第53話 緊急事態発生
そして次の日。
つやつやなリナベル、我関せずのコーディ、げっそりな俺の三人でカオスな朝食をとったあと、リナベルが携帯用コテージを収納した時だった。
〝悠久の翼、聞こえていたら応答してくれ!こちらガーディアンフォースのジェラルドだ!繰り返す……!〟
リナベルが持っているナビゲーションボードから、ジェラルド団長の焦っている声が聞こえてきた。
「ジェラルド団長、聞こえています。こちら悠久の翼」
リナベルが応答した声に被せてジェラルド団長が話してきた。
〝休暇中にすまない、緊急事態だ、高エネルギー結晶体を入手したパーティの飛空機械が機神共に襲われている!君たちがいる所から近い場所だ、ナビゲーションボードに位置を送るので、そのドラゴンとともに急行してくれ!〟
リナベルは確認を取るように、一度俺とコーディを見てうなずいた。俺とコーディもうなずき返す。
「了解よ」
〝すまない、ありがとう!〟
間もなく飛空機械が襲われている地点がナビゲーションボードに送られてきた。
リナベルは場所を確認すると、リントヴルムに向き直った。
「そういう訳で、お願いリントヴルム。私たちをこの場所に連れていってほしいの」
「あいつらをやっつけに行くんだね。もちろんいいよー!」
そう言うと、リントヴルムは飛空機械の形態になった。
「さぁ乗って!……あ、コーディ、そのデバイスをオイラに繋いでくれる?」
「了解」
乗り込む時に、リントヴルムがコーディに謎のお願いをしていた。
コーディはリナベルからナビゲーションボードを受け取ると、何か操作を始めた。
「あ、いいよ、繋がった!その場所に行けばいいんだね!それじゃ出発ー!」
俺たちを乗せて、リントヴルムは慌ただしく発進した。
しばらく飛ぶと、機竜に襲われている一機の飛空機械を発見した。
ほんとに近い場所だったようだ。下には海が広がっている。
「よーし、やっつけるぞー!しっかり掴まっててね」
リントヴルムはやる気満々だ。
よく見ると機竜の他に、無数の飛行タイプの機神が飛空機械を取り囲んでいて、向こうのパーティの召喚士が呼んだと思われる精霊と戦っている。
リントヴルムは急上昇し、遥か上空から下降、すれ違いざまに翼に装備されたブレードで機竜に一撃を見舞った。
そのたった一撃で、機竜は翼を損傷し海に消えていった。
「すげえ!強いなぁ」
「ありがとー!……でも、あのちっちゃいのはちょっと面倒臭いなぁ」
「いいよ、俺がなんとかする」
俺は首から下げている、透き通った水色の牙に手を当てて願った。
「ティアマト、頼む、あの飛空機械を襲っている機神の群れを倒してほしい」
〝いいだろう〟
リントヴルムの隣に現れたティアマトは、無数の風の刃を飛ばした。
追尾するのか、風の刃は全ての機神を捉え、残らず両断した。
「ありがとう、ティアマト」
〝礼には及ばん〟
そう言うと、ティアマトは空気に溶けるように消えていった。
「精霊竜……だよね!? 本物!」
「あ、ああ、うん」
「ライトもすごいや!精霊竜を呼べるなんて!オイラ、遠くからちらっとしか見たことなかったから、感動しちゃったよ!すごい存在感だったねー!」
リントヴルムは大はしゃぎだ。
「ありがと、ライト君。ひとまず片付いたみたいね。……コーディ、向こうの飛空機械にコンタクトをお願いできる?」
「了解」
コーディはうなずくと、ナビゲーションボードを操作し始めた。
「これでいいかな。……こちらガーディアンフォース所属のSランクパーティ悠久の翼だ、応答を願う」
〝良かった!味方だったか!こちらガーディアンフォース所属のAランクパーティ精霊の木霊だ。精霊竜のご加護で助かった、ありがとう!ところで、それは新型の飛空機械か?見たことない形だな〟
男性の声で返答があった。
「そんなところだ。味方だから安心してほしい」
〝ほんとに助かったよ。……本部のジェラルド団長に救援連絡を送ってから、10分も経たないうちに来てくれたから、よほどの性能なんだろうな〟
その時、ふっと影が差した。
雲の影に入ったんだろうと思ったが……。
「! なんか上に引っ張られてる……!」
リントヴルムが声を上げた。
並んで飛んでいた精霊の木霊の乗る飛空機械も同じ状況のようだ。
「抜け出せないの!?」
「頑張ってるけど……、 あっちのも助けないといけないんでしょ!?」
「そうね……!このままついて行くしかないわね……!」
上にはいつの間にか黒い空間が広がっている。
リントヴルムと精霊の木霊の乗る飛空機械は、その空間に吸いこまれていった。




