決闘の末、深まり続ける謎
おそらく、普通の戦士だったら即刻絶命していただろう。
しかし俺は天使狩りで経験値を荒稼ぎしといたこともあり、高いHPでなんとか持ちこたえた。
それでも、この戦いは俺の敗北なのだろう。
持ちこたえたHPもあと一撃で0になるレベルだし、第一こんな重傷を負っていたらまともに剣を振れるわけがない。
「グラス君!」
「お兄!」
後方からメリア・ピロの声が聞こえる。どうやら無事のようだな。
「近づくな! 奴は俺たち三人がかりでもかなわない!」
自分で始めた戦闘に彼女たちを巻き込むわけにはいかない。俺の意地だ。
「今手当てするから!」
「お兄、下がって!」
しかし、彼女たちは俺の言うことを聞かない。メリアは俺に治癒魔法をかけ始め、ピロはハンターナイフを奴の目元に向けさせる。
「ふっ、お前は呪われているくらいに恵まれているようだな。まさか、こいつらがここまでお前想いとは」
ピロの攻撃をかわして妙なことを言い出す言い出す謎の剣使い。
「知らない間は恵まれて続ければいいさ。ただ、そのうちここで死んだほうが良かったと後悔するだろうぜ。じゃあな、同胞。また会おう」
奴は話したいだけ話すと、翼を広げて闇夜の中へと姿を消した。
「同胞とは、馴れ馴れしいな。意味分からんことばかり言いやがって......」
「お兄、世の中分からないことだらけ」
傷を手当てされながら吐いた愚痴に的確に突っ込むピロ。
お前、起きたばかりなのに寝ぼけてはいないんだな。
「......」
一方のメリア、先ほどより表情が硬くなっている。俺の治療に失敗でもしたのか? この通り、アイコン上ではフル回復しているのだがなあ。
「だ、大丈夫。グラス君の未来は私が守るから。うん、大丈夫だからね......」
「メリア、何を言っているのか分からんぞ。あと、回復ありがとう。完全に油断してしまったようだが、次はあの謎の男を倒すから君が心配するようなことは......」
「もう何も言わなくていいから!」
「? 何故君が泣く?」
「あ、いや、そのお......」
ったく、深夜テンションとやらで気が狂ったか?
彼女は俺を世話するとか言うが、逆にこっちが世話をしたいくらいだよ。
「君たちはもう寝ろ。見張りは俺一人でやる」
反対意見が出る前に、俺は二人に毛布を押し付ける。
アイテムボックスに入れといて助かったよ、本当に。
俺の表情を見てか、ピロもメリアも今度はすんなりと寝てくれた。
「ふう......」
アイテムボックスからお気に入りの果実を取り出し、眠気覚ましにかじる。
まったく、つくづくメリアは不思議な人だ。俺の知らないことをいくつも隠しているに違いない。
味方として信頼は今までよりはしても良いと思うが、全面を預ける気にはまだなれんな。
......下手に感情移入しても面倒だろうし。うん、絶対面倒だ。美人だからって気を許すな、俺。
......はあ。この世界、エタナルドにはまだまだ秘密がありそうだな
伏線多いです。あー、どうしましょう。飽きられてしまう!
興味を持たせ続けられるよう頑張ります。
里見レイ




