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自己愛性ブラック~その原因とメカニズム~  作者: 朝木深水
第三章 幻惑
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その七 ミスとシャッターとヤード分離と

 しかし、よく見るのも限界がある。そもそも、見ていないということもある。人間の注意力と集中力には限界がある。仕事にミスはつきものなのだ。

 よくあるのは、製品ラベルおよび副票の取り違えだった。

 RワイとEワイ、EアウトリンクとEtアウトリンク、PDとBDなどなど、紛らわしい品番が幾つか存在した。

 ある土曜日のことだった。

 私が一仕事終えて、次の作業に取り掛かっていると、声が聞こえた。

「朝木さーん」

 志田君だった。

 さきほど作業したパレットの製品ラベルが違っていた。

 BDにPDのラベルを使用していた。

 こうした場合は、どうするのか。

 箱ごと全てバラシて、防錆袋ごと中身だけ新しい箱に入れ替える。勿論、副票と製品ラベルは書き直す。

 三チャージ分の部品をバラすと、空き箱が山となった。

 チャージナンバーの書き間違えも同様だった。

 そうしたことを受けて、ラベルにそれぞれのカラーの枠線がプリントされることになった。

 しかし、それでも同様のミスは発生した。社員どもは、ミスが起きる度にヤキモキしたことだろう。申し訳ないが、仕方のないことだったと思う。


 この頃、とある土曜日に、実験Z棟の方にもシャッターが設置された。

 業者が、ヤードのフォークリフトを借りて取り付け工事を行った。その後、ワークネードの全員が集まって、長田さんから講習を受けた。

 普段は自動のまま。上昇、下降、最後はメインスイッチを落とす、など。

 それまでは扉を開けっ放しで、夏はクソ暑く、冬はクソ寒かったが、多少はマシになるものと期待された。

 しかし、センサーの反応とシャッターの開閉にやや時間がかかるため、フォークリフトのドライバーは注意が必要だった。あまり焦ると、シャッターに突っ込みかねない状況だった。尤も、工場の他の場所には、既に同様のシャッターが設置されていたので、ドライバーどもも、慣れてはいたのであろう。


 その年のゴールデンウィークは九日だった。映画を観て、買い物をして、掃除をして、寝ていたら光の速さで時間が過ぎ去った。

 何故か六月という中途半端な時期に、ヤードが分離した。

 元々我々は、UCとダイレクトという二系統の部品を梱包していた。その二系統の中に、何種類もの部品があった。言うまでもなく、正確には、梱包していたのは部品の部品ということになる。

 当時は正社員の皆さんが、二つの工場からフォークリフトで一台車ずつ、部品を運び込んでいた。主に志田君が、彼がいない時は香田さんか長田さんが、一日中フォークを爆走させていた。雨にでも降られると相当に大変そうであった。

 そのため、という訳でもないらしいが、ダイレクト部品の方は、そのままダイレクト工場で梱包の作業をすることになった。

 とある六月の晴れた日、志田君に連れられてヤードを出た。

涙は見せないでフフフフーン

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