幽霊探偵の苦労①
朝、教室に入った瞬間だった
「たすけて!」
と言われそのまま俺の胸の中にダーイブ!なんのご褒美ですか⁉︎生まれてこのかた女子に抱きつかれたことない、というか彼女すらいない俺になんのご褒美ですか⁉︎もしかしてそういう罰ゲーム⁉︎
「えっと、どうしt・・・」
「いやああぁぁぁぁ!喋らないで!」
「はい、すみません」
俺、半泣き状態。そんなに露骨に拒絶しなくても
「ち、ちがうの!此ノ方くんのことじゃないの!」
「そ、そっか」
よかったああぁぁぁ!女子に拒絶されるとか彼女いない歴=年齢の俺には重すぎる!!
「あ、ごめんなさい!いきなり・・・」
「いや、べつに。それでなにかあったのか?」
離れなくてもいいのに
「うん、それがね・・・」
話を聞くと昨日の放課後、家に帰ろうと学校内を歩いていたとき後ろから裸足でで歩く音が・・・最終的には『私はだれ?』という声とともに振り向いて気絶。それから見回りの先生に助けられ帰宅したのはいいが耳元でずっと『私はだれ?』とささやかれるらしい
なにかに憑かれてるかもなぁ
憑かれる、といっても人間の背中とか肩とかにくっついてるやつは目で見えるし祓いやすい、でも、人間の中に入ってるやつは見えないし祓いにくい、らしい。みすずが言ってたことである
「あのさ、申し訳ないんだけど、俺は祓うことはできないんだ」
「え、そうなの?」
そんな泣きそうな顔で俺にをみるな!罪悪感ヤバイから!!
「みすずならできるんだけど・・・」
俺の無力さよ・・・。俺がお祓いとかすると祓った霊が俺に取り憑くというふざけたことになってしまうためみすずとじぃちゃんに禁止されている
「放課後まで我慢できる?できないようだったらみすずに今来てもらうんだけど」
「いいよ、隣の此ノ方くんに迷惑かかるから、我慢する」
なんていいこなんだ!えーと名前なんだっけ、えーと・・・
そうだ!思い出した!元影千秋・・・だったような気がする!
「辛かったら無理しないでね」
「うん、ありがとう」
◆◆◆◆
というわけで放課後です
「みすず、どう?」
「うーん、なんか嫌なもの取り憑いてるなぁ・・・これは寺にいって祓った方がいいね、元影さん時間ある?」
「う、うん、大丈夫」
あの後元影さんはいきなり震え出すわ叫ぶわで大変だった。元影さんよく、がまんしたなぁって思う。すごくやつれてるし
なるべく急いで寺まで向かった。途中元影さんがおかしくなったけどなんとか正気に戻して無事到着
「じゃぁ、これから祓うんだけどなにか頭が痛いとかそういうのあったらいってね」
珍しく正装のみすず。巫女服の男バージョンみたいなやつ。なんか別に私服でやっても構わないんだが雰囲気を出すためらしい。俺の時は私服なのにな
「世尊妙相具我今重問彼仏子何因名為観世音具足妙相尊偈答無尽意汝聴観音行善応諸方所・・・」
前とは違うお経。なんか、気分で変えてるらしい。そんな適当でいいのか!と思うだろうがお経なら対してかわりない。うちは肩書きは浄土真宗なのだが、正直そういう意識は皆無に等しい。あれだ、うちはうち、よそはよそ。みたいな
そうしてるうちに黒いモヤモヤがでてくる。元影さんものすごく具合悪そう。汗すごいし息も上がってる
「いすず・・・」
「どうした?」
「おれ、無理・・・」
そう言って顔を真っ青にして便所の方へと走って行った
「此ノ方くん、どうしたの?」
「あぁ、たまにあるんだ。みすずに合わない幽霊と会うと軽いやつだと頭痛、重いやつだと汚い話だけどゲロ吐きにいく」
「えぇ⁉︎だ、大丈夫かな⁉︎」
「大丈夫大丈夫。それから俺のこと名前でいいよ。名字だとみすずと区別つかないから」
フラフラと顔が真っ青なみすずが戻ってきた
「大丈夫か」
「大丈夫、うぉえ」
「じぃちゃん呼んでくる」
出てきたやつは口が耳までさけ、眼球は飛び出し鼻は曲がってる。じぃちゃんを呼びにいく俺をニタニタと笑っていながら見てた。そして口が少し動いた
『私は・・・だれ?』