六家の初代ってどんな人たち?
「そっち、いったぞ!」
「まかせて!」
「ーーこれで、全部か?」
「うん。
もう終わりだよ。
まったく厄介だよね、いくら倒してもわいて出る」
「ほんとね。
元を断てればいいんでしょうけど……」
「それこそむりだよ。
魔力が世界から無くなるはずはないから」
「困ったもんだ」
「まったく」
わいわい、と騒ぎながら六人組は奥へと進む。
ーーいつの頃からだろうか。
魔物があらわれ、人々を襲うようになった。
対抗手段を持たなかった人々も、徐々に必要な武器をつくり、魔物に対抗することができるようになった。
もっとも、ある程度以上の魔物を倒すためには、魔物を倒したあとに残る魔石を利用した武器が必要なのだが。
そうして魔物を倒せるようになってしばらく、彼らが生まれた。
六人は、ほかの人々よりも力も体力も高く、強力な魔物ですら倒すことができた。
そのために、強力な魔物は全部倒せばいいとばかりに六人で人里を離れ、魔物を倒しつつ進んでいるのだった。
「いけどもいけども魔物ばっか。
まあ、あんまり見ないような食べ物とかもあるけど」
そう言って近くの果物をもぎって食べる。
毒性がないのはすでに確認済みだ。
「ほんとにね。
なんとか人的被害を減らす方法があればいいんだけど」
そんなことを話ながらだったせいだろうか……。
気がつくと、六人は見たことがない色の広い湖のような場所に出てた。
「うっわー。
綺麗だなー」
おもわず見とれていると、後ろから魔物の群れが現れ、湖の中に突き飛ばされてしまった……。
「わー!」
悲鳴をあげながら、どんどん底へと落ちていく。
「ーー? あれ? 息ができる?」
ふとその事に気づいて辺りを見回すと、虹色の光がどんどん六人の体に吸収されていった。
「なんだこれ?」
底にたどり着いたとき、六人の瞳の色は、属性の色に変化していた。
すなわち光の金。
闇の銀。
火の赤。
水の青。
風の紫。
地の緑。
六人は魔物たちと同じ魔力を得ていたのだった。
「ーーこれって、なんかに利用できない?」
「できるな。
ほらあれ、魔石のでっかいやつがあるだろ?
あれを核として防護壁を張ればいい。
張り方については試行錯誤が必要だろうけど」
「それはまかせるわ。
あなた、そういうの得意でしょ?」
「自分が面倒なだけだろ?
まあいいけどな」
「とりあえず、あれもってここから出ようよ」
「だな」
巨大な魔石は、それぞれの属性の者が触れると、一旦体内に吸収された。
自分の意思でそれを取り出せることも確認して、湖もとい魔力溜まりから脱出する。
そして、人里へと戻っていった。
魔力を得たこと、そしてその力で人々を護る結界を作ったこと。
そして、魔力が子孫に遺伝すること。
そのことから、人々は六人を中心としてまとまった。
結界内には弱い魔物しか入り込めず、対処も簡単だった。
そして、結界の影響か、一般の人々にも魔力を得るものが現れ、結界の中央には強大な魔石が生まれることになった。
ただ、魔力が弱まる無の月。
このときだけは力持つ魔物も入り込んでしまうため、魔力持ちたちが対処をすることになる。
それでも、今までよりも遥かに安全に生活ができるようになり、魔石をエネルギーとした魔道具類や、様々な文化が発展していくこととなる。
「まさか、たまたま魔力溜まりにおとされたから、だなんてだれも想像しないだろうなー」
「さすがに間抜けすぎるし、それは内緒だぞ」
ーーそんなやり取りがあったとかなかったとか……。
かなり単純で、猪突猛進な人たちでした。