君といた夏の日に僕は後悔をした。
時に、暗い夜のことだった。僕たちは夏祭りに二人で行っていた。
「輝くん、今日は家まで送ってくれてありがとう。じゃあまた今度。」
「あぁ、また今度。おやすみ。」
満月の下で微笑む彼女はとても幸せそうに「おやすみ」と返して自分の家へと入っていった。
彼女に満喫してもらってよかった。心のそこから思うことができた。今日の出来事で。
「ねぇ、輝くん...」
望月輝 現在高校二年生で、クラス目立つわけでも目立たないわけでもなく、スクールカーストで表すと2軍に属する。それに、輝は彼女いない歴=年齢の恋愛経験ゼロの非リアにも属してしまう人間だ。しかし輝は彼女がいないことを「作ろうと思えば作れるけどあえて作らない」とか「まだ高校生だし、大学行ったら作るから」などと言い訳をしている。そんな輝に声がかかった。
「深子、どうしたの?」
日比野深子 同じクラスで内気な性格のメガネっ子。一般的に見ると、顔は可愛い方で、優しい雰囲気を醸し出している。優しくて人当たりも良いので、よく告白されているらしい。しかし、告白はすべて断っているという話もある。意外と深子のことはだれも詳しくは知らないらしく、男に興味がないとか好きな人がいるとか根拠のない噂がよくたっている。
このとき輝は深子がはにかみながら聞く用件に検討がつかなかった。幼馴染だがそこまでかかわっているわけでもない。提出物でも出し忘れてるのを報告しに来たのだろうか。どんな用件かを考えていると深子が輝の顔を覗き込みながら口をひらいた。
「......輝くん!次の日曜日の夏祭り一緒に..行かない?」
「一緒にって...マジで!?」
深子がそんなそのようなことを突然聞くことが想定外ですごく驚いた。幼稚園から高校までずっと同じ学校だったのに夏祭りに深子から誘われたことがなく、そもそも遊びにすら誘われた事も昔の出来事にしか過ぎなかった。それより深子はデートになる事が分かっているのか。俺とのデートで深子は良いのだろうか。
輝がそんなことを考えていると、白い光が視界全体に広がっていきた。
「あれ深子、ちょっとくらくらしてきた....」
周りの音がだんだん小さくなって、深子の必死な声すら輝に届かなくなっていった。
「はぁ、夢か..」
ため息交じりでつぶやいた。気づいたら学校の廊下ではなく自分の薄暗い部屋の天井が見えて絶望した。本当に、本当に夢のような話が夢だとは思っていなかった。いつも通り時計を持ち上げるとそこには「7月20日5時34分」と書かれた文字列があった。
「今日は早めに学校に行こう。」
日常の小さな悲劇に輝はそう決心した。
「輝おはよう。今日はいつもより早いな。」
席に座って読書をしていると、クラスメイトの橘一翔が不思議そうに聞いてきた。
「一翔おはよう。まぁ今日は早く起きちゃってさ。」
「お前が早起きしたの初めて聞いたわ。なんか変な夢でも見たのか。」
「えっ、」
実際変な夢とはいかないものの、輝にとって可愛い女の子から夏祭りに誘われる夢は衝撃的だったからだ。さすが俺の親友、とも思ったがやはり当てられるとドキッとしてしまう。
「まぁそんなところだ。」
ここで下手に誤魔化すと色々聞かされそうだったので嘘はつかずにあっさりと返した。しかし、その回答になにかがあるような顔をしていた一翔だったが何かを察して詮索するのをやめた。そのとき、なにか思い立ったかのように聞いてきた。
「そうだ輝、次の日曜日花火大会があるんだけどみんなで行かね?今10人ぐらい集まってるし。」
「花火大会かぁ。」
輝にとって花火大会を行くことに願望があった。いつも近くで見れていなかった。母さんに言えば行ってもいいと言われると思うので、時間と場所だけでも聞いておこう。
「行けるかわかんないけど、会場と時間だけでも教えて。」
「九時から近くの山のらへんのデカい公園だけど。」
デカい公園の花火大会は輝の家族と深子の家族で見に行ったことがあった。でも、九時からだと帰るのが十時ぐらいになるので流石に行けそうにない。
「悪い、九時からはさすがに無理そうだ。」
「おう、わかった。」
一翔が返事をすると自分の席に戻って準備を始めた。喋り相手がいないので本を読もうとしたとき、聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「輝くん、おはよう。」
思わず息を飲んでしまった。今日夢で聞いた淑やかで優しい声が耳の中に広がってきた。
「深子、おはよう。」
そのとき、もしかしたら今日夏祭りのお誘いがあるかもしれない、と考えるとすこし期待を寄せた。が、そんなことはなく挨拶を交えたらすぐに深子は自分の席に戻って他の女子と会話を広げていた。
「やっぱり夢は夢かぁ。」
がっかりしたようにつぶやいた輝は、また読書を再開する。今度は誰からも声がかけられず、輝の席がまるで孤島のようになっていた。
望月輝は休み時間に廊下を意味もなく歩いたり、トイレに用を足すためじゃないのに行ったりする事がある。みんなも経験があることだろう。
廊下を往復する、階段を登ったり下ったりする、学校の別棟に行く、遠目のトイレに用を足しに行ったりする。時には机で読書をしたり、勉強をする。休み時間の潰し方には人それぞれであり、十人十色である。
今日も今日とて輝は意味もなく廊下をうろちょろする。そんなときだった。
「ねぇ、輝くん...」
「えっ」
見覚えのある光景に輝は驚き反射的に返事をしてしまった。夢と同じ声質、声量、同じ背景ではにかみながら輝に話しかけた深子に驚きを隠せなかった。夢の光景と今の光景が「夢って本当にあったのか....」と思ってしまうほどに一致していた。
「深子、どうしたの。」
夢を参考にするならばこのあとは深子に夏祭りに誘われる。どうすればいいいのかこの出来事は輝を悩ませた。その時、思っていたことが起こった。
「......輝くん!次の日曜日の夏祭り一緒に..行かない?」
「俺でいいの!?うまくエスコートできないけど。」
夢のことを考えていた輝は動揺していて思ってもないことを聞いてしまった。そのとき深子は残念そうな顔で輝の顔を覗き込みはみかみながら聞いてきた。
「輝くんとは幼馴染だしエスコートできないことぐらいわかってるよ。久しぶりに二人で遊びたかったから誘ったの。だめ?」
エスコートができないとは言ったが面と向かって言われると輝にも思うところがあった。しかし輝は、深子の可愛らしいおねだりに心を打たれ、すこし恥ずかしい気持ちになったが「行きたい」と心から思った。
「だめじゃないけど...。」
「じゃあいいの?」
「..いいよ。行こうか夏祭り。」
輝はそう言ってここから立ち去ろうと、歩き始めた。「詳しいことはあとで連絡するね。」と深子の声が後ろの方から聞こえてきた。しかし、最後微かに深子の声が聞こえたが、輝はその言葉を聞き取ることができなかった。すぐに振い向いたが深子はもういなく、背中を向けて歩いていた。
その日の放課後、家でゲームをしていると輝の携帯に深子から連絡がさっそく来た。
『ねぇ輝くん、夏祭りのことなんだけど今ちょっといいかな。』
『いいよ、今は大丈夫。』
輝は久しぶりの異性からの連絡で、千載一遇のチャンスを逃さないように慎重に丁寧に、少なからずフレンドリーさに気をつけて返信をしていく。
『夏祭りの日っていつまで居れる?私は九時ぐらいまで遊びたいけど。』
『うーん、母さんに聞いてみるけどたぶん九時ぐらいまでなら大丈夫だと思う。』
返信していて気づいたが、そもそも輝はどこの祭りに行くのがわかっていなかった。そのことについては聞いておこう。
『聞いてなかったけど、そもそもどこの夏祭りに行くの?』
輝は自分の部屋から出てキッチンの前まで母さんに遊んでいい時間を聞くために足を運ぶ。遠すぎなければたぶん許してくれるので気楽だ。
「母さん、今週日曜日の夏祭り行ってもいい?」
「いいけど、どこで何時まで誰といるつもりなの?」
母さんの回答にちょっと戸惑った。女の子と夏祭りに一緒に行くことを言わなくてはいけない状況に。幸い、母さんは深子のことを知っているからなんとかなるとは思うけど、母さんに色々問われてめんどくさいことになるだろう。そのとき、ちょうどよく深子から返信がきた。
『隣駅前の祭だよ。移動時間はちょっとかかるけど大丈夫?』
『わかった』
深子に直ぐに返信をして、母さんに当日の日時等を伝える。できるだけ面倒なことにならないように。
「隣駅前の祭りに九時ぐらいまで遊ぶつもり。」
輝はうまくごまかせたと思いったが、母さんは目を光らし、少し怒りぎみな声で問い詰める。
「日時と場所はわかったけど、誰と行くつもりなの?」
「高校の友達だよ、それ以外いないでしょ。」
輝は伏し目がちに答えた。母さんは少し考えたあと当日のことを口にする。
「わかった。ただし、9時までに家に帰ること、変なことをしないことは約束してね。」
「わかった。ちゃんと守るよ。」
輝は初めて女の子と夏祭りに行くことが確定した。夢のような出来事が夢じゃなくなったことに輝は本当に飛び上がるほど嬉しくなり、急いで深子に夏祭りに行けることを伝えることにした。
『9時に家に帰れって言われたけど、そんくらいまで遊んでいいって。』
『ありがとう。じゃあ当日私の家に16時に来て。待ってるから。』
『えっ、まぁいいけど』
さすがに家が待ち合わせ場所なのは驚いた。普通現地集合か駅集合とかじゃないのか。輝は情勢経験が少なすぎてそのことがわからずに戸惑ったが、普通のことだと思い承諾した。
「早く日曜日になんねぇかな。」
輝は独り言をいいながらゲームを再開したが、夏祭りのことを妄想したり、考えたりしてゲームに集中することができなかった。
気づけばもう夏祭り当日になっていた。今日までに終業式や成績表の受け渡しなどがあったのに、寝過ごしたように時間が過ぎた。暑い外での活動や涼しい教室での授業がついさっきまでしていたように。
輝は夏祭りデートを成功するためにいろいろ努力をしていた。
人気なおしゃれの雑誌を買って、そのなかの似合いそうなコーデを探したり、自分の似合う色を探したりした。時間がかかったが親に聞いたりして似合いそうな服は見つけることができた。
服屋に直接行って、雑誌を参考に似合いそうな服と靴などを買った。一つ一つは似合いそうなのに、色々組み合わせてみるとイメージが変わって苦労した。結果的に似合ってる服装を見つけることができたが、以外にも多くの時間がかかってしまった。
「よしっ、準備万端だ。」
新しく買った服をかっこよく着こなし、ウェストポーチを斜めにかける。ウェストポーチをつけると少し印象が変わったが許容範囲内だ。深子にどんなふうに思われるのだろうか。そう考えていると家を出る時間が来た。
「行ってきます。」
そう告げて家をでた。深子とは家が遠くはないので少し歩いたら目的地に付く予定だ。
「はーい」
「日比野深子さんはいますか?」
「うん、呼んでくるからちょっとまっててね、輝くん。」
インターホンを押して出たのは深子のお母さんだった。優しい感じの声で深子と声質は似ていた。深子のお母さんと会うのは久しぶりだったのに覚えてくれてことに感傷に浸っていると、深子が準備を終えて玄関から出てきた。
「輝くん、おまたせ。行こうか。」
深子は、白いワンピースに黒色の小さいポーチをぶら下げてた。学校で見る制服姿と違って清楚感が増していてすごく輝のタイプに合っていた。
「今日の服装似合ってるね。可愛いよ。」
深子は恥ずかしそうにはにかんで言った。
「ありがとう。」
「じゃあ行こうか。」
そう言って二人は駅まで歩き始めた。
気づけば駅についていた。さほど遠くはないがいつもよりとても早く着いた気がした。深子と話していたからだろうか。
深子とはいろいろな話をした。今日の夏祭りのことだったり最近の出来事だったりの話題で盛り上がった。喜びや悲しみを分かち合ったり笑い合ったり、輝はとても有意義な時間だったと感じた。
「あ、電車来たよ!」
銀色の車体に青のラインが一本入っていて、どんどん大きく、遅くなっていく電車が横を通った。ドアが開くと同時に電車から降りていく人が段々と多くなっていったが、少なくもなっていく。無意識に深子と輝は電車に乗り込み、空いている席を探す。運よく隣で座れそうな席があり、そこに座った。
車内では、だれも喋らずスマホをいじっていたり寝ていたりしている人が大半だった。この時間は輝にとって苦の時間だった。目的地まで二駅しか離れていないが、輝は深子と喋りたかった。しかし、その気持ちを出さないように声を押し殺した。
駅についてから少し歩いたらもう夏祭りの会場だった。5時ぐらいについたが人も思ったよりもいた。会場は明かりに灯されており、すごく明るくにぎやかだ。人が多く、喋り声や笑い声などがよく響いていた。
「輝くん、かき氷食べない?」
深子がかき氷の屋台の方向に指を指して聞いてきた。
「じゃあ食べようか。」
屋台がある方向に二人で歩き始めた。
周りには色々な屋台が一直線上に並んでいる。焼きそばやトルコアイス、チョコバナナなど美味しそうな物がたくさんある。いい匂いもしていて食欲が増してくる。
「はい、輝くんの分。」
「ありがとう。何円だった?自分の分は払うよ。」
「300円だったけど大丈夫、誘ったのはこっちだからさ。」
深子にかき氷を混んでいたので買ってきてもらったので自分の分ぐらい払おうとしたが、断られてしまった。輝自身も夏祭りをすごく楽しみにしていたので払わせるのは嫌な感じがした。
「はい、300円受け取っておけ。」
「うん、、じゃあそうさせていただきます。」
深子にお金を渡した輝はかき氷を食べ始める。輝のかき氷にはメロンシロップらしきものがかかっており、緑色に光っていた。
食べてみるとやはり味は夏に食べる普通のかき氷だ。かき氷には当たり外れはないのでそこが魅力だ。しかし、一気に食べる頭がキーンとなるので少しずつ食べていく。
深子のかき氷は青くなっていたので味はたぶんブルーハワイだろう。少しずつかき氷を食べている深子はとても上品で可愛く見えた。
「深子のかき氷はブルーハワイ?」
「そう、ブルーハワイ結構好きなんだよね。」
「へー、初めて聞いたわ。一口くれない?俺のもあげるからさ。」
深子は少し顔を赤くして悩んでいるような素振りを見せた。輝とかき氷を交互に見つめている。輝はなんか変なことを言ったのか考えているとそのことに気づいた。
「あ、やっぱ大丈夫。そこまで俺ブルーハワイ好きじゃないし...。」
輝は関接キスを促したことに気づいて顔を赤らめてやめさせると、深子は想定外の反応をした。
「はい、あーん」
「え、大丈夫だって、いらないから。」
深子は食べさせようとしてきた。恥ずかしそうな顔をしているのに。
「早くあーんして」
「あーん」
輝は結局深子のかき氷を食べてしまった。すごく恥ずかったが、いつもより美味しく感じた。
「どう、美味しい?」
「うん、うまいな。」
「よかった、じゃあ私にも一口ちょうだい。」
深子はあーんといって口を差し出してくる。顔を赤らめて待っている深子は幼い子どものようだった。輝は初めてのあーんにすごく緊張して、手が震えたし顔も熱くなった。
「はい、あーん」
食べさせあった輝と深子は顔を赤くして黙々とかき氷を食べ続ける。キーンとなっても声に出さずに向かい合って食べ進めた。
「次何しよっか。」
互いがかき氷を食べ終わってさっきの雰囲気がなくなったころにちょっとソワソワしている深子から話しかけてきた。
「まだ時間はあるし、いろいろ回ろうぜ。」
そう言って輝と深子はいろいろな屋台を回った。
フランクフルトやチョコバナナ、イチゴ飴、わたあめなどいつもは食べないものをたくさん食べた。どれも美味しくて雰囲気も相まってすごく楽しく、夏祭りで遊んでいることをすごく感じられた。
特に美味しかったのは焼きそばだった。多かったので二人でシェアをした。やはり家で食べる焼きそばとは具材が違ったり、麺が違ったりしたからだろうか。とても美味しくていつもとは違う味がして新鮮だった。
「結構時間経ったね。深子はなんか他にしたいこととかある?」
気づけばもう7時半になっていた。もうお互いお腹いっぱいなので残りはゆっくりしたい。
「あ、たしかもうすぐ花火やるはずだよ。見に行こうよ。」
「花火、いいね。見に行こう。」
深子の提案で花火を見に行くことになった。八時から十分だけ打ち上げるらしい。花火なんて家の窓辺から見るぐらいだった輝はすこし心が踊る。場所取りも兼ねて早めに行くことにした。
輝と深子は花火が見えるところに来たが、もう多くの人が場所を取っており座れる場所がなかった。仕方なく立って見ようとしたのだが、立っている人も多くてよく見えそうにない。
「深子、人多くて全然見えないね。」
「うん、まぁそんな見たかったわけじゃないし大丈夫。もう時間だし帰ろうか。」
「うん...」
残念そうに言った深子はすこし下を向きながら歩き始めた。そんな姿を見た輝は花火をちゃんと見せることができず後悔をし、深子に続くように歩き始めた。
駅まで歩いているとき輝と深子との会話はところどころ間が空いていた。深子の反応は少し遅く、輝も花火を見せられなかったことを後悔していて気持ちが下がり気味だ。どうすればいいのか輝は考える。もう二度とないかもしれない夏祭りデートで深子を落ち込ませたまま帰らせたくない。そういう気持ちがあった。
「あ、そうだ深子。ちょっと今から行く場所に付き合ってくれないか。」
一翔が言っていた花火大会は九時からで学校近くのデカい公園でもあることを思い出した。そこなら昔行った穴場スポットもあるし見れる可能性が高い。
「まぁいいけど。」
時間は八時ぐらい。会場までは余裕を持ってつくことができる時間だ。穴場スポットまでどのくらい時間がかかるかわからないのですこし急ぎ目に行く。幸い、深子は私服で動きづらい服ではない。そうと決まれば行くしかない。
「深子、じゃあ学校がある駅まで行くぞ。」
えっ、と深子が言っていたがそんなの関係無しにすこしペースを上げて駅まで歩く。
駅につくとすぐに輝が二人分の切符を買ってきた。
「輝くん、お金出すからちょっとまって。」
「今じゃなくていいから。もうすぐ電車来るからあとでいいよ。」
ちょうどよく電車が来る時間で輝は少しホッとした。すぐに電車は出発してしまうので急いで改札を通り、ホームまで来た。ちょうど良く電車が来て乗り込むことができた。
電車が目的の駅についた。穴場スポットは駅から少し遠いので道を調べる。距離だけだと学校ぐらいとかわらないが、いかんせん穴場スポットは山にある神社なので時間がかかる。歩いたら最後ぐらいしか見ることができない。
「輝くん、どこにいくの?輝くん必死な顔してるしどうしたの?」
「今から学校の近くのデカい公園に行く。そこで花火大会が九時からやるから見に行く。」
そう輝が答えると深子はキラキラした目をした。やっぱり花火が見れなくて悲しかったんだろう。
「あ、やっぱり。駅からバスで公園まで行けるよ。あと五分くらいでバス来るみたいだし。」
スマホを見ながら伝える深子に驚いた。バスで行けば神社に行く体力も温存できるし、それに時間も短縮できる。
「よし、バスに乗ろう。お金はあるか?」
「大丈夫」
その返事を聞いた輝はニコッと笑って「ありがとう」と伝えてバス停まで行く。
バス停で待っていると公園行きのバスが来た。公園までは約10分ほどで、余裕を持って神社に行くことが可能だ。
「深子、ありがとう。」
再び感謝を述べてバスに乗り込む。席に座ったらホッとして息を漏らす。
気づけば九時前ギリギリに神社の穴場スポットにつくことができた。そこには人がいなく静かだった。近くにあるベンチに二人は腰を下ろす。
その瞬間、星空に大輪の花が咲き誇る。色鮮やかで見惚れてしまうくらいに美しく、綺麗だ。
それに穴場スポットで周りに人が居なくて見えやすい。
「輝くん、花火見せてくれてありがとう。」
深子が満面の笑みで感謝をしてくれた。今日、輝が見たかった顔だった。
「深子の笑顔が見れて良かったよ。」
そうつぶやいても深子には届かない。花火の音が響いてる今日はちゃんと想いを声にしないと伝わらない。
「深子、今日は夏祭りに誘ってくれてありがとう。」
「こちらこそ、花火を見せてくれてありがとう。」
輝の鼓動が早くなっていく。顔も赤くなり、すごく緊張する。でも言わないといけない、と神様が言っているような気がした。
「....深子、好きです。付き合ってください。」
手を突き出し、深子の目を見つめながら伝えた。この姿は花火の光で明るく照らされていた。そのとき深子は走って輝に抱きついた。
「輝くん、ありがとう。これからもよろしくね。」
抱き合いながら伝えた深子は、すこし泣いていた。本当にうれしかったのだろう。輝は深子の背中を擦りながら一緒に花火を最後まで見た。
輝は花火を見終わったあと、深子を家まで送ることにした。帰り道、二人は今日のことや昔のことをはなしている。すごく楽しくて気づいたら深子の家の前まで来ていた。
「輝くん、今日は家まで送ってくれてありがとう。じゃあまた今度。」
「あぁ、また今度。おやすみ。」
満月の下で微笑む彼女はとても幸せそうに「おやすみ」と返して自分の家へと入っていった。
「深子、これからもよろしく。」
そうつぶやいて輝は自分の家に帰っていった。
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