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自己愛性ブラック~その原因とメカニズム~  作者: 朝木深水
第九章 新人、飲み会、飲み会
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その二 松井さん

 とある土曜日に、初めてダイレクトにやってきた。UCが一段落したらしく、前田さんと成見も一緒だった。小迫さんは何かの理由で休みだった。


 梱包のやり方はだいたい同じだが、こちらでは台車を使用しないといけない。少しでも作業しやすいようにと、小さい方の台車を提供してあげた。松井さんは、初めての台車に悪戦苦闘して、ガチャガチャと向きを変えた。見ていると、どうも動きがぎこちないというか、無駄なアクションが多いような気がした。まだ慣れていない、ということもあるのだろうが、元々そういう人なのかもしれなかった。へらへらとしながら、独り言を呟いていた。前田さんは優しく指導していたが、諦めともつかない、やや微妙な空気が流れているような気がした。


 それ以来、ダイレクトにも頻繁に来るようになった。

 仕事量が増え、小迫さんが防錆をメインにやり始めたので、松井さんが来るしかなかったのであろう。


 ある日、彼がテーブルに座って段取りをしていると言った。

「何か、音がうるさいんですよね。集中出来ない」

 そう言うと、耳を押さえる仕草をした。


 フロアの向こうには、製造のラインがあった。機械音がガッタンゴットンと、工場中に響き渡っていた。


 書きかけの製品ラベルを見ると、間違えたのか、二本線で消した跡で埋まっていた。

 何か、脳に器質的な異常でもあるのではないかと思った。

 自分の作業をしながら、目を光らせることにした。

 箱を積む位置を修正してあげた。

 副票を入れ忘れかけたので、指摘した。

「アーー」

 ヘラヘラと笑いながら、叫んだ。

 取り敢えずその程度で、大きなミスはなかった。


 確かに作業は早くはないが、こちらでは割と普通に作業しているように見えた。

 しかし、前田―成見サイドの評価は芳しくなかった。

 また土曜日のことだった。

工場はうるさいです

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