エピローグ
その姉妹が僕の住む街に引っ越してきたのは二年前。
僕がまだ中学二年のとき。
「皆さん、転校生を紹介します。」
中学一年から二年に上がった四月の初め、始業式と共に僕のクラスにやってきたのはすごい美人な女の子だった。
「始めまして。篠原涼香《しのはらすずか》といいます。父親が転勤になったため、この街にやってきました。みなさんとは一年、一緒に過ごす期間が短いですが、卒業まで思い出をたくさんつくっていけたらと思っています。よろしくお願いします」
担任に促され笑顔で挨拶をする彼女は、艶やかな黒髪ときりっと上がったつり目が、僕のような一般的男子からするととても魅力的に映った。
実際に同じクラス過ごしてみると彼女は性格も良く、男子からはもちろん、最初男子の食いつきが良すぎた彼女のことを冷ややかな目線で見ていた女子もその反応は最初だけだった。
席が隣だった僕は男女関係なく話をする彼女と仲良くなり、実は家が隣同士だということを知った日、たまたま一緒に帰路を共にした。
そう、そこで出会ったのだ。
僕の好きになった初恋の子。
篠原涼香の妹、否、弟。
篠原友《しのはらゆう》に。