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幼馴染は半陰陽  作者: 海老野素揚
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第9話 静と動

4月。


僕たちは中学3年生になった。


あれから真が家に来ることはなかった。

交換日記も止まってしまっていた。

始業式の朝、真が迎えに来るか心配してたが

迎えに来てくれた。

「あの時は、ごめん」

僕は謝った。

「真があんなに辛い思いをしていたなんて知らなかった。

僕は真の気持ちを考えないでわがままばかり言ってたよ」

「ううん。私も酷い事言っちゃってごめんね。

でも、全部話してスッキリしちゃった。

これからは遠慮なく何でも話せそう」

真と仲直り出来たかな、と思っているうちに学校に着いた。


下駄箱にはクラス表が山積みになって置かれていた。

僕は表を見た。

僕と真、それに神崎が同じクラスになっていた。

「また一緒のクラスだね」

真は嬉しそうに言った。

「そうだね・・・」

僕は複雑な心境だった。

真と同じクラスになったのは嬉しい。

でも、何か起きた時に苦しむ真の姿を見るのは嫌だった。




僕が考えていたよりも1学期は平穏だった。

真は相変わらず女子をしていた。

真から男性化を止める薬は飲まなくなった

と聞いていたので体が急激に男性化するかと思っていたけど

そんなことはなく今までと変わらない生活をしていた。

その一方で、真が男になる為の準備も進行していた。

ある時、真から買い物に一緒に来てほしいと言われた。

着いた先はデパートの洋服売り場のメンズコーナー。

真は自分が着る服を買いに来たのだった。

それを誰かに見られた時の為に僕を連れて来たのだ。

僕は母さんが適当に買ってくる服でいいやと

こだわりなんてなかったが、

自分で選びたいと思うなんて

真はまだ女の子なんだという事を実感した。




そうしているうちに7月になり

進路相談が活発な時期を迎えた。

将来どういう道を目指すのかを決める3者面談が

毎日のように行われていた。

僕は将来の事を何も考えていなかった。

ありきたりだけどスポーツ選手になりたいと

思っていた時期もあった。

習い事にも行ったけど、どれもだらだらとやっただけで

何の手ごたえを感じることもなく終わってしまい

今日まで来てしまったのだ。

僕の3者面談は特に何もなく

こういう成績なので偏差値がこれくらいの

学校にいけますね。くらいの話で終わった。


「3者面談はどうだった?」

僕は真に聞いた。

「大変だったよ。いろいろと。

おかげで3時間以上かかっちゃった」

「そんなに!?」

「話すこといっぱいあったからね」

「どんなこと話したの?」

「私って病院通う為に毎週早退してたでしょ?

だから、そういう事情を理解してくれるところじゃないと

行くのは難しいかなって。

あと、2学期からどうするか?とかね」

「2学期から?」

「うん。先生は私がずっと女の子でいると思ってたみたいなの。

だから、高校から男の子になるって話したら大騒ぎになっちゃった」

「そりゃあ、驚くよ。それで先生は何て言ったの?」

「これから学校で話し合いをして夏休み前に決めるって」


僕は真の話に矛盾があることに気が付かなかった。

そして、矛盾の正体を知ったのは夏休み直前の事だった。

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