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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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第22話 任務の内容

「あ、皆さん!お待ちしていました」

 城門の所にいた案内人はジェシカだった。

「……で、どうしたんですか?それ」

 ジェシカは俺が抱えている串焼きの袋に気が付いたようだ。

「頭を使ったらお腹が空くと思って。団長たちの分も買ってきたんだ」

「それは……仕事終わりにエールと一緒に食べたいものですね……」

「あはは、確かにね」

 ジェシカの言葉にリナベルが同意した。

「まぁ……とりあえず、会議室へご案内しますね。こちらへどうぞ」

 俺たちはジェシカの案内で城内へ足を踏み入れた。


「……間違いない、ノルドツァンナの王様はダンジョンの(ボス)になりたかったんだ」

「……不敬よ、ライト君」

「そしてジェシカは迷宮踏破者(ダンジョンマスター)だな」

「もういいから。……気持ちは分からないでもないけども」


 いやほんと、すごく歩いたような気がしたんだ。なんか上に行ったり下に行ったり、ぐるぐる回ったような感覚だったんだ。


 ジェシカが苦笑いしながら目の前の扉をノックした。

「戻りました、ジェシカです。悠久の翼(エターナルウイング)の皆さんをお連れしました」

「ありがとう、入ってくれ」

 扉の向こうからジェラルド団長の声が聞こえ、ジェシカが扉を開けて中へ通してくれた。

「むむ、いい匂いだな」

「団長たちに差し入れだ。良かったら食べてくれ」

「わはは、実はまだ食事を摂ってないんだ。これは任務の説明どころではなくなりそうだから、手早く済ませるか。すまないが説明を頼む」

 ジェラルド団長はジェシカに合図した。

「分かりました」

 ジェシカはうなずいて、壁に貼ってある地図の所へ移動し、俺たちに手招きした。


 俺たちが地図の前に来たのを確認し、ジェシカは説明を始めた。

「まず、先日のクラウストルム襲撃事件で奪われたと思われるフロスティウムですが、フレアタイトと呼ばれる、こちらも高エネルギー結晶体ですが、それと対で使われることが多いのです。そのため、次はフレアタイトが狙われる可能性が高いと思われます。そして運の悪いことに……」

 ジェシカは地図上の、とある町を指さした。

「ここ、炭鉱の町ペークシスでフレアタイトらしき高エネルギー結晶体の反応が出たとの情報があがってきました。ですので、皆さんにはペークシスの町へ赴いて、フレアタイトらしき高エネルギー結晶体を回収していただきたいのです」

「なるほど……。機神と出くわす可能性があるかもしれない……のね?」

「むしろ高いかと。どうか充分に準備して向かってください」

「分かったわ」

 リナベルはうなずいた。

「あともう1パーティ、Aランクの“高貴なる宝玉(ノーブルスフィア)”にも君たちをサポートしてもらう予定だ。恐らく現地集合となるだろう、よろしく頼む」

 ジェラルド団長が最後に情報を付け足した。

「君たちが当事者だから話すが、アーイディオンポースの女王様から竜の宝玉も奪われたとの情報を提供頂いている。やつらは……何か巨大なエネルギーを有する物質を欲しているのではないか……そう考えて、他の団員たちにもそういった物質を探しに行ってもらっている。また何か情報が入れば共有しよう。……もう我慢できん、食べてもいいか?」

「もちろんどうぞ」

 リナベルは笑いながら、串焼きを2本同時に食べるジェラルド団長を見ていた。

「任務の説明は以上になります。また聞きたいこと等ありましたら、ナビゲーションボードでお知らせください」


 その後、ジェシカの案内で、俺たちはノルドツァンナ城という名のダンジョンから脱出できたのだった。

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