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ハルくんは幻でした  作者: ゆたぽん
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エピソード1

まだ終わらせていない連載小説があるにも関わらず始めてしまいまして誠に申し訳ございません。向こうの作品に飽きたとかではありません。


亀更新でありながら掛け持ち癖があります。

そのうえ文章能力は拙いまま、機械にとことん弱いのもあって、いまだにこのサイトがよく分かっていません。足りないところなど、ご指摘下さるとありがたいです。


(以外、友人からの指摘により)


恋愛モノだけ書くつもりはないのですが、どうしてか恋愛モノばかり思いついてしまいます。本当は今流行り(?)の異世界ファンタジーなんかも書いてみたいです。


しかしながら私そこまでの設定を思いつく自信がございません…!いつか思いつくその日まで、粘り強くやっていきたいと思います。

もちろん、恋愛モノ大好きなので、これからも書いていきたい所存です。



「お前の名前って、なんか冷たいよなー」


誰に言われたかも覚えていない、何気ない一言。口調から、男子が言ったのだなと推測できる。


この一言を聞いたのは、確か、幼稚園の頃だっただろうか。今は小学6年生。よくもまぁこんなにも長い間引きずっているものだと、自分でも思う。


私の名前は星島零香ほししまれいか。零。確かに冷たい。私の中に、何もないみたい。星。これも私のイメージだけど、星って暗くて大きい宇宙の中に、ポツンとあるもの。一人ぼっちって感じが、何だか寂しい。


事実、私は学校でも孤立していた。それは名前のせいじゃない。私の性格のせい。孤立しているからと言って、いじめられていた訳じゃない。1人だっただけだ。


私からしたら1人が普通で、当たり前。当たり前だから、何ともないことなのだ。私は星で、零なのだから。


今私は、病室のベットに寝ている。もともと体が弱かった訳でもないのに、感染症をこじらせたそうで、しばらく入院することになった。


そんな時だって、お見舞いに来るのはお母さんとお父さんだけ。これが普通なの。治療は

少し辛いけど、いつまでもこんな所にいるのは嫌だから、我慢するしかない。


「ケホッゴホッゴホッ…ゲホッ」


あぁ。また失敗。喉の奥にくだを通すらしいのだけど、コレがどうにも苦手。コレをちゃんとやらないと、栄養がうまく取り込めないとかで、治らないんだとか。


…じゃあ、私はこのまま、一生、ずーっとここにいるんだろうか。お姉さんになって、おばさんになって、おばあちゃんになっても、ずーっと。1人のまま。


1人が普通で当たり前。でも何故か今日は寂しくて、ベッドの隅で泣いてしまった。


どうして、どうして私がこんな目に合わなければいけないの?何故私なの?人気者のあの子なら、たくさんのお見舞いメッセージが届いて、きっと笑顔でクラスに帰る。


でも私は、私は…どんな顔で、クラスに帰ればいいの?きっと、誰も…私なんか…私なんか…


その時、ガラガラ、と音がした。見るとそこにはヒョロっとした私と同じくらいの少年が立っている。少年はおどおどしたままで、何か言いたそうにこちらを見ている。


少年の髪は白かった。病気でそうなってしまったのだろうか。けれどもそれにしては綺麗で、儚くて、美しい髪色だ。


「あ、あの…」


少年が口を開く。その声は小鳥みたいに綺麗で、私の心にすーっと入る。


「出ていってよ!」そう言ってもおかしくないのに、何故かこの時は言う気になれず、それどころかこのまま時が止まればいいのにとさえ思ってしまった。


「大丈夫…だから。」


そう言うと少年はシャッ、とカーテンを閉めてしまった。大丈夫…って、何が?どうして?


涙ももうでなくなってしまった私は、頭にはてなを浮かべる。そして、ハッと気づいた。気づいてしまった。


きっと、泣き声が聞こえてしまったのだ。それでいたたまれなくなって…。


そうと気づくと、私は恥ずかしさで身をよじらせ、悶えた。穴があるなら入ってしまいたい。


太陽のように暖かく、王子様のように優しそうな少年に、何という姿を見せてしまったのだろうか。もし次会ったとき、何て言えばいいだろう。ありがとう?ごめんなさい?そもそも逃げてしまいそうだ。


先ほどまでの絶望にも近い気持ちが、見る見るうちに羞恥心へと変わっていく。この病院にきて1番のハプニングと言えよう。


一度ふぅっと息をつき、天井を見上げた。相変わらず真っ白で何もないつまらないもの。まるで私のようだと思っていた。しかし今見てみると、この綺麗な白が、先ほどの少年を思い起こす。


病院というのはどうしてこうも何もかもを白で形成したがるのだろうか。どこを見ても彼のことが頭から離れない。


突然人の病室に入り、意味のわからない一言を述べて帰っていくという失礼極まりない少年。の、はずなのに。


少年らキラキラ輝いて見えた。ヒーローみたいに、私を助けてくれたのだ。


明日彼を探してみよう。そして、そして、そしてー…


気づけば私は寝てしまっていた。久しぶりにぐっすり寝てしまっていた。白いフワフワの毛布を、抱き抱えながら。


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