十二
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翌朝、私はシーレイさん率いるAランク冒険者『悠久なるファーガイツ』五人に護衛されながら、一路サルクルの森へと出発しました。
サイズさん曰く、シーレイさんが勝手に決めた事だけど引き受けたからには全力で護衛させてもらう、との事でした。
この辺りはプロですね。
ちなみに徒歩ではなく、馬に乗って移動しています。宿の厩で鳴いていた馬が、シーレイさんたちの馬だったそうです。
徒歩でリルリから来るなんて時間がかかって仕方ないそうですよ。あはは。
さて、悠久なるファーガイツの紹介でもしてみますか。
まず、このパーティのリーダーである人族の剣士シーレイさん。女の子好きで壊れキャラな女性ですが、剣の腕前はかなりのものだそうです。
昔、アーヴェン様と剣の模擬戦をして、引き分けた事があったそうです。でもアーヴェン様って確か剣より魔法のほうが得意なんですよね。
そう考えると微妙ですけど……。
次が人族の盗賊サイズさん。パーティの折衝役から情報収集、そして戦闘では斥候と索敵を引き受ける縁の下の力持ちです。
シーレイさんとは同郷で、兄貴分だそうです。
続いて人族の神官ピーリさん。年がら年中神様に感謝している人で、神官らしいといえばらしいですけど、故郷でも感謝ばかりしすぎているみたいです。
ちなみに戦神フレルの神官だそうです。戦神を信仰しているなんてイメージと違いますよね。
そしてドワーフ族のデヴィハさん。鍛冶も出来るので自前で武具の修理も大丈夫だそうです。経費節約できますね。
如何にも重そうな戦槌と呼ばれる大きなハンマーと自身の身長をすっぽり覆い隠すほどの盾、あとは鉄の鎧で身を固めたかっちこちの重戦士です。
というか、馬が大変そう……。
トリがハーフエルフ族のエレシアさん。風系を得意とする魔法使いで、御年びっくりの九十五歳。
でもハーフエルフは四百年ほど生きるそうで、ようやく若手から抜け出したくらいの年齢だそうです。
そして、何故ファーガイツ川の名前をパーティ名にしているかといえば、五年ほど昔にファーガイツ川に魔物の大群が押し寄せたらしいのですが、その時偶然彼ら五人が臨時でパーティを組んで対応したのがきっかけだそうです。
人に歴史あり、ですね。
「シーレイさんはよくサルクルに来るのですか?」
私はシーレイさんの馬に乗せられていました。しかも何故か彼女の前に、ですよ。
さっきから必要以上に腰に手を当ててくるし、隙あらば胸を触ってこようとしています。思わずけり倒したくなりました。
この人、そっちの毛がありますよね。身の危険を感じたら容赦なく即座に肘鉄からのアッパーを放つつもりです。
「サルクルの森への立ち入り許可が出たのはここ二年くらいだから、まだ数えるほどしか行ってないわよ」
「と言う事は、Aランクになって二年経ったという事ですか。リルリにはシーレイさんたち以外にAランクの冒険者って居ないんですよね」
「去年までは居たんだけどね。半年前にガイゼンへ移籍しちゃったのよ。基本的に冒険者ギルドの支部ごとに、最低一組はAランク以上の冒険者の滞在が必要だからね」
へぇ、そんな制約があったのですか。
ランクが高くなると自由に別の町へ移動できないのは不便ですね。
「でもその代わり定期的に収入は入ってくるけどね」
「なるほど。言い換えればリルリの冒険者ギルドの護衛をしている、という訳ですね」
「あ、そういう事になるわね。へー、ナミルちゃんって言葉遊び好きなんだ」
「嫌いではないです。それよりお尻が……痛いのですけど」
乗り始めてすでに半時間ほど。最初は良かったのですけど、突き上げるような衝撃でお尻が徐々に痛くなってきました。
上下に動くタイミングで身体も上にあげるのが良いのですが、残念な事に私の身長では足が届かないのです。
ううー。走らなくてもそれなりの速度で移動できますから楽ですが、これは地獄です。
「慣れないうちは仕方ないわよ。あと一時間くらいで着くと思うから我慢してね」
「一時間……」
このまま降りて走りながら並走したい気分です。
……あ、そうでした、私は魔力障壁を張れるのでした。お尻に張れば良いだけですね。
では早速。
私が周囲の魔力を集めてお尻に集中させて障壁を張った瞬間、突然エレシアさんが後方から追い上げ並走してきました。
「今の何!? ナミルさんのお尻に不自然なものすごい圧縮された魔力が集まったんだけど!?」
「え? そうなの?」
あ、エレシアさんって魔力が視える人、もとい視えるハーフエルフだったのですか。今までそんな人いなかったのに、さすがハーフとはいえエルフですね。
でもシーレイさんは何が起こったのか気がつかなかった様子です。
「お尻が痛かったので、魔力の障壁を作って守ろうとしただけですよ」
「あれだけ高圧縮された魔力を作るなんて普通じゃないよっ?!」
「そうなのですか?」
カンガルーのカンさんと模擬戦していた時は、これよりも更に圧縮した魔力障壁を張っていたんですけど。
そうしないと、カンさんのパンチが痛すぎるんですよね。カンガルーの魔物のくせに、強すぎですよね。
フットワークが良いからなかなか攻撃当たらないし、下手な攻撃出すとカウンター喰らっちゃうし、しかもお腹の袋から剣を取り出すけどどう見ても袋と剣のサイズが合わないし。
何あれ? 某猫型ロボットのポケットなの? というか、カンさんってボクサーっぽいのに剣も使うなんて卑怯ですよね。
ま、最後は私がキレて限界まで身体能力を上げて殴って終わりでしたが。
その次の日身体中が筋肉痛になりますからやりたくないんですけど、どうしてもイラっときて、ついやっちゃうんですよね。
吹き飛ばされ、戻ってきたカンさんは決まって『ボス、力任せの攻撃じゃ身を滅ぼすぜ?』なんていう意識が読めるんです。
あの私の全力攻撃を受けても、はるか遠くへ吹っ飛んでいくだけですむカンさんも凄い魔物なんでしょうけど、それにしても腹が立ちます。
と、話が逸れましたね。
「へー、ナミルちゃん凄いのね」
「シーレイさん、凄いなんてレベルじゃないよっ! 下手すると宮廷魔導師よりも魔力の扱いが上手だよ!」
「宮廷魔導師より? それは凄いわね」
宮廷魔導師って、帝国の魔法使いたちの頂点に立つトップ集団の事ですよね。確かその筆頭が百歳を超えたお爺さん、と言う事を聞いた記憶があります。
ちなみに魔法使いが国から称号を得ると魔導師と呼ばれるようになるそうですよ。
「エレシアのいう事が本当なら、確かにサルクルの森を一人で自身満々に行こうとするのも分かるな。宮廷魔導師は冒険者ランクでいえばSくらいある奴らばかりだし」
サイズさんも話しに加わってきました。
「ナミルさんってすごい攻撃魔法とか使えるの?」
「私が使える魔法は《発火》だけですよ」
「《発火》ってあの火花が飛ぶ奴だっけ?」
「ああ、魔法使いが一番最初に覚える火の魔法が《発火》だな。別に魔法使いじゃなくても、使える奴は多い。野営するとき便利だからな」
「ああー、火を熾すのに便利だよね。あたしも覚えようかな」
シーレイさんとサイズさんが話している間、何故かエレシアさんは混乱しているのが手に取るように分かりました。
頭の上に、はてなマークが飛び交っているのが目に見えるようです。
「何であれだけ魔力の扱いが上手なのに《発火》しか使えないの?」
「何で、と言われましても……。それ以外覚えてませんし」
「アンバランスすぎるよ。勿体無い。ナミルさんなら魔法を覚えればすぐ宮廷魔導師になれると思うよ」
嫌ですよ、そんなお堅い職業。今の気楽な生き方が私にはあってます。
「面倒ですし、それに魔法を覚えるのに非常にお金がかかりますから。《発火》だって結構高かったんですよ」
「私が教えてもいいかギルドに確認しようか?」
魔法は勝手に教えることはできません。
下手に魔法を使って、制御に失敗し魔力暴走させると下手な部屋なら吹き飛んでしまいますし、そこまでいかなくとも、本人の命に関わるようなダメージを負う事があるからです。
だから国から認可された機関、あるいは個人から許可を貰う必要があります。
「いえ、そこまでして貰うわけには……」
「まあ無理強いはできないけど、ナミルさんは魔法使いの素質あると思うし、気が変わったら言ってね」
「はい、ありがとうございます」




