表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/44

第25話 機神の追撃

 それはノルドツァンナに帰還してすぐのことだった。

 俺たちは飛空機械から降りて、テレポーターのある建物へと向かっていたのだが……。


「お帰りなさいませ、皆様。お待ちしていましたよ」

 なんと、そこにいたのはペークシスの町の炭鉱で遭遇した機神、グラナギアだった。

 しかも殺害した二人のテレポーターの見張りの頭を左右の手で掴み、こちらに見せびらかしている。

「貴様っ……!」

 一瞬で頭に血が上ったらしいフェルドが銃撃したが、グラナギアは手に持った二人の見張りを盾にして防いだ。

「くっ……!」

 フェルドは一気に頭が冷えたようだった。

「ヒトの雄の鳴き声は汚くていけない。やはり聞くなら雌の鳴き声だな」

 そう言ってグラナギアは見張り二人の遺体をぽいっと投げ捨てた。

「……ちょうど一匹雌がいるじゃないか。……と思ったら、キサマ、リナベルか!」

「他人の空似じゃないかしら?」

「そのとぼけた返しがキサマであることの証拠だ!」

 グラナギアの持っている杖から、魔力のようなもので出来た鎌状の刃が生えた。


「……“高貴なる宝玉(ノーブルスフィア)”の三人に頼みたいことがあるわ。私たちが奴の足止めをするから応援を呼んできて欲しいの。……馬鹿な真似はしないことね、私たちがやられたら、次はノルドツァンナの城下町に被害が出るわよ」

「ちっ……、了解した」

 グラナギアがリナベルに突っ込んできた隙をついて、“高貴なる宝玉(ノーブルスフィア)”の三人はテレポーターのある建物に入り、応援を呼びにいった。


「今度は復活できないように、バラバラにしてあげるわ!」

「やれるものならな!」

 リナベルとグラナギアは激しく打ち合っている。

 いつもは素手なのに、リナベルは今回双剣を使用している。戦っているのに、まるで剣舞を舞っているように美しい。

 あまりにも激しく打ち合っているせいで、コーディも手出し出来ないようだ。遠くから隙をうかがっている。

 しばらくそうして打ち合っていたが、リナベルの動きが少し鈍くなってきたようで、グラナギアの動きに対応できなくなってきていた。

「……おかしいな」

 コーディも何か違和感を感じたようだ。

「しまっ……!」

 そしてついに一撃を受けてしまい、俺たちのいる所とは反対の方へ吹き飛ばされていった。屋内じゃないから、勢いが止まるまではそのままだ。

 すぐに追撃しようとしたグラナギアをコーディが牽制する。

「ベヒモス!俺をリナベルの所に連れて行ってくれ!」

〝分かった〟

 ベヒモスが姿を現し、俺を咥えてリナベルの所へ運んでいく。

 グラナギアはコーディが抑えてくれていた。


「リナベル!大丈夫か!?」

 急いでリナベルの傷の具合をみる。

 ベヒモスはコーディに加勢しにいった。

「……油断した……、状態異常をもらってるわ……」

「まさか、動きが鈍くなってたのも……」

「ええ。あいつ……自分の周りに状態異常効果のある粒子を撒きながら戦ってたのね……。それを吸い込んでしまったから……麻痺とその他……詠唱阻害もあるわね。さっきから呪文が出てこないわ。ライト君“異常解除(クリア)”の魔法陣符(マジックカード)はある?」

「いや、持ってないな……」

 その時、コーディがリナベルと俺の名を鋭く呼んだ。


「ううっ!!」

「がっ……!!」

 何が起こったか分からなかったが、身体に痛みが走った。

 見ると、グラナギアの杖から生えていた鎌状の刃がリナベルに2本、俺に1本刺さっている。

「なん……」

 言葉が途中で途切れ、俺はその場に倒れた。まずい、状態異常だ。この刃にも仕込んでいたのか……!

 俺は刺さった刃を引き抜き「回復(ヒール)」の魔法陣符(マジックカード)を使用した。状態異常は解除できないが、ダメージだけでも回復したい。


 魔法陣符(マジックカード)のいい所は、魔力を流すだけで魔法を使用できる所だ。魔力阻害……なんて状態異常があるのか分からないが、そんなことにでもならない限り使える。


 麻痺を喰らってるからか、動作が鈍くなっているが、リナベルにも同じように刃を抜いてから「回復(ヒール)」を使用した。

「リナベル、大丈夫か?」

 あれ?リナベルと視線が合わない。

「今度は暗闇ね……。グラナギアの奴、許さないわよ……」

「ダメだ、リナベル、じっとしてろ!」

 立ち上がろうとしたリナベルを、俺はゆっくりと制した。


 その時、大きな音が聞こえた。

 見ると、グラナギアの左腕が斬り飛ばされていた。

 だが、コーディも刃を6本喰らっている。

 倒れかけたところをグラナギアに蹴られ、こちらに吹き飛ばされてきた。

「コーディ!」

 息はある。だが状態異常を喰らっているのか、ぴくりとも動かない。

「……おのれ、このワタシの腕を斬るとは……万死に値する!」

 グラナギアは無数の鎌状の刃を飛ばしてきた。

 ベヒモスが爪で弾き飛ばしているが、少し喰らっているようだ。

 このままじゃ、ベヒモスまでやられてしまう。


 力が……欲しい。

 ドクン。

 この理不尽な状況を覆す力が。

 ドクン。


〝ライト……?〟

 ベヒモスが一瞬、俺を振り返った。


 俺に刃を……奴に届く刃をこの手に……。

 ドクン。


〝待て!お前にはまだ耐えられん……!〟


 みんなを守りたい、殺らせはしない……!!


 そして光が溢れた。


 光が収まったあと、俺の手には黒紫の剣があった。感覚で分かる、これはベヒモスだ。これなら奴に届く……!

 俺はそのまま剣を振るった。

 黒い斬撃がグラナギアに吸い込まれていく。

「ガッ……!!」

 ヒットした瞬間、辺りに歓声が響いた。

 どうやら応援が来たようだ。

「バ……バカな……、少し後ろに飛ばなければコアが損傷するところだった……」

 グラナギアの杖は斬られ、胸部のアーマーが横にザックリと裂かれていた。

「あの小僧は危険だ……、だがここは分が悪い、引かせてもらいましょう……」

 グラナギアは何か喋っていたようだったが、姿をくらました。

「逃げた……な……」

 それを見届けたあと、俺もぶっ倒れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ