呼び方の謎
なぜ和風、洋風と呼ばれるようになったのでしょう?
<風の区>
物語本編より遥かに昔。
ある程度文明が育ってきた頃。
紫神の当主と部下の話。
「ふむ。
なかなか情緒あふれる風景だな」
「そうですね。
結界によって、ある程度以上の強力な魔物が防げるようになったのが大きいですね。
ほんとに初代の方々には感謝の念が絶えません」
「まったくだな。
なんというか、詫び錆びというものを感じる光景ではないか。
こういう光景を造ってくれた皆にも、礼をいわないとならん」
「それについては、ご当主のお力もありますよ。
それにしても、詫び錆び、ですか……
そうすると、これは『わびふう』という光景と呼べるでしょうか」
「おもしろい呼び方だな。
まあ、そんなことより、視察を続けるぞ」
「はい」
「ご当主様が、ここの風景について、『わびふう』といっていたそうだ」
「『わびふう』?
そんな言いにくいいいかたで言ってたの?」
「そういえば、ちょっと言いにくいかな?
それじゃ『わふう』とか?」
「あー、それなら言いやすいかも」
「それじゃ、この風景は、『わふう』ってことで」
「ーーと言うことになったそうです」
「ーー私がいいだしたことではないんだがな。
まあ、いいが」
「ですね」
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<地の区>
おなじく、遥か昔のこと。
「羊の群れか……」
「なんというか、のどかな光景ですよね」
「ひつじさん。
ふわふわのけでせーたーつくるのー」
「ははは、そうだな。
羊風のもふもふのセーターを作って、闇の区の伯父さんに会いにいこうな」
「うん!」
「(なかがいい親子ですねー)」
「ひつじさんでひつじさんふうのせーたーつくるのー♪」
「羊風ですか。
かわいらしいですよね」
「まあ、文字で書いたら、『ようふう』と読めちゃうなー」
「ーー」
「ちょ、冗談だから!」
「ふーん」
「ーーほう、この風景は『ようふう』というのか?」
「なんでも、羊の群れを見ていて、そう言い出した者がいたそうですよ」
「羊だから『ようふう』?
言い出したやつは、なにを考えていたんだ?」
「さあ?」
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どちらも、何気なくいったことから広がったことのようでした。
ほとんどなんとなくですね。
冗談でいったようなことが、定着しちゃったのでした。
洋風の方については、文字が当て字みたいに変わっちゃいましたし。
ちなみに、ゲーム内ではこの方が分かりやすいだろうという考えからこの呼び方にしたという設定です。
実は……、作者がこれで遊びたかったから、という理由だったり……。