アッシー?
「何でこちらに・・・」
「送ろう」
「へ?」
またそれ?いい加減にしてほしい
私を何だと思っているのか
「おー!ダレンじゃないか、アマンダに入れ込んでいるそうだな」
わっはっはっと笑いながら薬草師長は言った
どうやら顔見知りのようだ
「アマンダ・・・」
小さな声でボソリとダレン様が言い、目線は相変わらず私の顔から離れない
「マシューと帰りますので、結構です!お疲れ様でした」
「アマンダ」
「はい、何ですか?」
「アマンダ」
「えっ・・・何・・・ですか?」
「アマンダ」
「は?」
「アマンダ」
「・・・・・・」
「アマンダ」
「・・・・・・」
「アマンダ」
こわっ!!
「ダレン、お前怖いぞ、名前を呼ぶのはやめろ」
薬草師長が私の気持を代弁してくれた
助かりました。呪いでも掛けられるのかと
その間も、ダレン様は私から目線を外しません
「送ろう」
また!?
私はマシューの腕を強引に組んだ
「マシュー帰りましょ?」
「えぇーー!巻き込まないでくれ~薬草師長ぉ~」
―ガシッ
ダレン様は無言でマシューの腕掴んで、私と引き離しました
「ちょっ!!」
「僕は薬草師長と帰ります~」
「何でよ?助けなさいよ!」
薬草師長はズイっと私達の間に入ってきた
「まぁまぁ落ち着け、マシューが可哀想だろ。アマンダ、ダレンとデートしてこい」
「いやっ!何故ですか!?」
「薬草師長ぉ~」
「・・・・・・」
私が可哀想ではないと!?
「こんな図体のデカイやつが扉の前に居たら、誰も通れないだろ?こいつを倒せる者もおらんしな」
「・・・確かに」
「いいなアマンダ!俺達は早く帰りたいんだ。」
「そんな・・・」
薬草師長は私の耳元でコソコソと話し始めた
(いいか、アマンダ。一回デートしてこっ酷く振ればいいんだ)
(振るも何も、まだお会いして二日目ですが・・・)
(本当か?ダレンの性格からして一目惚れは考えられんが うむ、まぁ振ってこい)
(散ってこいに聞こえましたが?もー!!)
(きっと何かアマンダに強烈な印象でも抱いたのか)
(ヒェ!!ひょんなことは、なななないですよ?)
(何慌ててる)
まさか、スカートの中に頭を突っ込まれた!なんて口が裂けても言えない
(まぁ何にせよ、俺は早く帰って嫁さんの顔が見たい!上司命令だ)
(ヒドイ・・・後でマリンスク商店のパイとケーキとクッキーと新作の紅茶三種類、あと)
(わかったわかった!!全く、しっかりしてやがる)
薬草師長は背筋を整えると、未だアマンダから目線を外さないダレン様に向かって言った
「ダレン喜べ、アマンダがデートするそうだ」
「デートではなく、お話合いです。」
「アマンダ・・・」
ダレン様は私の名前を呼ぶとふわりと笑った。こうも顔が整っていると破壊力は抜群だ
「「「笑った・・・」」」
薬草師長含め、数人の人から驚きの声があがった
ダレン様はこの話の冒頭で初めてアマンダの名前を知りました、名前を知った感動を表現しようとしたら何だか危ない奴に・・・すまんダレン様!