ブラック企業のメカニズムを可視化
本書のメインテーマは、ブラック企業の心理的メカニズムです。
ブラック企業というと、『利己的な経営者が、自身の利益を追求するために、従業員を使い潰す』といったイメージで語られることが多いのですが、そうした『ヤクザ型』ブラック企業は、実は少数派であり、自己愛性パーソナリティ障害を原因とする『自己愛性ブラック型』の方が多数を占めているのではないか、ということは本書で述べた通りです。
彼らには、自分たちが『悪いこと』をしているという認識はありません。むしろ、長時間労働やパワハラ、強要といった行為を『正義』だとすら思っています。
現在のブラック企業対策は、法的な対応がメインとなっていると思います。
被害者に対しては、鬱病などを発症した場合は精神科医が治療に当たるかと思いますが、本来は、加害者側に対する心理的、精神医学的な対応というものが必要ではなかと思われます。ハラスメントに対処するにも、心理的メカニズムの理解は必須でありましょう。
ブラック企業対策に従事する方、実際に被害を受けている方、これから就職する方、雇用する方もされる方も、自己愛性ブラックのメカニズムを知っておいて損はないでしょう。