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自己愛性ブラック~その原因とメカニズム~  作者: 朝木深水
第十章 第二の男
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その五 第二の男

 しばらくして、また新人が入った。新人は常に入っていたが、この時に入ってきたのが真中君だった。彼が第二の男である。


 二十代、身長は私と同じくらいで体型はスリムだった。精悍な顔立ちでやや内斜視気味に見えた。彼は五号機に配属されると、三井君の指導を受けた。


 しばらくすると仕事も覚えたらしく、職場にも溶け込んだ。


 七号機からは、五号機で作業をしながらはしゃぐ真中君の姿が見えた。機械音に負けない笑い声が聞こえることもあった。


 特に機会もなかったので、個人的に話すこともなかった。しかし七号機において、三番と四番とで岩永さんと一緒に組むと、彼女が彼の情報を話してくれた。何故、岩永さんが彼についての詳細を知っていたかというと、五号機の白石さんと付き合っていたからである。休憩時間や昼休みには、常に二人で一緒にいて、職場でも公認の仲だった。


 彼女の話によると、真中君は北関東の出身で、元ヤンキーだった。しかもかなりディープでリアルなヤンキーで、毎晩のように抗争だの喧嘩だのに明け暮れていたらしい。東京に出てきて、ボクシングのジムに入門し、かなり上のランクまでいったということである。ボクシングをやめた後でホストになり、歌舞伎町の割と有名なクラブで、ナンバーツーになった。その後、紆余曲折を経て、現在の職場に辿り着いたということである。これらは全て本人談で、現在まで真偽のほどを確認した訳ではない。しかし、このレベルの表面的な経歴を、特に疑うべき理由もない。


 私はといえば、休みがちになっていたので、基本は七号機だったが、人のやり繰りに困るとフラフラとあちこちのマシンを彷徨う羽目になった。人がいない時は、ソーターが三人になることも多々あった。四階のみならず、二階や地下にまで派遣されることがあった。ところが、五号機はメンバーが安定していたせいか入る機会はなかった。正直、面倒くさそうなので、真中君に自分から話しかけようという気持ちはなかった。


 しかし、同じフロアで毎日仕事をしていると、話す機会も訪れるというものである。


 そして一度話をすると、それ以来、休憩時間などに、ちょこちょこと言葉を交わすようになった。


 内容は、そう大したものではなかったと思う。疲れたとか、同じフロアの誰がどうとかいった小さなことがネタだったのではないだろうか。


 私が感銘を受けたのは、やはり彼の態度である。


 さすが元ヤンというべきもので、常ににこやかだったが、自信に溢れ、余計な緊張感が漂っていた。その時はわからなかったが、今思い出してみると、こういう表現がぴったりである。すなわち『どことなく上から目線』。

パッと見はわからないですね

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