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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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第44話 イエロチスパの町と山登り

 翌日とその次の日は、イエロチスパの町へ向かうための準備に充てた。

 俺は魔道具屋に、リナベルとコーディは食料品やその他諸々を買いに町へ出た。

 もちろんイヤーカフは装備済だ。どこにノルドツァンナから来た人がいるか分からないから、これはもはや必需品だ。


 普通の町民にしか見えない人物が客として来たからか、魔道具屋のオヤジから変な顔をされたけど、ちゃんと金を払ったら文句は言われなかった。

 それどころか、いろんな魔道具を売りつけてこようとするから困った困った。すったもんだで、変な銀色の笛を銀貨3枚で買わされちまったけど。

 これ、精霊竜に捧げる舞のお囃子で使われる笛に似てるような……でも、違う気がするなぁ。


 そんなこんなで出発の日になって、ジェシカから新しいナビゲーションボードを受け取った後、俺たちはイエロチスパの町に向けて飛空機械で飛び立った。



 イエロチスパの町の近くには、なんとダンジョンが3つもある。

 1つは採取系ダンジョン“風吹く草原”。ここは果物、野菜、薬草など、いろいろな収穫物が手に入るフィールド系ダンジョンだ。緑が少ないこの世界で薬草なんかが手に入るのは、ほぼダンジョンのお陰だ。このダンジョンの魔物はそんなに強くないから、ランクの低い冒険者が稼ぐのに丁度いいみたいだ。


 もう1つは討伐系ダンジョン“地下の肉屋”。何でこんな酷い名前がついているのかというと、ここは食用にできる魔物がよく出現するからだ。深い階層に行くほどレアな魔物がいるらしく、噂ではドラゴンも出るらしい。ほんとかな?


 そして最後の1つは迷宮系ダンジョン“愚者の墓場”。ここは宝石類をドロップする魔物が多く出るが、とても迷いやすいらしい。それでも一攫千金を求めて潜る人が後を絶たないそうだ。


 そういう訳で、イエロチスパの町は冒険者で賑わっている。もちろんその冒険者たちを相手にする武器防具屋、宿屋、食堂などいろいろな店も潤っているようだ。


 俺たちは大きな生物についての噂を集めて回った。

「空を飛んでて、大きな鳥か竜みたいって聞いたぞ。気にはなるけど町には来ないから放ってる……っていうか、空飛んでるから手の出しようがないってさ」

「僕が聞いたのは、いつも東の山の方へ飛んでいくってことだったよ」

 俺とコーディの話を聞いて、リナベルは腕組みした。

「う〜ん、あまり気は進まないけど、山登りするしかないか」

「山登り……?」

「そうよ。東の山へ行ってみましょうか」


 それから丸一日。俺たちはようやく東の山の頂上に辿り着いた。

 道なき道を進み、時々襲ってくる魔物を返り討ちにしながら、ようやくだだっ広い頂上に着いたと思ったら……。

「何もないし、何もいないじゃないかー!!」

「あははは……」

 俺の文句にコーディが乾いた笑いを漏らした。

「コーディ、ライト君、来て来て!こっちは眺めがいいわよ!」

 なんだか妙にテンションが高い人物が約1名。

 ……気が進まないとか言ってなかったっけ?


 俺は仕方なくリナベルの所に歩いて行く。コーディもついてきた。

 リナベルの隣に立ってみると、こっちの方向は岩に邪魔されず、遠くの景色までよく見えた。イエロチスパの町も小さく見える。

「確かにいい景色だけど。……肝心の大きな生物は?」

「焦らない、焦らない。なんならここでもう一泊してもいいくらいよ」

 ああ、俺はここに来たら見つかると思ってたけど、リナベルはここで探すつもりだったんだな。


 そして頂上付近をいろいろ調べること小一時間。

 やはり何も見つからず、手持ち無沙汰になった俺は、ふと魔道具屋のオヤジに売りつけられた銀色の笛の存在を思い出した。

 ここで吹いたら気持ちよさそうじゃないか?

 俺はさっそく宙に手を突っ込んで銀色の笛を取り出し、お囃子のメロディを思い出しながら吹いてみた。

 ……が、上手くいかない。

 ピヨピヨと変な音が漏れ出ている。

「うくくっ……なに面白いことやってるの、ライト君。いくら暇でもそんな変な音出してると、魔物が寄ってくるわよ」

 リナベルは笑いをこらえながら、そんなことを言ってくる。

 コーディも苦笑いしていた。


 そんな時、それは突然現れた。

 俺たちの頭上に影が差したと思ったら、目の前に着地したのだ。あまりの質量に、大量の粉塵が舞い上がる。

「誰がそんな下手くそな笛を吹いてるんだっ!頭が痛くなるからやめろ!」

 喋った……!

 粉塵が少し収まってみると、それは金属のボディを持った、見上げるほど巨大なドラゴンだった。

「ま、まさか機竜(ドレイク)っ……!?」

「オイラをそんなものと一緒にしてくれるなよっ! オイラは……」

「……リントヴルムかい? その声……」

 コーディがドラゴンに呼びかけた。

「えっ!? オイラの名を知ってる?……ああ!コーディじゃないか!久し振り!」


 ……世の中では時々不思議な巡り合わせが起こるというけど、まさかのお知り合いでしたか。

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