幽霊探偵の憂鬱②
「いすず?いすず⁉︎」
首が痛い、頭痛がする、ついでに吐き気も
「みすず・・・か?」
「そうだよ、なんでこんなところでねてるのさ」
「ちょっとな、色々あって」
こいつは弟の美鈴、ちなみに一卵性双生児。黒い髪でストレートの俺に対してこいつは癖っ毛、柴犬の尻尾みたいなはねかたをしてる、顔はそっくり、まるで鏡をみてるみたいな、これいうとナルシストみたいになるのだが、正直、イケメソである
しかも、なぜこいつはモテて、俺はモテないんだ!顔はそっくりだぞ⁉︎
「ちょっ⁉︎いすず⁉︎痛いっ痛いんだけど⁉︎」
「うるさい」
ムカついたからほっぺたひっぱってやったぜ
「てか、また憑けてるよね、だれそれ?」
ちなみに俺と一緒でみえる
違うところと言えば霊媒体質じゃないってことだろうか
お祓いとかできる、よく祓ってもらうし、助かる、感謝感謝
「しらん、事情は家に帰ってから話す。じぃちゃんいた方がいいだろ」
「おっけー、いすず、今日の晩ご飯はハンバーグがいいなぁ」
「わかった」
俺たちの家系は代々霊がみえる体質で、男は神主や除霊などを行い、女は降霊や呪いの類を担当する決まりになっている
母親は4年前、つまりは俺が中学1年の時に死んだ。病死らしい。
父は婿入りだから見えない、まったくの零感である。羨ましい
そのなかでじぃちゃんは神主を務め、除霊とかしてる。うちは寺だから近くに墓とかあって怖い、よく呼ばれたり連れて行かれたりした
「いすず、それ祓ったほうがいい?おれ的にめっちゃ気になるんだけど」
「いらね、というかまだダメ」
「ふーん?」
◆◆◆◆
スーパーで買い物を済ませて5時には帰宅できた
「ただいま」
「おぅ、帰ったか・・・っていすず、また変なもん憑けてきおって、祓ってやるからこい!」
「いいよ、なんか、祓っちゃいけないような気がするんだ」
「またお前はそんなこといいおって!」
「じぃちゃん、いすずもなにか思うところがあるんだよ、それにいすずの祓っちゃいけないような気がするって大体あたるし」
「またお前は甘いことを」
なんていい弟なんだ。俺はこいつの兄でいて誇らしいと思う
晩飯をちゃちゃっとつくりばぁちゃんをよんでくる
ばぁちゃんはイタコをしている。もともと目が見えない人で若い頃イタコ修行をしている時にじぃちゃんと出会ったらしい
「おうおう、いすずや、また変なもんつけとるなぁ」
「なんでうちの奴らはみんなそう言うんだよ」
今日帰りにあったことを全部話した。
ところで・・・
「父さん、そこで耳を塞いでうずくまるのはやめてくれ、それから帰ってきたなら声をかけろ、飯は冷めないうちに食えよ」
「だって父さんは怖い話が嫌いなんだ。もうお化けとか幽霊って聞くだけでも鳥肌が・・・」
父さんはビビリだ。泣くな父さん
父さんは仕事がメインでうちの稼ぎ頭。家事は俺とみすずがやってる。台所仕事は俺、洗濯とか掃除はみすず。父さんには安心して家を開けられるようにがんばっている
「さて、いすず。なるべく早く済ませなさい。体を持って行かれる前に」
「わかってるよ」