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まめまきもひまわりもテレビの中の人が大好きだった。でもテレビの中の人とはお話ができても、相手の顔を見ることや、触れ合うことはできなかった。それがとても悲しかった。
それになぜかわからないけどテレビの中の人は外の世界のことはなんでも教えてくれたのだけど『自分自身の本当のこと』はなにも教えてくれなかった。
自分の名前も教えてくれなかった。(自分から遠い世界のことは教えてくれるのに自分の近い世界のことは全然教えてくれなかった)だからまめまきとひまわりはテレビの中の人のことを名前で呼んだことが一度もなかった。
「ねえ、まめまき。どうしてテレビの中の人は私たちに名前を教えてくれないのかな?」と夜空に輝く星たちを見ながらひまわりが言った。
夜の冷たい風が吹く小さな丘の上にまめまきとひまわりはいる。
「わからない。どうしてだろう?」せっかく星と月が綺麗な夜なのに、下を向いて、まめまきは言った。