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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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第17話 クラウストルムへ

「リナベル!大丈夫か!?」

 アクセラバードが放った衝撃波から、俺を庇って覆い被さったリナベルを起こそうと背中に回した手に、べったりと血がくっついた。

 俺は反射的に「回復(ヒール)」の魔法陣符(マジックカード)を使用し、リナベルの傷の具合をみた。

 まだ足りない。

 もう一度「回復(ヒール)」の魔法陣符(マジックカード)を使用すると、リナベルが目を開けた。

「ん……ありがとう、ライト君。あなたの回復(ヒール)は温かくて気持ちが良かったわ。こっちも癖になりそうね」

 そして仕上げとばかりに自分で回復(ヒール)をかけていた。

「よし、元通りね。コーディは大丈夫かしら?」

 やっぱり俺の回復(ヒール)とは桁違いの威力だな。ただちょっと……。

「リナベル、服が……」

「あっ」

 リナベルは空間に手を突っ込んで、適当なマントを引っ張り出して被った。

「……これでよし。……見えちゃった?」

 ここでうなずこうものなら、今度は俺が血塗れの刑間違いなしだ。

 俺は全力で首を横に振った。

「怪しいなぁ……」

「それよりもコーディを探すんだろ!?」

 その時、向こうの方で土埃が上がった。

「!?」

 土埃が収まると、コーディが現れた。

「ふう。酷い目に遭った」

 そう言いながら、こちらに歩いてくる。

 まさかの無傷……!

「すごいな、コーディ。どうやって避けたんだ?」

「ん?地面に穴を開けただけだよ」

 あの一瞬で!? 俺はあんぐりと口を開けていた。

「……しかし、酷い有様だね」

 コーディはしばらく周りを眺めたあと、ぽつりと言った。

「そう……だな」

 町の一部は全壊というか荒野、俺たちの周りは半壊の建物だらけだ。

「俺たちがやった訳じゃないけど、俺たちのせい……か?」

「うーん、難しいところね」

 俺は少し考えた。やっぱり町の人に悪い気がする。

「……リナベル、コーディ、俺に1日くれないか?」

「え?どういうこと?」

「少し……力を使うんだけど、反動で1日ぶっ倒れるんだ」

「それは……君が大丈夫なのか?いったい何をするんだ?」

「まぁ見ててくれ」


 俺は地面に両手をついて、目を閉じた。

 そして大地に眠る草花の種子に力を送り、イメージする。

 そこに広がるは緑の草原。

 ……目覚めよ。


「!!」

「なっ……!」

 リナベルとコーディが息を呑む気配がした。

 俺が再び目を開けると、うっすらと草が生えた大地があった。

「ははっ、さすがに草原とまではいかないか。……あ、ゴメン、ちょっと寝るわ……」

「……豊穣の力……」

 俺の意識が遠のく前、リナベルがそんなことを呟いていた。


 眠ったライト君をコーディが背負ってくれて、私、リナベルと二人でトランキルの住民を避難させた洞窟までやってきた。飛空機械の操縦士もここに避難していた。

「もう大丈夫なんですか?」

 トランキルの町長が私に尋ねた。

「ええ、ひとまずはね。ただ、町の建物の被害が結構すごくて……」

「それは仕方がありません。あなた方が来てくれなかったら、建物どころか町民の命ももっと失われていたでしょう。私どもを助けていただき感謝申し上げます」

 町長はそう言って頭を下げた。

「どういたしまして」

 なかなか出来た町長さんね。

「……ところで、そちらの方は大丈夫ですか?」

 町長はコーディの背で眠るライト君に気付き、私に尋ねた。

「眠っているだけだから大丈夫よ」

「そうですか、それなら良かった。……そうだ、もし良ければ町で休まれていきませんか?あまりおもてなしは出来ないかもしれませんが」


 私はその申し出に少し迷ったが、もともとはクラウストルムに現れた機神の対応に行く予定だったのを思い出し、先を急ぐことにした。


「有り難い申し出だけど、先を急ぎたいからまた今度来た時にお願いするわ。ところで、ここからクラウストルムまでは徒歩でどれくらいかかるかしら?」

「そうですね、大体2日ぐらいかと」

「2日……分かったわ、ありがとう」

 私はコーディに目配せし、コーディは軽くうなずいた。

「それじゃ、そろそろ行くわ」

「分かりました。クラウストルムも機神に襲われたと聞きます、どうかお気をつけて」


 そして私とコーディ、飛空機械の操縦士は町の人に別れを告げ、クラウストルムを目指し洞窟を後にした。

「ふふっ、ライト君からのお詫びの品、見て驚いてくれるといいわね」

 私はコーディの背で眠るライト君に微笑んだ。

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