第1話 突然の出来事
僕の名前は信原恭介。中学2年生。
僕には同級生で幼馴染の女の子がいる。
名前は藍原真。
明るく可愛くて性格も良い理想的な幼馴染だ。
欠点があるとすれば絶望的なほど胸がない事くらいか。
真と一緒にいると楽しかった。ずっとこんな日が続くと思ってた。
あの出来事が起こるまでは―――
「恭介ー。真ちゃんが遊びに来たわよー」
母さんの声が聞こえた。
「はーい」と僕は答えた。
ほどなくして、白いシャツに水色のスカート姿の真が部屋に入ってきた。
「いらっしゃい。今日もゲームして遊ぶ?」
僕はいつも通りテレビゲームの準備を始めた。
僕の部屋にあるゲーム機はとにかくソフトが高い。1本1万円近くもするのだ。
中学生のお小遣いじゃ必死に貯めても年に1本買えるかどうかという金額だが
僕の家にはそれが十本以上もある。
そんなに買えるのは真のおかげだ。
真と一緒に遊ぶためと言って親に買ってもらっているのだ。
ホント、真様様だ。
「真、見て見て。最近出たばかりのRPG買ってもらったんだー・・・って真?」
僕は真の様子がおかしい事に気が付いた。
何か思いつめた表情で扉の近くでずっと立ったままだったのだ。
「どうしたの?」
そう尋ねると真は僕に勢いよく近づき両手で僕の両肩を持ったかと思うと僕を押し倒してきた。
「ま、真!?」
驚いていると真は
「恭介君。私、女の子だよね?」
と言ってきた。
「え?」
訳の分からない質問を真顔でしてきた真に僕は戸惑った。
「何を言ってるの?」
そう聞き返したけど真は何も言わずに立ち上がり、突然服を脱ぎ始めた。
「ちょ、何を!?。バカ。やめろって」
僕は真の姿を見ないように顔を横に向け手で目を隠した。
「ちゃんと見て。お願い・・・」
その言葉におそるおそる手を動かし顔を向けた。
そこには全裸の真が立っていた。
「私・・・女の・・・子・・・だよ・・・ね」
真は絞り出したような声で僕に聞いてきた。
僕は真の体をじっくりと見ていた。
顔はうつむいていたが目をぎゅっとつぶっているのが見えた。
肩がかすかに震え両手は拳を握っていた。
辛い事に耐えている、そんな様子だ。
胸を見て驚いた。
普段からぺったんこぺったんこ言っていたけど本当にぺったんこだった。
少しくらいは膨らんでいるだろうと思っていたけど全く膨らんでなく
僕の胸と同じと思えるほどだった。
そして、股間を見た時、僕はあ然とした。
そこには本来女の子にはないはずの長さ2センチほどの棒状の物。
男性器と言ってもいい物が付いていた。
「それ・・・男の・・・」
僕は思わずそうつぶやいた。
真はその言葉を聞くと顔を上げて僕を見つめた。
目には涙が浮かんでいた。
「そうだよね・・・もう私・・・女の子じゃないよね」
そう言うと真はへたり込み泣き出した。
「お、おい真どうしたんだよ。ていうかその体・・・あぁ、もう何がどうなっているんだよ」
僕は頭をかきむしって立ち尽くしていた。
「泣き声が聞こえるけどどうしたの?」
母さんが部屋に入ってきた。
「恭介!!!あんた何やってるの!?」
母さんの悲鳴にも似た声が響き渡った。
パチン。
その夜、さっきの出来事について家族で話し合いが行われたけど
そこで僕は父さんに頬を叩かれた。
「真ちゃんが突然服を脱いだなんてそんな話信じられるか」
「本当なんだって。信じてよ」
「もう一度聞く。真ちゃんに何をしたんだ?」
「だから、何もしてないよ。真が突然服を脱ぎ始めたんだよ」
パチン。
再び頬を叩かれた。
「何で・・・何で信じてくれないんだよっ!!!」
そう叫ぶと自分の部屋に閉じこもった。
「何で・・・何で・・・」
僕は一晩中泣いた。