第56話 フェルドとの遭遇
サブの動力炉の部屋を出て、再び通路を飛んでいくが、やはり遭遇する機神の数は少ない。リントヴルムが頑張っているようだ。
しばらく行くと、あの左右に開く壁があった。あ、扉だっけ。
「……いる」
「そうね……2体、かしら」
コーディが扉の横の変な機械に手をかざす前に、リナベルとうなずきあった。
「中にちょっと強めな機神が2体いるわ。私とコーディが左側を引き受けるから、ライト君とベヒモスは右側の奴をお願いね」
俺とベヒモスはうなずいた。
「……じゃあ開けるよ」
コーディが変な機械に手をかざして少しすると、扉が左右に開いた。
と同時に中から銃撃と火球が飛んできた。
俺たちはそれらを避けると、それぞれの目標に向かっていった。
右側にいたのは……。
「誰が来たのかと思えばお前か、田舎者……!」
何と、フェルドだった。
「横にいるのは精霊竜か!? ちょうどいい、お前を殺して手に入れてやろう!」
フェルドが連続で銃撃してきた。
「何でお前がここに……!?」
俺とベヒモスは難なく躱す。
よく見ると、フェルドの両腕が鈍色に光っていた。
「お前、その腕……!」
俺の言葉にフェルドは銃撃を止め、不敵に笑いながら俺に見せつけるように左腕を掲げる。
その腕は金属のように変質していた。
「グラナギアがくれた力だ!……この精神感応兵器もそうだが、機神どもの力は素晴らしいぞ。……グラナギアは言っていた、機神の世界は力こそ全てだと」
確かアクセラバードもそんなことを言ってたな。
「オレはさらに力を手に入れて、いずれ復活する三巨頭を配下に置いてやる。そしてこの世界を支配するのだ……!」
〝……壮大な野望だな〟
ベヒモスの声は呆れているようだった。
ん?ちょっと待て。
「三巨頭が復活する……?」
「そうだ。……何故機神どもが高エネルギー結晶体を集めていたと思う?……三巨頭復活のためのエネルギーとするためだったのだ!」
「なっ……!」
「もうしばらくすれば、天のヴァルドファードが復活するだろう。せいぜい足掻くがいい。無駄な努力になるだろうがな!」
その思考はすっかり機神に毒されているようだった。
そして、フェルドは銃撃を再開した。
ベヒモスは避けながら黒い火球を見舞っているが、フェルドを捉えきれていない。
〝中々すばしっこい奴だ〟
フェルドの銃撃もまた、ベヒモスを捉えることはなかった。
それにしてもあいつの銃、いったいどうなってんだ?さっきからずっと連続で撃ってるけど、弾切れがないみたいだ。
このままじゃ埒が明かない。
俺は慎重にタイミングを見計らい、フェルドのいるエリアの床に向けて「凍結」の魔法陣符を使用した。
突然凍った床にフェルドは足を取られ、バランスを崩した。
そこにベヒモスの爪がヒットし、吹き飛ばされたフェルドは近くの壁に激突した。
ベヒモスは容赦なく特大の雷で追撃する。
耳をつんざくような轟音が響き渡った。
「どうだ……?」
フェルドは横たわったまま動かない。
〝もう起き上がれまい〟
その時、リナベルとコーディがこちらへやってきた。
「大きな音はまずいでしょ!? 敵が集まって来るわ……!」
俺はベヒモスを指差した。
「えっ!? ベヒモスがやったの?……しょうがないわね、早く動力を止めてリントヴルムの所まで戻りましょ。……コーディ、お願い」
「了解」
コーディは近くにあった機械に手をかざし、目を閉じた。
「リナベルたちの方には何がいたんだ?」
「マキナプラントにいた紅い機神よ。……ライト君、もしかしたらあの紅い機神は……」
そのリナベルの声を遮るように、銃撃の音が響いた。
見るとコーディが右腕を押さえている。当たったのか!
前腕の広範囲の肉が抉れ、骨まで見え……これ、普通の骨じゃない……!金属的な……。
「……回復!」
俺は思考を中断してコーディに回復をかけ続ける。
ややあって、傷はきれいさっぱり消えて元通りになった。
「ありがとう、ライト君」
俺はうなずいた。
「……いないわね」
銃撃の元を探りにいったリナベルが戻ってきた。
俺はフェルドが倒れていた辺りを見やったが、そこに姿はなかった。
コーディを撃ったのはあいつか……!
「ごめん、途中で接続が切れてしまって、動力炉を停止できなかった。あと、セキュリティにも引っかかったから、もうすぐ奴らが集まってくる……!」
なんだって!?
「リントヴルムの危惧した通りになったわね。仕方ない、爆破大作戦に変更よ!……雷槍!」
リナベルが言うなり、真ん中にある巨大な機械に雷の槍を撃ち込んだ。
雷の槍は巨大な機械を貫通し、風穴を開ける。
その穴の開いた部分から爆発が起こり始めた。
「さ、逃げるわよ!」
「わかった!……ベヒモス、頼む!」
〝いいぞ、早く乗れ!〟
俺たちは急いでベヒモスの背に乗り、リントヴルムの元へと向かったのだった。




