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彼女 Ⅰ

ずっと引っかかってることがある。

今の俺には家族というものがない。あれは、中学2年の頃だ。俺が塾から帰ってくると、お母さんも、お父さんも倒れていてすごい量の血が出ていた。どうしたら良いのかわからず、とりあえず警察に通報した。それからのことはほとんど覚えてない。が、たくさん話を聞いたからわかりはするけど、思い出したくなかった。当時、急に出てきた暴力団【品川組】がいた。そのメンバーの1人が俺の両親と口論になり、家に上がっていたため、包丁で刺し殺されたらしい。俺が通報する30分前の出来事だったらしい。その後俺はしばらく家から出れずにいたためカウンセラーが付いていたが、何も話さなかったらしい。

しばらくたっても、貰ってくれる人もおらず一人で暮らしてきた。だんだん話せるようになってきたので、今は生活に困っていないが、思い出すと誰ともかかわらず生きていきたいと思った。でも高校で過去を知りたがる人や、気にする人がいなかったため楽に過ごせていた。まさか、ここで地雷を踏まれるとはな、、。


次の日。俺はいつもより早くに目が覚めた。昨日の夜から胸の奥が苦しくってそのまま寝てしまったのだ。夜中もうなされていたのか布団が汗でびしょびしょだった。それでも普段と変わらないような朝ごはん、準備を終わらせ、家を出た。

彩音の家に10分前に来てしまった。チャイムを鳴らそうとしたとき

「あっ、おはよう」

「おはよ」

「もうちょっと待っててくれる?」

「ちょっと早いから、ゆっくりで良いよ」

「ほんと?!ありがとう」

俺の今の顔死んでなかったが心配だった。

「行ってきまーす!おまたせ!」

「じゃあ、行こうっか」

「うん!」

「何か良いことでもあったのか?」

「なんで?」

「いつもと雰囲気も違うし、なによりテンションが高い」

「あぁ、バレるの早かったか~」

「どういうこと?」

「実はさ、初彼氏だからうれしくって」

「そういうことね」

「寿一君はいつも通り?よりテンションが低いような」

「そ、そんなことないよ。俺初彼女だからうれしいよ」

「それにしては低いよ。大丈夫?彼女だから相談してね!」

「だ、大丈夫だよ!相談するときはちゃんとするよ」

危なかった。俺の過去はだれにも理解されないし、同乗されたらキレる可能性があった。

「彼氏と学校に行くって新鮮で良いね。なんか青春って感じがする!」

「そうだね」

「学校ではどうする?」

「どうするって?」

「話すのか放課後とかだけのかかわりにするのか」

「あ~、放課後とかの限られた時間でどう?」

「おっけー」

2人でクラスに入り、お互いうなずいて席に着いた。

「おはよう!今日早いね!」

登校してきた朝子が話しかける

「おはよう。なんか早くに目が覚めちゃって、、」

「そっかー、無理はしないでね!」

「おう!」

朝子と話すと、気持ちが少し楽になっていた。

今日は特に何事もなく授業が終わった。最後の時間だけ爆睡していたがそれ以外は何にもなかった。

「最後、気持ちよさそうだったね!私まで眠くなったよ笑」

「気づいたら授業終わりのチャイムだった、、」

「ノート貸そうか?」

「良いの?」

「明日返してくれれば良いから」

「じゃあ借りるね!ありがとう」

どれくらい書くのかわからなかったから、覗いてみたが今日はやけに多い。めんどくさいが借りているものだから、ちゃんとやろうと思った。帰りのホームルームが終わり、彩音の委員会を待っている間にノートを少しでも進めていた。ちょうど半部くらい進んだところで、彩音が戻ってきた。

「待っててくれたの?」

「ちょうどノート書けてないところ写してたから」

「そっか、もう大丈夫なの?」

「残りは帰ってからやるから帰ろう!」

「おっけー」

こんな日々が続けられるように努力はしているが、初めての恋人なのでどうするのが正解かわからなかった。が、問題はまだ始まってすらいない。

「じゃあまた明日?」

「ごめん!!明日はやく行かなきゃいけなくって、、」

「そっか。まぁ学校で会おう」

「うん!ごめんね~」

それから一人歩いていると、

「今の彩音さんだよね?」

突然、朝子が後ろから話しかけてきた。

「びっくりしたぁ」

「ごめんごめん。2人は付き合ってんの?」

「えっ、、なんで?」

「よく朝一緒に来るし、帰ってるよね?」

「そうだけど、、」

「けど、なに?」

「関係ないよね?」

「、、」

「今までもついてきたってことで良いんだよね?」

「うん、、どんな人と関わってるかが知りたかったから」

「そっか、、」

「ごめん」

まさかの出来事に戸惑いを隠せない2人。俺の家の前に着いたとたんに、滝のような雨が降ってきた。さすがにこの雨の中朝子を返す勇気はなかったため、一旦家にあげた。

「豪雨がおさまるまではゆっくりして行って」

「ありがとう、、」

それからしばらくは一言もしゃべらなかったが、俺はノートを終わらせたので返した。

「ノートありがとう。助かった」

「お役に立てなのなら良かったです」

「雨止みそうにないけど、まだ待っとく?」

「親に連絡はしたんだけどそれっきり」

「鍵あるなら、送って行こうか?」

「さすがにそろそろ時間も遅くなるし」

「お願いしても良い?」

「わかった、ちょっと待ってて」

俺のレインコートと傘を朝子に貸し、支度は終わった。

「よし、行こうか」

「うん。これありがとう」

「濡れるのを最小限にしないとな、後々めんどくさいし」

「助かります」

それきりその日は会話せず、朝子の家の前に来た

「家ここだから。」

「そっか、じゃあまた明日」

「うん。助かったわ、、レインコートとか明日返すでも良い?」

「かまわないよ。最近使ってなかったやつだから」

「そうだったんだね、、じゃあ明日学校で」

「じゃあな」

次の日の学校生活からは今までと同じように関わってくれた。だんだん俺も今まで通り話せるようになったため、解決したといえるだろう。ただ、俺が馴れ馴れしく女子と話してるのが気に食わない者がいた。

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