第28話 精霊竜の剣の話
部屋に着くなり、俺はベッドにダイブした。
「あ〜、気持ちいいなぁ……」
ごろごろする俺を見て、リナベルが笑っていた。
「そのままだと、立派なダメ人間になりそうね。……けど、ライト君が精霊竜の剣を生成してたなんて。あの時、暗闇の状態異常をもらってなかったら見られたのに、悔しいわ……」
リナベルの目が結構マジだった。本当に見たかったのかな。
「でも、気配だけは感じた……大きな力が凝縮された、圧倒的な存在感を……」
「確かに……あの刃はベヒモスの力が圧縮されたような感じだった。なあ、リナベル、精霊竜の剣って何だ?」
俺の質問に、リナベルは首をかしげた。
「生成出来たあなたがそれを聞くの?」
「ええと、ノルドツァンナの王様が王家の悲願とか言ってて……」
「ああ、その話の方ね」
リナベルは納得がいったようだった。
「精霊竜の剣はまさしく君が生成した通り、精霊竜の力を刃として行使するんだけど……、いいわ、少し昔語りをしましょうか」
リナベルの話によると、前回の機神との戦いの末期に、ある古い書物がノルドツァンナ王城で見つかって、それに精霊竜の剣のことが書かれていたらしい。
絶大な威力を誇るとされたそれを生成しようと、多くの人が挑戦したんだけど、ことごとく失敗に終わったそうだ。
それならばってことで、ノルドツァンナの王様は人工的に再現出来ないかと研究を始めたんだって。
そして、とあるエルフの鍛冶師がほぼ同等の威力を持つ剣を作成することに成功したんだけど、威力の試験中に力が暴走して、少なくない数の人が亡くなったらしい。
それからは研究は下火になったんだけど、ノルドツァンナの王様は諦めきれず、作成は王家の悲願となったそうだ。
「だから……精霊竜の剣の本物を生成できたライト君を、ノルドツァンナ王家は留め置きたかったんでしょうね」
「うう……そんな大事だなんて俺は知らなかったんだ……。でも、だからって足輪はないだろ、罪人じゃあるまいし……」
その俺の言葉に、リナベルは少し考えてから口を開いた。
「……それはもしかしたら、ノルドツァンナ王家がライト君を守るためにやったのかもね」
「え!?」
「考えてみて、君は大勢の人に見られてる。中には良からぬ考えを持ってる人もいるはずよ。力ずくでも連れて行けないように……君からの印象が多少悪くなろうとも、王家はそうしたんじゃないかしら」
「うーん……」
確かに待遇は悪くなかったけど、俺にはよく分からないや。
「でも、ジェラルド団長からもらったこのアイテムがあれば、もう大丈夫だろ?」
「そうね。よほど力を持った人じゃないと、見破れないと思うわ」
そこでリナベルは腕を上げて伸びをした。
「お喋りしたら、喉が渇いてきちゃったわ。ライト君、お茶を淹れてくれない?」
「ええ?……しょうがないなぁ」
俺がリナベルに背を向けた時だった。
「隙あり!」
がぶりと後ろから首筋を噛まれた!
「ぎゃああ……!」
やっぱりこうなるのかー!!
……とりあえず、今回も干からびずに済んだけど、もうそろそろ勘弁してください。




