その七 何とか部長
週が明けると、ワークネードの部長が現れた。正式には何とか支部長で、この工場担当の責任者らしかった。実は面接の時にもワークネードの事務所にいた。
昨年末あたりから処理量が増加し、特に来月は、今までで最大規模になるという。そのためにその部長さんが、梱包セクションのメンバーに一言挨拶をする予定だと聞かされていた。
ダイレクトでは、午前中には小迫さんと松井さんがいたが、午後からは一人だった。
ガイドの投入をしていると、彼が私の横に立った。スマホを見たりせず、真面目にやっていて良かったと思った。
何も言われないので、黙々と作業を進めていた。
選りに選って、これから投入をしようとしているところで話しかけてきた。
「疲れてないですか。腰とか痛くないですか。大丈夫ですか」
「体調悪かったら、休んでいいですから」
「今、前工程に調整をかけてますけど、この状態がもう少し続くので、しばらく頑張ってください」
いずれにせよ、残業は続く。しかし、本気かどうかはともかくとして、このような扱い一つで印象がかなり良くなることは確かだ。世のブラック企業は見習った方がいいだろう。
本当に休むと馬鹿をみる