幽霊探偵の苦労②
「これはひどいのう」
頭を抱えて悩むじぃちゃんに目を逸らすことしかできない俺
「元影さんとやら、これは一日じゃとてもじゃないが祓えん」
「え・・・そんな・・・」
「それは幽霊とか悪霊とかの類いではない、祟り神じゃ」
祟り神、通常は祟りしかもってこないけど手厚く信仰したりすると強力な守護神になってくれるという中二病的設定がある
「なにそれ、ヤバイじゃん」
「みすず、弥生を呼んできなさい」
「わかった」
弥生とは親戚のお姉さんである。親族では珍しい零感だ。黒いサラサラの髪をパッツンに短く切っていて切れ長の目で美人です。はい。よくお手伝いに来てくれる。近所のうちが管理してる廃れてた神社で神楽を踊ってたりもする
「呼んできたよー」
「失礼します、何用でしょうか?」
「この娘の身を清めてきてほしい。着替えを手伝ってあげなさい」
「はい」
うちの敷地は広い。本堂と母屋(いつも生活してる家)それから滝がある。よくうたれた、冷たいし痛いし、正直オススメしない
「えっとなにをするんですか?」
「滝にうたれるんだよ、この時間だと相当冷たいし痛いから気をつけて」
ズルズルと弥生さんに奥へと連れて行かれた。じぃちゃんは準備があるとかでお堂を後にする。この微妙な空気がつらいです
『あの、どうすれば』
『とりあえず、下着を全部外してこれに着替えてください』
「「⁉︎」」
生々しい会話が・・・!
どうすれば!!
『どうやって着るんですか?』
『とりあえずこれを羽織ってから胸の下にこの帯を・・・』
「みすず、俺たちはいつまでここにいなければならないのだろうか?」
「影元さんの着替えが終わるまでだよ」
何かあっては困るのでここにいなければならない。なんの苦行だよ
「着替え終わりました。おじぃさまは滝の場でしょうか?」
「「たぶん」」
「あ、あの!理由は言えないけどあんまりこっちみないでね!!」
顔真っ赤にして言わなくても大丈夫です。ノーブラノーパンの女の子を直視できるほどメンタル強くないです。
◆◆◆◆
「えっ・・・と、これにあたるの?」
ざあーっと打ち付ける音が怖いよね。昔ちびったもん
そろそろと滝の中に入っていく元影さんと弥生さん。ん?弥生さん?
「なんで弥生さんも一緒に入ってるのー?」
「ここの滝は少し辛いと思うので私も一緒にと」
「弥生さん、ありがとうございます。心強いです」
「いえ、私も最初は怖かったので」
手を胸の前でくみ目をつむること約1時間
「もう、いいじゃろ」
「あがってもいいってー!!」
あがった瞬間元影さんは倒れこみそうになったのを俺が運良く支えた。冷たく震えてる。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫。ごめん、服濡れちゃうね」
「いいよ」
「今日はうちにとまって行きなさい。少しでも祟り神を抑えられるようにつとめる。昨日はゆっくり眠れんかったじゃろう」
「それがいいね、着替えは・・・どうする?」
「男所帯だからな、どうしようか」
「あ、私家に着替え取りに行くよ。あと親に許可もらいたいし」
少し回復した元影さんが弱々しく答えてくれた
「弥生、ついていってあげなさい」
「はい」
ちなみに弥生さんは合気道有段者