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お話し合い

 二人で王宮を出た


「どこへ行きますか?」

「・・・・・・」


 出てすぐ帰りたかったが、薬草師長と約束した手前、しばらくは一緒に過ごさなければ


「お腹すいているか?」

「ええ、まぁ」


 送ろうと行こうとアマンダ以外の言葉を初めて聞いた

 いい声だったのね、忘れていました


「あれを」


 ダレン様が指を指したのは屋台。

 肉を焼いてパンの中に野菜と一緒に入れた、庶民にはよく食べる代物だ!お肉の味が濃くて野菜のさっぱり感が合わさって美味しいのだ!パンの端をカリカリにしてあるこの店は私のお気に入り


「私この屋台お気に入りなんです!ダレン様も?」

「ダレンでいい」

「えーっと・・・嫌です」

「ダレンと呼んでくれ」

「では一ヶ月経ったらお呼びします」

「しょうがないな」


 まぁ一ヶ月経つ前には、こんなふざけた遊びも終わっているだろうと軽く考えていた私でした


「おじさん!それ二つ下さい!」

「あいよ!新作の辛いのもあるけどどうする?」

「辛いの?どうしよう・・・」


「亭主、ならば一つづつ下さい」

「あいよ!・・・ってダレン様?」

「ああ」

「今旅の討伐お疲れ様でした!ジュースをサービスさせて下さい!」


「いや「わー!ありがとうおじさん!」」


「こういうご好意は遠慮したらダメです!」

「・・・・・・」


「おじさんまたね!」

「まいど!」


 私達はパンとジュースを片手に街をブラブラした


「座りませんか?」

「ああ」


 近くの川沿いにあるベンチに腰掛けた、土手を背にしたベンチは街並みからは少し外れていて、静かで風が気持ちいい


「日が落ちてきましたね!早めに食べて帰りましょう」

「・・・・・・」


 ダレン様は一口もパンを食べていなかった

 私は普通タイプを受け取っていたので、もしかしたら辛いのは苦手なのかもしれない、言えばいいのに


「辛いの苦手でしたか?」

「いや」

「でも、進んでいませんよね?」

「アマンダ・・・は、辛いの苦手か?」

「いえ、実は好きです。」

「好き!?」


 へ?急にテンションが上がって顔が赤くなったダレン様


「辛いのが!ですよ」

「あっああ、わかっている。」


 なんで乙女みたいな反応を


「交換してくれないか?」

「え?でも私半分食べてしまいました」

「辛いのは少し・・・」


 あらあらまぁまぁ、やっぱり辛いの苦手なんじゃない

 私は男所帯の職場ともあって、使い回しや食べ回しなどは抵抗がない。むしろ遠征先でそんなあまっちょろい事言おうもんなら次からは外されてしまう


「分かりました!はい!」

「ありがとう」


「んー!辛い!けど美味しい!」

「・・・・・・」


 ダレン様はしきりにパンを凝視していた

 何だか気恥しい


「食べたくないのならいいですよ、私が明日食べます」

「いや!」


 パクリと食べ始めたダレン様


「美味しい」

「ですね!この端っこがカリカリなのがまた美味しいです!」

「ああ」


 ダレン様は私に体を向けて穏やかに笑った


「関節キスだな」


 ・・・は?

 いやいやいやいや、色気ダダ漏れの笑みと声で、思春期の少年が顔負けのセリフ


 ダレン様はよくわからない人だった


「あのダレン様?その・・・言い難いのですが、昨日初めてお会いした時の事、覚えていますか?」

「ああ」


「忘れてください!!今すぐに!!記憶から抹消して下さい!」

「なぜ?」


「なぜって!そんなの!」


 思わず私は思い出し、恥ずかしさで居てもたってもいられない


「今日は履いているのか?」

「へ?へ?なっ!」

「履いて、いるのか?」


 セクハラーー!!しかもなぜそこは饒舌に!?


「当たり前です!あれは事故です!!」

「俺以外にやられては困る」


 ダレン様もですー!!


「とにかく!忘れてください!無かった事にして下さい!」

「なら・・・」

「はい?何ですか?」


「なら、最初からやり直すか?今から」

「は?」


 仰っている意味がわかりませんが

 と考えているとダレン様の手が私の太ももに触れた

 まさか、もう一度スカートに頭を突っ込む気か!?

 私はカッとなった


「やめて!」


  ―バシッ


 私はダレン様の頬を叩いてしまった


「信じられない・・・何なんですか?私を・・・バカにしているんですか?」

「違う」


 私は立ち上がり、寮の方向へ駆け出した

 ダレン様は驚いて固まっていた、まだ怒り収まらない私は追撃を加えた


「バーカバーカ!!変態騎士!!」


 これが私の、本日最後の会話になった


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