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自己愛性ブラック~その原因とメカニズム~  作者: 朝木深水
第六章 第三の男
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その十一 引き上げ

 午後一で、ラインにプレートを運び、それが終わったタイミングで、取り敢えず勝手に引き揚げを始めることにした。ハンドフォークを引きずって受付を出ると、パレットがズラリと並んでいた。しかも大型のクソ重たい部品ばかりだった。受付の傾斜を乗り越えるのに、受付の人の手を借りなければならなかった。EMに運び込んで、空いたスペースに押し込んだ。しかし、パレット十枚も入らなかったので、一部、通路に置く羽目になった。リーダーには特に何も言われなかった。


 二日目は、一応リーダーに報告することにした。ちょっと、部品の引き揚げをやります。うん、わかった。どうやら本当に漠然とだが、状況を理解しつつあるようだった。ピッキングをやらないとなると、何か言われるのではないかと思ったが、特に何も言われなかった。了解は得られたので、その日から毎日の日課になってしまった。


 EMの連中は、部品がなくなってもパレットなど片付けないので、まず私が適当に整理して、パレットをどかして、場所を作らなくてはならなかった。その時はちょうど夏休みシーズンだったので、高校生のアルバイトにも手伝ってもらった。


 ある日、残業が終わり、ハンディを置き場に置こうとしていると、リーダーに遭遇した。

「三百超えた」

 いきなり尋ねてきた。『さ・ん・びゃ・く・こ・え・た』だと。一体、何のことだ。


 リーダーに教えてもらって、ハンディでその日の累計を見た。そんなページがあることなど、その日初めて知った。


「いや、二百九十八ですね」

「そうか。惜しいね」

 リーダーが残念そうに言った。


 恐らく、一日三百オーバーがノルマとかいう話になっていたのであろう。


 しかし、そもそもそんな話は聞いていなかった。それに私はプレート運搬と、パレット引き揚げをやっていて、午後からは、出庫をしている時間があまりなかった。

暑くて大変でしたね

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