008 ⛩ 異変の兆し①
私は円達と、咲九は永瀬さんと付き合う日々が続いていた。
特に大きな動きも、事件も争いも無く、普通の学園生活が続く。
花菜子はしばらく1組の咲九の所にやってきていたが、2週間目に入る頃には、既にお昼以外は教室で上手くやっているようだった。ちなみにお昼の時だけは、永瀬さん ―― 普段は遠音と呼ばれる子も香穂里と紗穂里の元でとっているようだった。
そんなグループが既に決まりつつあった時に、修学旅行の話題が上がって来た。
前の学校では中2が対象だったが、どうやらこの学園では中3の5月の中旬に行うらしい。また美川先生からも、この班分けをするように指示されていた。
「なので明日6限目のホームルームで2人ずつに分かれてもらい、その組み合わせで5~6人組を作りたいと思っています。ペアになった2人はジャンケンで負け続けない限り固定です。あと、3泊4日の予定なので、前2日間と後2日間で班を変えるつもりなので宜しくお願いします」
この発言に誰からも異議は出されなかった。
そんな日々の放課後。
珍しく最後まで居た円に案内されて、前の学校でも所属していて興味があったダンス部に向かっていた。
「ダンス部は、中で3つのチームに分かれていますの。一番人数が少ないのが、私の居るフォークですわ。逆に最も多いのがストリートで、もう1つがチアですの」
「チアはダンスというより ……」
私の呟きに円は笑っている。
「そうですわね。でも、この学園ではチア部の設立が難しいようですので、こういうことになっているようですわ」
「なるほどねー。やっぱり、これだけ大きな学園だと、簡単に設立は出来ないの?」
「出来なくは無いですわ。初期部員を中学2年生以上で5名集めれば良いだけですもの。問題は、部費と部室にありますわ」
そう言って円は私を見つめて来た。ダンス部に行く時は、いつも円1人で行動をしているらしい。普段が集団の中心に居る円だけに、少しだけ不思議に思える。
「部費を頂くのには、部員が20名以上で、且つ、大会に参加して実績を作らなければなりませんの。もちろん、最初の大会は全額自費になりますわ。部活の担当の先生でも、ここまでは出して頂けませんから」
「ふむふむ」
「更に部室の場合は、部員が10名以上で小道具が多く、且つ、毎週2回の活動を行っていることが条件になりますわ。しかも、毎週1回の活動は必ず部員全員で行わなくてはならないので、当然ながら小道具が少ないチアでは難しい話しですの。フォークは8名しか居ないですし、ね」
「なるほどねぇ」
なんて咄嗟には理解出来そうにも無い話しをする間に、ダンス部が活動している下体育館にやってきていた。
体育館では既にチーム毎に活動が始まっているらしく、円が知らない顔を連れて来たことで、ようやく部長が私のところにやってきてくれていた。私の目的がストリートであることを知るなり、チームのリーダーに紹介され、そのままダンス部の活動を始めることになる。




