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狭間のエタナルド  作者: 里見レイ
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闇夜の一幕

「おいおい、本当にあいつらは大丈夫なんだろうな?」


「彼らが全滅を避けるために決めたことなの。信じるしかないわ」


「俺は、守ってもらうような堕天使じゃないぞ」


「あなたは最強だからこそ逃げてもらったの。別に怒ることじゃないって」


「でもなあ......」


 天使族第三支部から脱出後、追いかけてくるモブの天使たちをなぎ倒しながら帰り道を急いだ俺たちだったが、結局集落にまでたどり着く前に日が暮れてしまい野宿となってしまった。

 ピロはユーミラスとの戦いに疲れたのだろう。野宿を始めるとすぐに俺の膝の上で寝息を立て始めた。

 よって火の番を兼ねて俺とメリアが起きているのだが、いかんせん会話が弾まない。


「あなたは、優しいんですね」


「君は会話に困るといつもそれを言うな」


「でも、言っていることは事実ですよ」


「はいはい。精神が消耗するので無駄話は控えましょうね」


 ったく、この人といると違和感しかない。落ち着くと思ったら落ち着かないし、本音を吐いてもいい気がすると怪しげなことを言うし。


「あなたも休んでいいよ。いざとなれば、私が守るから」


「一夜くらい寝なくても平気だよ。第一、ユーミラスが来て君一人で対処しきれるの?」


「え、えーと......」


「でまかせも程々にしとかないと、パーティーで孤立するぞ。俺たちは堕天使だが、仲間内では信用第一でやっているんでね」


 メリアはパーティーの雰囲気に慣れたと思ったのだが、やはりまだ俺たちを理解できてないのだろうな。


「一応、私はあなたのために動いているんだけどなあ」


 優しく微笑むメリア。もとより美人だと思ってはいたが、微笑むとそれを思い知らされるな。


「甘えても、いいのよ......」


 このまま抱きしめてしまいそうな美しい笑顔を見せてくるメリア。

 こ、こいつ。色仕掛けで俺を洗脳する気か? しかし、単純に考えればただの愛情表現にも見えるがな。

 いや、待て待て。相手は正体不明の悪魔だ。油断するな油断するな......


「......いじわる」


 ふてくされるような顔をするメリア。おいおい、一体どこの恋愛アニメの真似っこだ?


「私、結構グラス君のこと気に入っているのになあ」


「お、おふざけも終わりにしてもらえないかな?」


 なぜ理由もなくこんな美人が俺に好意を持つんだよ? 俺は彼女に何もしていないぞ。

 こんな安っぽいラブコメ展開はごめんだ。

 第一、俺は妹がいてこんなよく分からない女と恋愛しているほど暇ではないんだからな。


「少しくらい、警戒を解いてもいいんじゃないの?」


 非難の目を向けてくるメリア。それならまず、自分の言動の説明からしてもらいたいね。


「あのなあ......」


 俺がその説明をしようとした時だった。


「グラス君!」


 いきなり火をまたいで彼女が俺に飛びついてくる。自然と体勢を崩され後ろに転倒。

 なんだ? 誰かに命令された篭絡作戦が失敗するから強硬手段にでも出たのか!?

 ただ、この予想は違ったようだ。


 直後、さっきまで俺がいたところに一陣の風が吹く。


「ほう。そのヒーラーさんは直感もいいのかな......」


 優雅に舞い降りてくる後ろに羽の生えた男。暗闇でシルエットくらいしか見えないが、敵のようだ。

 となると、あいつはユーミラス! ではないな。声が明らかに違う。

 それに、あいつが持っているのは俺と同じバスタードソードだ。奴の愛用の短剣ではない。

 ただ、奴と同格かそれ以上の殺気が放たれている。


「お前、天使族の追ってか?」


 ひざ元にいたピロを後ろに下げつつ、俺もバスタードソードの準備をする。

 ここで死ぬわけにはいかないのでね。


「そんな下等な存在ではないさ! まあ、強いてあげるならお前に一番近い存在かな。堕天使グラス!」


「俺の名を知っている。戦うべき相手であることに変わりはないようだな」


 完全に応戦体制を整える。

 こんな夜中に戦闘とは、ついてないね。

 ま、最近不完全燃焼ばかりだったから楽しむとするがな......

いやはや、恋愛がらみって難しいですね。グラスの心理は複雑なもので、書くのも大変です。

里見レイ

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