015 ☈ 怪盗ホーリー(閑話) *
帰宅するなり、久々にニュースを見ようとしてテレビを点ければ、第一声で『怪盗ホーリーの予告状の現場に来ております』という内容が耳に飛び込んで来ていた。
リモコンを適当に放り投げてカーペットの上に横になる。
"怪盗ホーリー" は、その名の通りの怪盗。
数多くの骨董品や彫刻を盗んでは、翌日には玄関前に返すという不思議な行為をしているらしい。もっとも、その中にはいくつか戻ってきていないモノも数点ほどあることから怪盗と呼ばれているだけで、実際には然程、注目されるような人物ではないと思っている。
しかし、超能力者の影響で犯罪が凶悪化しつつも国連が創立した組織により件数は激減し、他国との平和協定の影響で急激に平和に成り過ぎたこの国では、こんな珍怪盗もビックニュースに奉られてしまうらしい。
前に親父が、この怪盗ホーリーを見守っている一族が居るようなことを話ししていたことがあった。
その一族曰く、怪盗ホーリーは普通の女の子らしい。ただし、家庭環境の影響で精神的にダメージを深く受けてしまっているために、直接的な干渉は避けるしかないのだという。
怪盗ホーリーの目的は、過去に怪盗ホーリーの母親が探していた "あるモノ" らしい。それらしきモノは返さないらしいが、それ以外のモノはきちんと返していることと、きちんと予告状を出して盗んでいることから、見守っている一族としては(それだけ盗まれる側の守衛が弱いだけだから)大して気にしていないとか。
もっとも、私にとってはどうでも良いことの1つには間違いない。
私はリモコンを手繰り寄せた。チャンネルを変えて、違うニュースにする。が、そこでも怪盗ホーリーの話題だったので、諦めてテレビを消した。




