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クラス召喚に巻き込まれました……

俺は佐藤(さとう) (ひびき)だ。今年、高校に入学した高校一年だ。俺と同じ高校に通う中学の同級生はほとんどいない。いても仲がいいわけでもなく会話をすることはない。分かりやすく言うならば俺はボッチだ。もしかしたら高校はこのままボッチで過ごすかもしれない。コミュニケーション能力がゼロだからな!


俺が通う高校は全部で4クラスある。その中で俺は2組だ。




ある日の昼休み……


俺がトイレに行って教室に帰っている途中……


「お前、一年か?」


男性の教師が話しかけてきた。


「へ?えっ…えっと……はい。い、一年です。」


なんで俺なんだよ……コミュニケーション能力皆無だぞ?


「なら、これを1組の教室に持って行ってくれ。」


「わ、分かりました。」


俺は手渡された数冊のノートを持って1組の教室に向かった。……昼休みなのにクラス全員いるんだな……


「あ、あの……ノートを持って来ました……」


「あっ!ありがとう!こっちの机に置いてくれる?」


「はい。」


俺がノートを机に置いて教室から出ようとした時……


「な、何これ!眩しい!」


いきなり床に模様が浮かび上がり白い光に包まれた。




な、なんだ……?どこなんだ?

 

気が付けば俺は薄暗い部屋にいた。辺りを見渡すと多分、1組の生徒もいた。


「皆さん、お待ちしておりました。」


なんというか……シスター?みたいな人がそう言った。


「……ここはどこなの?」


俺がノートを持ってきた時に対応してくれた女子生徒が問いかけた。


「ここは貴方達でいう異世界です。貴方達にはクラスメイトで協力して魔王を討伐してもらいます。」


……え?クラスメイト?それって1組のことだよな?俺は別のクラスなんだけど……


「……貴女達の中では決定事項ってこと?」


「はい。魔王を討伐しない限り貴方達は帰れません。」


「もし、嫌だと言ったら?」


「貴方達は家に帰ることが出来ません。一生、ここで過ごすことになります。」


「…分かった……皆!このままここでじっとしてても家に帰れない!魔王を討伐するまでかなり危険だと思う!でも!私は家に帰りたい!だから!私は魔王を討伐する!…皆はどうする?」


女子生徒はクラスメイトにそう言った。


「…………」


沈黙だな……


「わ、私は行く!私も家に帰りたい!」


「俺も!」


「私も!」


一人の生徒が言えば、他のクラスメイトも『行く』と言い、全員が魔王を討伐することを決意した。


「皆さん、魔王の討伐をよろしくお願いします。」


シスターがそう言った。


「……一つ、頼みがあるんだけど…」


「なんでしょう?」


「貴女は『私達のクラス』に魔王を討伐してって言ってる。……それでいいね?」


「ええ。」


「なら、彼はクラスメイトじゃない。巻き込まないで。家に帰してあげて。」


女子生徒が俺の方を見ながらシスターに言った。


「…申し訳ありません。それは出来ません。送還魔法を使うには魔力が足りません。」


「なら、彼の安全を確保して。私達が魔王を討伐したら一緒に送還することも約束して。」


「……送還については約束します。ですが、安全を確保するのは難しいです。我々は貴方達クラスに対しての支援しか出来ません。」


「……もし、彼が私達と魔王を討伐することになっても?」


「はい。」


「え?」


「……最低…勝手に巻き込んどいて……」


……え?俺、この先どうなんの……?なんの支援もないだなんて……


「……こちらに金貨五十枚分の硬貨が入っています。ここにいると逆に危険かもしれません。これを持って逃げてください。送還の際はこちらの魔道具でお知らせします。」


……口止め料ってことか……


「ちょっと!貴女が巻き込んでお金で解決する気?ちゃんとした謝罪もなく追い出すわけ?最っ低!」


「あ、あの……俺は大丈夫です。……これを持ってここから逃げればいいんですよね?……また、送還の時に教えて下さい。」


「分かりました。……案内をつけますので、外に出てください。」


「ちょ、ちょっと!貴方はそれでいいの?下手したら私達より危険かもしれない!せめて私達と行動すればマシな生活ができる!一緒に行きましょう?」


……わざわざ部外者の俺にも声をかけてくれるんだな。


「……俺は大丈夫。そっちこそ、俺といれば危険かもしれない。……ありがとう。」


「……分かった。貴方にその気がないなら引き留めるのは難しそうだし、今はお別れ。けど、困ったことがあればいつでも声をかけて。」


「……ありがとう。」


俺は女子生徒に背を向けて歩き出す。


「……茜!」


「え?」


「私は北条(ほうじょう) (あかね)!」


「お、俺は佐藤(さとう) (ひびき)!誘ってくれてありがとう!」


「また会いましょう!」


……こうして、俺の異世界生活が始まった。




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