第31話 マキナプラント
そして次の日。
さすがに砂漠で日中の移動はしんどいから、日が落ちてから出発したんだけど、今度は寒い!どうなってんだ、砂漠!
心の中で叫んでいると、リナベルが足を止めた。
「恐らくこの辺りなんだけど……」
ナビゲーションボードで確認している。横からコーディも覗き込んでいた。
「うん、間違いないね」
だけど……ジェシカが言ってた通り、本当に何もない。
「コーディ、頼めるかしら」
「了解」
何をするつもりなんだろう。
コーディは何かを探している風に、辺りを歩き回っている。
「……見つけた。……セキュリティは……と」
何もない空中に手をかざして、目を閉じている。
「なぁ、コーディは何をしてるんだ?」
「うふふ、まぁ見てて」
すると、何もなかった所に入口が現れた。
「……解除完了。さて、行こうか」
え!? 何が起こったんだ?というか何なんだ?ここ。
俺の疑問が顔に出ていたのだろう。
「恐らくここは機神の雑兵の製造工場、マキナプラントよ。この場所にあるのを隠すために、カモフラージュの術をかけてるみたいね」
リナベルが答えてくれた。
サフィールの町を発つ前、通信士の所にノルドツァンナから連絡が入ったとかで通信所へ呼ばれた。
相手はジェシカで、言い忘れたことがあったらしい。
もし、フロスティウムとフレアタイトがあった場合、その2つの結晶をぶつけると大爆発が起きるから、気を付けて回収して欲しいそうだ。そこが機神関係の施設で回収不能な場合、それで破壊すればいいんだって。ぶつけてから大爆発が起きるまでは3分ぐらいだから、それまでに逃げろってさ。
見事に機神関係の施設だった訳だけど。
そんなことを思い出しながら、俺たちはマキナプラントへ足を踏み入れた。
何と言うか……全体が金属っぽい材質で出来てて不思議な感じだ。床は凹凸が少なく、つるんとしている。
「高エネルギー物質ってどこにあるんだろうな」
「……昔、同じような施設を壊したことがあるから、動力として使用されているならこっちね。……ついてきて」
俺はうなずいて、リナベルとコーディについて行った。
同じようなかわり映えのしない通路を、時折右や左に曲がりながら進んで行く。
俺ひとりならとっくに迷ってたな。
これまた時折壁にぶち当たるが、コーディが壁の横に付いてる変な機械に手をかざしてしばらくすると、壁が上にあがってその先の通路に行けるようになる。
どんな魔法なんだろうな、俺には分からないけど。
そしてまれに宙に浮いた円盤に遭遇したが、リナベルとコーディが出会い頭にあっという間に壊していた。いわく、あれに騒がれるとたくさん兵を呼ばれるからなんだって。見張りみたいなやつかな。
それからしばらくして、どうやら目的の部屋の前まで辿り着いたらしい。
コーディが変な機械に手をかざすと、壁が左右に分かれていく。
俺たちはそっと部屋の中を覗き込んだ。
「あれ……!」
「ええ、間違いないわ、フレアタイトね」
部屋の中央、細長い円柱の透明な容器の中に、フレアタイトが薄く発光しながら浮かんでいる。
「どうする?あれを持ってとんずらするか?」
「ちょっと待ってね」
そう言うと、リナベルはコーディに何やら耳打ちした。
「……サブの方にも同じような反応がある。反応はこの2つだけだ」
そのコーディの言葉にリナベルはうなずいた。
「ライト君、もう一つ高エネルギー物質があるみたいだから、そっちもいただきましょう」
そう言って、リナベルは部屋から出ていった。
「え?これは?持っていかないのか?」
「トラップがあるに決まってるじゃない。もう一つを探して回収したら、急いでこっちに戻って回収するわよ」
「あ、なるほど」
俺は納得して、リナベルについて行った。




