幽霊探偵の憂鬱④
家に帰った俺たちはお堂にいた。目の前ではみすずが紙垂(紙が垂れ下がってるお祓いとかに使われるシャッシャするやつ)を手に持ってお祓いしてる
俺の目の前にはおはぎの正体がおかれていて、なんでも俺に憑いてるあいつを呼び出すらしい
「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空度一切苦厄 舎利子色不異空空不異色・・・」
かくいう俺は座禅くまされてる。昔からのことだから慣れてるんだけど、ちょっと足しびれてきた
『見つけてくれたんだ』
あぁ、みつけた
『ありがとう』
その言葉とともに俺の意識はなくなった
◇◇◇◇
「ひっ・・・ぐすっ・・・おがぁさっ・・・おどぉさっ」
棺桶の前で茶髪の子供がしゃくりをあげながら泣いていた。その隣にはその子の祖父母と思わしき人が背中を撫でている
棺桶の中には目をつむった女性と男性が入っていて、一目で死んでいるということがわかる
「いやだよ・・・ひっぐ・・・目を覚ましてよ・・・」
その子供の首には銀色のペンダントがぶら下がっていた
◇◇◇◇
「ん・・・」
「大丈夫?」
「あぁ、今何時?」
「夜中の3時回ったところ」
「じぃちゃんたちは?」
「もうとっくに寝た」
おはぎの正体、つまりはペンダントなわけなんだが、どうやっても開けなかったのに、開いた状態で置いてある
「成仏したのか?」
「たぶん、笑顔だったよ。最後に写真でもいいから見たかったのかな。家族の顔」
そのペンダントのなかには幸せそうな家族が写っていた
◆◆◆◆
後日談
その自殺の件を知っている教師がいて、話を聞いたらもうその家族の祖父母も死んでいて、親戚とかもかなり疎遠らしかった。
学校側はイジメを認識し、それなりの対処をとっていたが、結果的に一人の若い人間を殺してしまっているという事実が生まれた
俺はあの後その家族たちが眠る墓へと行ってきた。手入れのはいっていない墓をみすずと洗い、花と酒を備えてペンダントを置いた。不思議なことにペンダントは砕けバラバラに
「いすず!学校遅れるよ!」
「今行く・・・⁉︎」
「あーあ、また変なのくっついた!学校着いたら祓うから、いいね!」
「すまない、頼む」
本当に厄介な体質だなぁ、まったく




