進軍する堕天使
「敵襲ー!!」
館の中でモブたちが慌てて応戦体制を整えているが時すでに遅し。
フブルが買収しておいた天使のモブの手により門は開け放たれ、俺たちが激流のごとく襲いかかる。
「天使の血は、この剣の大好物なんでな。悪く思うなよ!!!」
俺は、ひるむ天使たちに次々とバスタードソードで斬りつけていく。そのたびに、この剣は黒々と光を放ち威力を上げていく。
「あ、あれが噂の『闇を背負う者』!? 天使を殺していくにつれて強くなっていく堕天使グラスの魔剣なのか!?」
「はっはっは! 気が付くのが遅かったな。諦めて餌食になりな!!!」
悪者みたいな台詞を吐きながら剣を振り回していく。どうせ、あいつらはNPCモブだ。いくら殺しても悪いことにはならない。
「グラスさん、周辺は大分片付きました。あなたはミスディールのところへ!」
「行くよ、お兄!」
「グラス君、けりをつけましょ!」
「あ、お前らも行くんだ......」
てっきり、フブルと一緒に掃除を続けるのかと思った。
まあ、人手は多いほうがいいからな。断りはしない。
「グラス君、やっぱりあの天使が憎いの?」
「......まあな。大事な友人を殺されたわけだし」
「友人って、堕天使の?」
「堕天使では、ないな......」
「でも友人なの?」
「......だいぶ前からのね」
奥の部屋へと走りながら、感情を殺してメリアの問いに答えていく。
この人に悪気はないのだろうが、俺にストレスを溜めさせるな。戦闘に集中できないだろ。
「どんな人?」
「あとでな」
強制的に話を切り上げる。
もう、奴は目の前に現れようとしているのだからな。
「ミスディール! 貴様の命、もらいに来たぞ!!!」
「グラス、やっぱりお前か! おーのーれー!!!」
館の最後部の一番奥の部屋、天使族第三統領ミスディールは怒りに満ちた表情で俺たちを迎えた。
「このミスディールの命を取ろうとは、百年早いのだよ」
「御託はいらん。始めるぞ」
このままでは奴の自己満足用の演出がしばらく続きそうなので、さっさと打ち切り剣を構える。
「ふっ、器の小さい小僧が」
「和睦に反対した貴様にだけは言われたくないな」
奴は片手剣を上段に構える。
「王道の片手剣か。そんなんで、堕天使に勝てるっと思うなよ!」
片手剣など数え切れないほど相手にしてきた。
多くのプレイヤーがこのエタナルドで愛用しているが、決して最強の武器というわけではない。
リーチの短さや攻撃力の低さを頭に入れれば十分に勝ち目がある。
「いくぞ!!!」
気合の声を入れて俺は一気に詰め寄る。秒速でカタをつけようではないか。
グラスの武器、ついに解説できました。ピロお手歳のチート武器、ですかね。
里見レイ




