幽霊探偵の憂鬱③
「さて、どうするかな」
「じゃん、いすずがいったことノートにまとめてみたよ」
「すごいな」
みすずが書いたノートを見ながら考えてみる。あの夢での重要アイテムは『おはぎ』だろう。そのおはぎがなんなのかわかれば・・・
「その河原はどんな河原だった?」
「うーん、普通の河原だった」
「なんか目印とか」
「んー・・・祠があったな、赤いくたびれた屋根の」
「ほかは?向こう岸にはなにが見えた?」
「真っ暗だったな」
「多分その河原隣町のだと思う。昔二人でチャリこいで行ったところ」
あぁ、なんとなく覚えてるな。そういや祠あったっけ。たしかその祠の中身地蔵だったな。
「優しそうなじぃちゃんがいたとこか」
「うん」
明日放課後にでも寄ってみるか。なにか手がかりがあるかもしれないし
俺はそのままぐっすりと眠りについた
◇◇◇◇
『ねぇ』
だれだ?
聞き覚えのない声
『聞こえてる?』
聞こえてるよ、俺はねむいんだ。寝かせてくれ。明日学校なんだ。
『ごめん、首なんて締めるつもりはなかったんだ。僕はもうだめなのかもしれない。僕が、僕が悪霊になる前に、どうか』
タスケテーーーー
◇◇◇◇
ピロロロ
「んぁ・・・朝か・・・」
5:00、シャワーを浴びて目を覚まし、ついでに制服に着替える。
5:30、みすずを起こしに自分の隣の部屋へ
「みすず、起きろ。朝だ」
「・・・あーい」
そのあとじぃちゃんと一緒に境内の掃除を簡単にして、朝食をつくる。みすずは家の中を簡単に掃除をするという俺たちは学生らしからぬ朝を送っている。
7:30、学校へ
「みすず、今日の放課後河原に行ってみるよ」
「おれもついてくよ」
「いいよ、べつに」
「行きたいから行くの」
ということでついてくる気らしい。意味わからんわ
◆◆◆◆
ということで放課後
時間の流れははやいな。
隣のクラスまでみすずを迎えに行く途中クラスの女子に話しかけられた
俺はこう見えて女性慣れしてない。どう話せばいいのかイマイチわからない。どうしようどうしようと内心パニック
「あの、今いいかな・・・?」
「無理かな、用事があるんだ。明日くらいなら構わないんだけど」
「あ、そ、そだよね、此ノ方くんにも用事あるよね。ごめんね」
「ごめんな。じゃあ」
時間があれば喜んで乗るのに、なんでこういうときに限って時間がないんだ!俺のアホ!!
「あ、みすず」
教室を出ようとしたらもうみすずがいた。その生暖かい目をやめてくれ
「話してくれば?」
「時間が惜しい」
「おれは待ってるよ?」
なんか、期待されているような気がするが、放っておくことにした。ここから歩いで河原まで1時間はかかる。家にはなるべく早く帰りたいんだ
◆◆◆◆
「懐かしいな」
なんにもかわってなかった。
浅瀬で昔あそんだなと、純粋に懐かしかった。
「あるな、祠」
ボロボロの祠に地蔵がさみしげに祀られていた。そこには気持ち程度の饅頭とコーラが備えてある
「おや、いつぞやの」
声をかけてきたのは昔祠にいた優しげなじぃちゃんで、昔となにも変わっておらず、俺たちは目を見開いた。正直、この世のものではないと、確信した
「・・・お久しぶりです」
「随分、大きくなった」
「そりゃぁ、10年くらいたちますから」
「おじいさん、なにも変わってないですね」
ニコニコと優しげに笑っていて、怖いとも、不安とも俺らは思っていない。なぜ、まだここにいるのか
「それより、なにをしにここまで?」
「えっと、さがしものです」
「ほう、どんな」
「わからないです、ただ、この辺りに落ちているのでは、と」
「わからない?こりゃまた愉快なさがしものだ」
どうしてここにさがしものをしに来たのか、話して見た。じぃちゃんはニコニコ笑って頷きながら聞いてくれて、不思議となんでも受け入れてくれるんじゃないかって思った
というか、みすずはどこいった。さっきから俺ばっか話してるぞ⁉︎
みすずはカップの日本酒を祠に備えて、こちらに手を振っている。腹立たしいな、おい。
「なるほど、それなら心当たりがある。黒いおはぎのようなもの、それは多分川の中にしずんでいるね。茶色い髪の子がよく探しにきていた。そうか、あの子は死んだか。そうかそうか」
悲しげな目で、川を眺めるじぃちゃん
「じゃ、探してみようか、みすず」
「そうだね、おじいさん、どこらへんに落ちたか覚えてる?」
「奥の方だ、結構深いところまでとんでたからな、気をつけなさい」
川にはいると俺の膝したまでしか水がなかった。しかも冷たい。奥の方まで探しに行く。ここは俺の股下までの水
ない、ない、ない
出てくるのはゴミばかりでそれらしいものは見つからない。探すたびにゴミばかりが積もって行く。近くのコンビニでみすずがゴミ袋を買ってきたのでそれに投入。
8時に差し掛かり、もう上がろうかと思ったその時・・・
チャリ
見つけた。そうか、これか。あいつの探してたもの