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ある魔眼持ち薬剤師の日常 ~連載版~  作者: カスミ楓
第一章 白竜さんとカレー
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「あ、あのっすみません」

「何か用かな? お嬢ちゃん」


 雑貨屋で必要なものを買ったあと、私はリルリのお城へとやってきました。

 立派な鎧を着た騎士が二名、門番として立っていたので彼らに話しかけたのですが、数ヶ月前にアーヴェン様と一緒にいた新人っぽい騎士とは違い、この二人はそれなりの腕がありそうです。


 門番は一般市民が一番見る機会の多いお仕事場です。つまりお城の顔の役割も果たしています。

 それと一番最初に不審人物かどうか確認するお仕事にもなります。

 だからこそ、門番はエリートが受け持つ場合が多いのですよ。

 まあ実際に立っているのはこれからエリートを目指す人で、実際のエリートは門の詰め所にいるのでしょうけどね。


 それはさておき。


「私、数ヶ月前にアーヴェン様から大通りに面している店舗を借りた、ナミル=イクランと申します。アーヴェン様にお目通りをさせて頂きたく参りました」

「アーヴェン様に?」

「ああ、お嬢ちゃんがあのアーヴェン様お気に入りの子か」


 右にいた門番は知らなかったようですが、左の門番は私の事をどうやら知っているみたいです。

 よかったー。


「え? お前知ってるのか?」

「ああ。トロールをワンパンでノした女の子らしいぞ」

「トロールを!? 本当にか?」

「ひよっこ共が唖然としてたってさ。最初は魔物かと思ったくらいだとよ。こんな可愛いお嬢ちゃんなのにな」

「そいつは凄いな! 俺だってトロール相手じゃ厳しいぜ」

「森の中だし回りにひよっこ共がいたから、アーヴェン様も魔法使えなかったしな」

「そうだな。ひよっこじゃ前衛を任せるには不安だろう」


 アーヴェン様って魔法剣士でしたか。

 しかもどちらかと言えば魔法寄り、というところですね。

 王族なのに凄いです。


 それにしても、トロールってそんなに強いんですね。ギルドマスターのべラムさんが言うにはランクAと言っていました。

 下のランクが何なのかは知りませんけど、Aなら意外と高ランクだと思います。


 私が住んでいた町の近くにある山の元ボス、今は新ボスですけど、カンガルーが大きくなったような魔物でしたが、トロールは彼より遥かに弱かった感じです。

 となると、あのカンガルーはもっとランクが高いのでしょう。


 あのカンガルー、カンさんには色々と戦闘技術を教えていただきました。

 私が始めてカンさんと戦ったとき、最初ことごとく避けられて、逆に何度も殴られました。魔法障壁を張っていたので痛くはなかったのですけど、何せ子供の頃で身体も小さいですから簡単に吹き飛ばされましたね。

 頭に来て思わずフルパワーの《魔力収束》で身体能力を限界まで上げて殴ったら、どこかへ吹き飛んでいきました。


 一時間後に戻ってきたのは驚きましたが。


 カンさんが戻ってきた時は既に戦意は無くなって、『俺の負けだ。次のボスはお前だ』と言われた(念話なのでそういう意思が伝わっただけです)時は、辞退しようとしましたが、カンさんの熱意に絆されボス役を引き受けました。

 その後、『ボス、あなたは異様なまでのパワーとスピードはあるものの、技術がありません。俺が教えます』なんて言われました。


 カンさんの特訓はきつかったですが、楽しくもありました。

 体力作りから、と言われ山を十周させられたり、木に紐でぶら下げた石を揺らして避ける練習したり、目をふさいでも相手の気配を感じ取る練習したり、おとこたるもの必殺技の一つや二つは持っておくべきだ、と言われたり……。


 最後のは理解できませんでしたが。


 それにしても懐かしいですね。

 カンさんやウサさん、イノさんは元気でしょうか。カレーが完成したら今度手土産に持って遊びに行きましょう。


 と、私が回顧している間も、門番のお二人の話は盛り上がっていました。


「おまけについ先日貰った回復軟膏、あれ作ってる子」

「おおっ、あの回復軟膏の! あれすっげー効き目いいよな」

「本当に今までの回復軟膏とはなんだったのか、って感じ」

「打ち身捻挫したら下手すりゃ三日以上続いていたのが、翌日には完治だからな」

「いやー、お嬢ちゃんすげーな。アーヴェン様のお気に入りってのも頷ける」

「うちの専属になってもらいたいくらいだよな」

「これからうちの回復軟膏は全部このお嬢ちゃん製になるってさ」

「おおっ、それは嬉しい!」


 回復軟膏の評判は良い模様です。

 ふふん。まあ当然ですけどね!

 それにしても意外とおしゃべりさんな方達ですね。王国の騎士は三度ほど見た事ありますけど居丈高な人ばかりだったのに帝国は全く違います。親しみやすいですね。

 これはリルリの町だからでしょうか、それとも帝国全体の気質なのでしょうか。


 しかし彼らも回復軟膏を使う、と言う事は門番をやっている人でも訓練は欠かさずしているのですね。さすがです。

 当番制なのでしょうか。


 それは良いとしてこの二人、何故か話に花を咲かせています。

 あのー、アーヴェン様は?


「あの、すみませんがアーヴェン様はいらっしゃいますか?」

「あ、ああ。そうだったな。すまん。実はアーヴェン様は今外出中でな。お戻りになるまで半月ほどかかるんだ」


 そうなのですか。これはどうしましょうかね。

 でも直接会わなくても言付けを頼んでおけば良いだけですよね?

 むしろ直接会えば引き止められる可能性は無きにしも非ず、ですから会わないほうが良いような気がします。


「そうなのですか、残念です。では……」

「でも代理のイリザネール様がいらっしゃるから、そちらへ頼んでみるか?」


 イリザネール様……ですか。

 誰それ?

 代理というからには、領主と軍司令官代理なんでしょうけど。

 まあ誰でもいいですね。


「いえ、お忙しいと思いますし。新しい薬の素材を収集するために、明日から一ヶ月ほどお店をお休みいたします、とお伝え願えますか?」


 一番はカレーのスパイス集めで、二番が瘴気に充てられて育った薬草の研究と、新しい薬は蚊帳の外なのですけどね。

 ギルドマスターが持っていた水晶玉があったらきらきら輝くレベル?


「一月休みなのか。ああ分かった、伝えておこう」

「お願い致します」


 丁寧にお辞儀してお城から遠ざかりました。

 よし、これで一通り終わりました。今日は早く寝て明日の明け方出発です!




こんな感じでまったり進みます。。。

進行遅いですかね


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