
「桜木君、どうかしたの?」
「あ、いや、さっきのテスト、予想してくれてありがとう。俺も助かったよ」
?なんで焦ってるの?
「役に立てたのなら嬉しいわ」
「あのさ、清水さんはコンタクトレンズに切り替えないの?眼鏡よりいいと思うんだけど?」
「あー、それね、今考えてるのよ。美香に相談したら、そっちの方が断然いいと言ってくれたから、近いうちに切り替えると思う」
「そ、そうか。俺もコンタクトの方が絶対いいと思うぞ!」
「本当、ありがとう」
あ、チャイムがなった。
「次の授業が始まるわ、戻りましょう」
「ああ、そうだな」
桜木君が、なぜか満面の笑みになっている。何かいい事あったのかしら?
私は、眼鏡をかけて教室に戻った。
世界史のテストが終わり、全員が一息ついたところに異変が起きた。床が光っている?それに、この模様は何?魔法陣?みんなも騒ぎ出してきた。
「おい、なんだよこれ!魔法陣か?なんかヤバイぞ!」
「ドアが開かない。駄目だ、逃げられないぞ」
「嘘でしょ。ちょっと、私達どうなるの?」
「俺に聞くなよ」
うわー、みんな騒いでるな。あー、これ間違いなく異世界召喚とかなんだろうな。ラノベやネット小説で散々読んだから分かるわ。みんなの慌てっぷりを見たおかげか冷静でいられるよ、ありがとうね。光がどんどん強くなってきてる。ここで、私は気を失った。
--------なんだろう、目が開かない。でも、何か声が聞こえる。
「サリア様〜〜。召喚された者達は、言いつけ通り、召喚した国に送りましたよ。ただ、この女の子だけが残っていて、まだスキルも補正もされてないです。どうしますか?」
「ふ〜ん、その子は、なんとなく気に入らないな〜〜」
「それは、いくらなんでも可哀想です。向こうにいったら、すぐ死んじゃいますよ」
「ったく、しょうがないわね〜。あ、それじゃあ、これあげるわ〜。ははは、ウケる〜〜。見てよ、このステータス、マジ笑えるんだけど〜」
「うわ、酷!そんなに気に入りませんか?」
「当たり前でしょ〜。まあ、3ヶ月以内に死ぬでしょ」
「じゃあ、これで送りますよ」
「はいは〜い、それで、なんとか生きなさいな〜〜」
何か、凄く理不尽な扱い方をされた気がする。
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