第15話 真の手紙
恭介君へ
この手紙は私が手術を受ける前に書いています。
でも、恭介君がこの手紙を読んでいるのは私が引っ越した後だと思います。
恭介君とちゃんと話さないといけない事なのかもしれないけど
恭介君が泣いちゃうところを見たくないのでずるい方法を使いました。
ごめんね。
恭介君、私の最後のわがままを聞いてください。
恭介君、私と離婚してください。
恭介君は覚えていないかもしれないけれど、
封筒に入っているのは私たちが5歳の時にやった
結婚式で使った指輪です。
もうはめることは出来なくなったけど
私はずっと大事に取っていました。
壊れてしまった時は直していました。
何時か、この指輪が本物の結婚指輪に変わる日を
ずっと夢見ていました。
でも、その夢は叶わなくなってしまいました。
私が男の子になってしまうからです。
男の子同士で結婚することは出来ません。
男の子になった私と恭介君は夫婦にはなれません。
夫婦でいられなくなったら離婚しないといけません。
だから、恭介君にこの指輪を返します。
夫婦が終わっても私と恭介君の仲が終わる訳ではありません。
これからは男の子同士、親友として仲良くしていきたいと思っています。
今まで仲良くしてくれてありがとう。
そして、さようなら。
女の子の藍原真




