説明終了、バトルスタート
『諸君には、それぞれ敵となる種族がいる。天使と堕天使、エルフとダークエルフが互いを滅ぼさなければならない』
説明を続ける創世神オーディスとやら。なんか、中二病臭い名前だなあ。
「エタナルドは全部で二十のブロックに分かれている。各ブロックの構成は天使が三十人、堕天使が一人、エルフが三十人、ダークエルフが九人、そして戦士が百三十人の合計二百人でできている』
随分と、アンバランスな構成だな。
『戦士を除く四つの種族のうち、天使とエルフ、または堕天使とダークエルフが全滅したときにゲーム終了だ。そのとき生き残っていたプレイヤーのみが、元の世界に変えることが許される』
おいおいおい!なんか酷いことになってないか!?全員は帰れないってことじゃないか!
『各種族のプレイヤー数に反比例して、NPCを用意している。では、楽しい勝負を期待する』
言いたいことだけ言って、創世神は説明を終了させた。
「さて、あなたのお名前をお伺いさせてください」
説明が終わると、今まで黙りこくっていたフブルというNPCが声をかけてくる。
そして、先ほどまで存在していなかったステータス画面が俺の目の前に表示された。
『お名前を記入してください』
全く、RPGそのものだな。よく分からないが、自分の名前を参照して「グラス」と入力。決定ボタンをクリックする。
「グラスさん。宜しくお願いします。堕天使族のため、ともに戦いましょう!」
深々と頭を下げ、各NPCに設定されているであろう台詞を述べる軍服男。
俺、やっぱり堕天使か。この男の背中で察しはついていたがな。
「えーと。仲間のとこに連れてってくれ」
俺はフブルにそう頼む。
あの創世神の説明によると、堕天使は一ブロックに一人。つまり、仲間は皆NPCということだ。
となると、いち早く合流しないと不安は解消されそうにない。
「はい。ですがその前に、お教えしなければいけないことがあります」
シナリオ通りなのだろうか、さらさらと口を開くフブル。
「飛び方を、ご教授させていただきます」
俺の後ろに回りながら言うこの軍服男。
「あ、俺は堕天使だから......」
彼の意図を理解し、後ろに首を回す俺。
まあ当然だ。俺の背中にも黒い翼が生えている。
「今、ご自分の羽が動いていることが分かりますか?この筋肉を動かすには......」
俺の翼に触りながら説明をするフブル。えーと、この筋肉が羽の根元で......
結局、実際に飛べるようになるのに二時間近くかかった俺。
プレイヤー一人にも関わらず、非常に出遅れたスタートだったのだ。
「俺が前方の戦士を薙ぎ払う。フブルは後方援護、ピロは俺の払い損ないを頼む」
「かしこまりました」
「分かった」
はい、ここで回想終わり。
まあ、出だしこそ不調だったが、今では一般プレイヤー以上の飛行能力を持っていると俺は自負している。練習、大変だったんだからな。
俺の指示にきちんと従ってくれる二人。紆余曲折あったが、こうして良きチームとなっている。
んで、あの襲われている堕天使は何者なんだろうな。
もうすでに、助け終わったことを考えている俺。
あんな雑魚NPC戦士のグループ、十秒でけりをつけてやる。
グラスとフブルについては、これでほぼ説明終了ですね。
あとは、ヒロイン勢の話をこれから展開させていきます。
里見レイ