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幼馴染は半陰陽  作者: 海老野素揚
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第4話 相合傘

月曜日。


僕と真は同じ時間に家を出た為、一緒に学校に行くことになった。

こうやって真と一緒に登校するのは久しぶりだった。

「お父さんに怒られたんだって?」

真が聞いてきた。

「うん」

僕は答えた。

「ごめんね。私のせいで酷い目に遭わせちゃって」

真が謝ってきた。

「仕方ないよ。それより大変な事になってるって聞いたけど」

「私の体の事だよね・・・」

沈黙が流れた。

「あのさ・・・僕でよければ相談にのるよ」

「えっ?」

「他に話せる人がいないでしょ?だから・・・」

「うん。ありがとう」

真は少し笑って返事をした。

そうしているうちに学校に着いた。

僕と真はクラスが違うため一緒にいられるのはここまでだった。




翌日。


今朝は真と会うことはなかった。

僕は学校に向かう途中考え事をしていた。

もし、体の事が周囲にばれたら真は間違いなくいじめられる。

周囲の変化に気が付ければいいが、クラスが違うためそれも難しい。

頻繁に会いに行くと怪しまれる。

さりげなく状況が解る方法があれば・・・

答えが出ないまま学校に着いた。

教室に入るとあるものが見えた。

それは、黒板に書かれた相合傘だった。

僕と真の名前が書かれていた。


僕と真は1年生の時は同じクラスだったこともあって一緒に登下校していた。

しかし、2学期になると毎朝黒板に相合傘を書かれるようになり

それが嫌で一緒に登下校するのを止めてしまった。


はぁ・・・


僕はため息をついた後、黒板消しを持ち相合傘を消そうとした。

ふと、ある考えが閃いた。

周囲を見回しある人物を見つけた。

「神崎、ちょっといいか?」

席に座ってた神崎を呼んだ。

「何だ?」

僕は相合傘に書かれた真の苗字、藍原を消し神崎と書いた。

「これどう思う?」

僕は神崎に聞いた。

「げっ!?」

神崎は驚いた。

「勘弁してくれよ。ていうかおまえ、そっちの気あったのか?」

「ねーよ」

僕は即否定した。

「相合傘でこういうのあるのか?って思ってさ」

「ないない。相合傘は男女の仲を書くものだから。頼むから早く消してくれ」

「そうだよなー」

僕は相合傘を消した。

これは使えると思った。




「真、明日からまた迎えに来てくれ。一緒に登校しよう」

家に遊びに来ていた真に提案した。

「どうしたの?急に」

「この前相談にのるって言ったけどクラスが違うから話聞けるのは

登校の時くらいかなって思ってさ」

「私はいいけど、また相合傘書かれるよ?」

「こんな事になったんだからいちいち気にしてられないよ」

「そっか。うん。解った。朝練がある日は無理だけど何もない日は迎えに行くよ」


こうして、昔のように真と一緒に登校するようになった。

真の話を聞くという目的もあったけど本当の狙いは相合傘だった。

相合傘を書かれるという事は真が女子と認識されているものと考えたからだ。

相合傘がかかれなくなったり変な言葉が書き加えられたら体の事が周囲にばれた

というサインになると考えた。


しかし、この計画はすぐに失敗してしまう。

真は週に2回部活の朝練があったので一緒に登校出来たのは週に4日。

日数に問題はなかった。

問題は、誰が相合傘を書いているのか特定出来ていなかったことだ。

書く人に見られなければ意味がない、という事に気が付かなかったのだ。

もう1つ問題だったのは、登校途中で真の友達に会ってしまう事だった。

女子の会話に入ることなんて出来るはずもなく

僕はただ二人の後ろをついていくだけになった。

当然の事だけど、悩み事を話せる状況ではなかった。


僕は別の方法を考えなければ、と思った。

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