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ある魔眼持ち薬剤師の日常 ~連載版~  作者: カスミ楓
第二章 冒険者ギルド
32/33

500ポイント、6万PVもいっていました。

たくさんのアクセス、ブクマ、ありがとうございます><


更新頻度下がってしまいましたが、頑張って書きます><





 一通りレイちゃんから聴取した後、椅子に座ってまったりお茶を飲んだり、うつらうつらしていると、いつの間にか夕方になっていました。

 何と言う時間の無駄遣いでしょうか。

 休みはこうでなくっちゃだめですね。


 そして店内を見ると、いつの間にかシーレイさんとレイちゃん、あと知らない男性と女性がお茶していました。


 ……えっと、今日はお休みなのですけど、どうやって入ったの?

 それ以前に家主の知らない間に、何で優雅にお茶なんかしてるの?

 そしてレイちゃんもそれに乗じてお茶なんか飲んでいるし。


「あ、ナミルちゃんおはよー。寝顔可愛かったよ」

「……すぐさま記憶から消去お願いします。むしろシーレイさんの頭を叩いて消去させたほうがいいですか」

「やめて! 記憶が無くなるどころか頭自体が無くなっちゃうわよ!」


 そこまで強く叩くことはしませんよ。


「ところで、そのお二人がギルドの人ですか」

「あたしもギルドの人なんだけどね。で、こっちの女の子がラミちゃん、Cランクの魔法使いよ。男の子がゼファール君、Dランクの剣士ね」

「宜しくねっ!」

「……よろしく」


 ラミさんは元気な女の子って感じですね。ぱっちりとした目をしていて、黒いローブを着ているのですけど、所々刺繍がしてあり、あと赤いリボンで髪を纏めています。

 ホウキに乗って宅急便している魔女っ子っぽいです。黒猫は居ないですけどね。


 ……あと、ギルドマスターに似なくて本当によかったね。



 ゼファールさんは、何か大人しい人です。剣士ですし前衛に立つのですから、もっと覇気があってもいいですよね。でも、もしかすると剣を構えると性格が変わる人かも知れないですが。

 ゼファールさんもギルドマスターには似ていません。本当にあの人の子供なのでしょうか。養子だったりするのかな。


「ナミル=イクランです、宜しくお願いします。ところでこれからどうするのですか? 明日出発ですから、旅の準備が必要ですよね」


 水は必須ですし、食べ物だってある程度余裕を持たせたいです。あとは雨が降ったときのコートとか、寝るときのテントとか。

 私はサルクルの森へ行ったときのが使えますから、今回は水と食料だけで良いと思いますけど。


「あ、それなんだけどナミルちゃんの手間を省こうと思って、ここへ来る前に買っておいたわ」

「……え?」


 シーレイさんの言葉に一瞬固まる私。

 せっかくベテラン冒険者がどんな準備をするのか見てみたかったのに。


「え、えっと、なら何を買ったのか教えてもらえませんか? 私、あまり旅の心得が分からなくて、冒険者がどんな準備をするのか見たかったのです」

「そんな事、冒険者になれば講習があるから懇切丁寧に教えてもらえるわよ。基本的な知識だし」


 な、なんですと!?

 講習だからきっと無料なんでしょうか。これは心惹かれます。


「講習ってそれ以外に何かありますか?」

「え? うーんと、地理と気候、魔物の知識と分布、状況に応じた歩き方、食べられる野草の種類、あとは基本的な戦い方とパーティの連携方法とかかな。でも戦い方やパーティ連携なんて人それぞれになってくるから、あくまで本当に基礎的な事だけかな。それ以外だとギルドのルールや仕組み、依頼の受け方や報告の仕方とかとか。あとこれはランクに応じて内容は変わるけど、大人数での戦い方とか要人の護衛方法とかもあるし、時には夜盗狩りあるから対人方法も」


 ……け、結構あるんですね。

 甘く見ていました。

 こんなにたくさん覚えきれる自身がありません。


「そんなに覚えられませんし、冒険者になる事は諦めます」

「ま、まあたくさんあるし、普通は数年くらい時間をかけて覚えていく量だしね。最初は本当に簡単な事からだよ。勉強して実際に使ってみて、の繰り返しで覚えていく感じかな」

「わたしもまだまだ覚えていない事がたくさんあるよっ!」


 シーレイさんとラミさんがどんよりしている私を見て、慌ててフォローしてくれましたけど、私、馬鹿だからなー。


「シーレイさん、こいつ本当に強いの?」


 と、今まで黙っていたゼファールさんが発言してきました。

 目を大きく開いて慌ててゼファールさんの口を塞ごうとするシーレイさんとに、興味津々のラミさん。


 ギルドマスターから今度の相手はSSランクの飛竜レックリャと聞かされ、到底自分の適う相手ではないが、ちょー強い人がいるから安心して見て来いと言われた。

 しかもAランクの冒険者、シーレイさんたちのお墨付き。

 どんな強い人なのか期待していたら、実際は単なる女の子だった。


 彼の立場に立ってみれば、こうなります。

 不安を覚えるのも仕方ないでしょう。



 でもそう面と向かって言われると、ちょっぴりムカっときますね。



「貴様のような小僧が例え千人集まってもナミル殿に勝てぬな」



 私がむっとしたのが分かったのか、レイちゃんがお茶を飲みながら鼻で笑うように口を開きました。

 めちゃ喧嘩売ってますよ、この竜。



「ならば勝負しましょう」


 そう言って私の方を見るぜファール君。

 何か子供ですね、勝負って。


「ゼファール君、やめたほうがいいよ」

「わたしは良いと思うよ。一度ナミルさんの強さ、見てみたいっ!」


 シーレイさんは止めるものの、ラミさんは煽るスタイルですね。

 まあ私は別に良いのですけど。

 さて、何の勝負にしましょうか?



「うーん、じゃあ腕相撲でいいですか?」

「は? 何でもありじゃなく?」

「だって模擬戦するのに、場所ないですし。それに今から出かけるの面倒じゃないですか。腕相撲ならここでも出来ますしね」


 買出しで出かけるならともかく、それ以外ではもう今日は外出したくありません。

 どうせ明日から暫く遠出なのですからね。



「ゼファ、いいんじゃない? 剣でなくても十分分かるよねっ!」

「ラミ姉さんが言うのなら……」


 渋々とゼファールさんが机の上に、腕を置いてきました。シーレイさんも腕相撲なら大丈夫かな、と思ったのか、静観してます。



 さーて。

 ちゃっちゃと終わらせましょう。


 私は椅子に座ってゼファールさんの手を握り、そしてシーレイさんへ目配せしました。 彼女は互いに掴んでいる手の上から両手を置いて「あたしが手を離したら開始よ」と伝えてきました。


 私とゼファールさんの二人が頷くと、カウントダウンを始めました。



「5……4……3……2……1……ゴー!!」



 ゴー、の掛け声と共にシーレイさんの手が離れた直後、ゼファールさんがぐっと力を入れてきました。



 ……が。



「あ、あれっ?」



 彼が力を入れれば、私の腕などすぐ倒せると思ったのでしょう。実際、手の大きさ、腕の太さは、彼の方が二回り以上大きいですしね。

 でもぴくりとも動かない私の腕が予想外だったのか、気の抜けた声を上げました。

 その後、力いっぱい私の腕を倒そうとしているものの、もちろんびくともしません。

 顔を真っ赤にして、この野郎、くそっ、とか呟いているけど私は涼しい顔で如何にも、この程度? とドヤ顔でゼファールさんを見てあげます。


 そんな私の反応に刺激されたのか、更に力を加えてきました。


「くぅぅぅ、な、なんで動かないんだ!」

「おおっ! すごいっ! ゼファって力は結構あるのに、ぴくりとも動かないよ? ナミルさんって凄い力持ちだねっ!」

「なんでだっ! なんでこんな小さい奴なんかに!」


 悔しがるゼファールさんに一言。


「ゼファールさん弱い」

「くっ!」



 さて、このまま力尽きるまでやっててもいいですけど、面倒ですよね。



「ゼファールさん、今からほんの少しだけ力を入れますから頑張って耐えてください」

「は?」



 初見のゼファールさん、ラミさんには分からなかったものの、シーレイさんとレイちゃんには通じたのかそそくさと机から離れていきます。シーレイさんはついでに近くで観賞していたラミさんを隣の机まで引きずっていきました。



「え? え?」



 周りの反応をみて困惑しているぜファールさん。

 でもそんな事はお構いなしです。やりますか。



「えいっ」



 私の可愛い掛け声と共にゼファールさんの全身が一瞬にして九十度ほど傾き、そして腕が机にぶつかる音が激しく店内を轟かせました。


 ぐぇ、というカエルが潰れたような声をあげ、ゼファールさんは沈黙。

 痙攣を起こしながら白目を剥いているゼファールさんへ私は告げました。



「私の勝ちですね」


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