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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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35/42

第35話 メーネラントの町にて

 メーネラントは特にこれといった産業はない町で、もともとそこにあった水脈に流れ着いた人たちが集まってできたそうだ。必要な物があれば自分たちで作るといった意識が根付いているからか、町の人たちは逞しい人が多い。辺鄙な所にある割には町の設備がしっかりしているのも、そういったところから来るのだろう。


 この町には通信士がいるというので、ディアに断って先にジェラルド団長に連絡を入れさせてもらった。簡易的な報告を行うと、ジェラルド団長はびっくりしていたが、俺たちの無事を喜んでくれた。そして、メーネラントでの問題に何らかの決着がついたら戻ることも伝えた。すると、すぐに戻れるよう飛空機械も手配してもらえることになった。俺たちは団長にお礼を伝え、通信を終了した。

 それからディアの案内で、自警団らしき男たちがいるという建物に向かった。


 建物の前に到着すると、中から大きな声が聞こえてきた。

「……どうやらルドガーさんが来てるみたいですね」

「どうする?行くか?出直すか?」

「せっかくだから、ご挨拶しときましょ」

 ディアの返事を聞くこともなく、リナベルは建物のドアを開けて中に入っていった。


「こんにちは。ディアさんを連れてきましたよ」

 そのリナベルの声に、言い合っていた男たちの視線が一斉にこちらに向いた。

「ん?君は……?」

「団長!今日こそ言ってくれ!あのエルフに金輪際この町に来るなと!……ゴホゴホッ!」

 二人の声が重なった。

 一人はディアの庭に来た自警団らしき集団のリーダー格の男、体格が良くて赤茶色の短髪に水色の瞳をしている。

 もう一人は白髪交じりの黒髪黒瞳で、腰の曲がった爺さんだった。

 爺さんは自警団らしき人から背中をさすられていた。


 この爺さんがルドガーって人に違いない。咳をしてるところをみると、喉か肺近辺をやられてるっぽいな。

 ……ちゃんと家の掃除してんのか心配になるぜ。ちょっと家を見せてもらえないかな。


「このエルフが通りで店を開くと症状が重くなるんだ!ゴホッ……!」

 爺さんはディアを指さした。

「私はお店を開く以外、何もしていません。ちゃんと許可証ももらっています」

 ディアは爺さんに金属でできたプレートを見せていた。

「むむむ……!」

 爺さんはプレートを見て目を見開いた。

「じゃが今回は両隣の家の者にもゴホッ、被害が出てるんだ!」

「まあまあ……」

 リーダー格の男が爺さんを宥めている。


 俺はリナベルにそっと耳打ちした。

「気になることがあるんだ。爺さんの家に行きたいんだけど」

「?」

「あの感じだから、ちゃんと掃除してるのかなと思って」

 リナベルは堪えるように笑っていた。隣のコーディも口角を上げている。

「面白い案ね。掃除して納得してくれればそれで良し、しない場合はまた考えましょうか」

 そう言うと、リナベルは爺さんの隣に歩いていった。


「お話し中ごめんなさいね。私たちこういう者だけど」

 リナベルは爺さんに、虹色に光るSランクの冒険者カードを見せた。

「そ、それはSランクの……!ゴホッ」

「お爺さんのお話を詳しく聞きたいから、お爺さんの家に行きたいんだけど、いいかしら?」

「も、もちろん構わんが……」

「じゃあさっそく今から行きましょ」

「わ、分かった……ゴホッ」

 そうして爺さんと俺たち三人、ディアと自警団らしき人たちは表の通りに出て爺さんの家を目指した。

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