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幼馴染は半陰陽  作者: 海老野素揚
3/16

第3話 和解

「実は、真は男の子だったんです」


真のお父さんの発言に僕たち家族は驚いた。

真のお母さんがA4サイズの封筒を持って戻ってきた。

中身がたくさん入っているのか封筒には厚みがあった。

真のお母さんが封筒を真のお父さんに渡すと

「これを見てください」

と言って封筒に入っていた書類をダイニングテーブルに広げた。

女の人の絵や表みたいなものなどが書かれた紙が何枚もあった。

その後、真のお父さんがいろいろ説明してくれたけど

難しい言葉がいっぱい出てきて解らなかったし

真が男の子だったという事実を受け止めるだけで精一杯だった。


何とか理解できた内容はこうだ。

半年前、つまり僕たちが中学2年になってすぐの頃

真のお母さんが真の下着に膿のようなものが付いているのを見つけた。

真が大変な病気になっているのではないかと思って病院に連れて行ったという。

しかし、行った病院では原因が解らず町で一番大きな病院で精密検査を受ける

ことになった。

その結果解ったのが、真が本当は男性だったという事。

分泌物の正体が精液だという事だった。

生まれつき持っていた病気が原因で男性の体になりきれず

女性の体になってしまったのだと。

こういう状態の人を「半陰陽」と言うのだそうだ。


結局、話し合いは2時間以上かかった。

最後に真のお父さんから真が悩みを打ち明けてきたら相談相手になってほしい

と頼まれた。




僕たちは家に帰ってきた。

僕はまだ頭の整理がついていなかった。

これから真とどう接すればいいのだろうか?

今まで通り女の子として接する事が出来るのだろうか?

もし、悩みを打ち明けられた時何て言えば良いんだろうか?

いろんな疑問が頭の中を駆け巡っていた。


「恭介」

ふと、父さんがしゃがみ込んで僕に話しかけてきた。

「何?」

そう答えると

「お父さんの事を殴れ」

と言ってきた。

「え?」

僕は返事に困った。

「お父さんは恭介の言葉を信じてやれなかった。父親失格だ。

これからも恭介の父親でいるには恭介をどれだけ傷つけてしまったか

知る必要がある。だから殴れ。遠慮はいらない」

少し考えて僕は

「解った」

と言った。


ぱちーん


父さんの頬を思いっきり叩いた。

父さんはしりもちをついた。

「はは・・・これは痛いな・・・そうか、お父さんは恭介にこんな痛い思いを

させてしまったのか」

頬をさすりながらこう答えた。

そして

「恭介、本当にすまなかった」

そう言いながら父さんは僕を優しく抱きしめた。

「うん・・・」

僕は涙を流して答えた。

「恭介、本当にごめんね」

母さんも僕を抱きしめた。

「うん・・・」

僕は泣きながら答えた。


離れていた両親との距離が近くなった。

そんな気がした。

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