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襲来

 ダレン・モンティス


 公爵家の次男として生を受け、お年は35歳

 お家の力を使うことなく騎士団に入隊し、叩き上げによって副団長の地位まで上り詰めたお人。


 風になびく銀髪に、切れ長の目からのアメジストの瞳。高い身長を持ち、野獣をも思わせる見た目だが、顔つきは正しく彫刻のようだ。

 その整った容姿は王宮に留まらず、市井の女性までヒィヒィ言わせている


 しかし、ダレン様はとても寡黙で、あまり語らない方。その為に男性からの支持も得ているとか、白い意味で



 物凄く恥ずかし体験でした。

 二度とあんな思いわしたくは、ありません!


「忘れよう、そうよ!忘れましょ」


 どうせ二度と会うことはない!ならば忘れてしまえ!


 明くる日

 甘くした一杯の紅茶に、冷えきったパン

 一人で食べる朝食なんてこんなものだ


 膝下まであるワンピースにブーツ、薬草師の証であるローブを羽織る

 暑いが仕方ない。王宮では暑さよりマナーが大事なのだ


「あつい・・・」


 荷物を抱えて部屋を出て、寮をでようとして私は驚愕した

 門で仁王立ちしながらこちらを見ていたのはダレン様だった


「えっ?えっ?」


 こんな朝早くに・・・いえ違うわ・・・何故ここに!

 でも用があるのは私ではないのかも知れないし・・・

 私があわあわと考えているとダレン様は近ずいてきた


「送ろう」


「・・・は?・・・え?・・・どこへ?」


 ダレン様は私のローブを指して、指先が肩に触れた


 しまった!!

 昨日マシューの薬草師ローブを羽織っていたのだ!

 バレていたのね!まさか嘘をついた事に怒っているのでは?


「あっ!っとこれは・・・その・・・」


 肩に触れた指先がゆっくりと力強く下に降りていった

 何?触り方が・・・

 私は顔を真っ赤にさせた


 そのまま下にくると、私の手を握った

 まるで恋人とデートするみたいに


「へ?」

「送ろう」


「いえ・・・」


 下に向いていた顔を上げた、ダレン様の顔を明るい日差しの中、こんな近くで見たのは初めてだけど、心臓に悪いわね


「けっこーです!!」


 強めに発言すると、繋いでいた手を振り切ろうと大きく振った


 ブン!


 あれ?外れない


 ブン! ブン!


 もー!!何なのよ!


 ブン! ブン! ブン! ブン!


「ハァハァ・・・離してください・・・ハァ」


 呆れた面持ちでダレン様の顔を見ると彼は笑っていた。

 まるで嘲笑っているのでしょうか?悔しい


「周りに誤解されたらお困りでしょう?離してください!」

「行こう」

「だーかーら!話し聞いてます?」


 グイッと私の手を引っ張って王宮へと向かった

 薬草師の詰所までエスコートすると無言で去っていった



 そうです

 皆様の予想通りでございます


 王宮に到着するや否や、女性陣は軽い悲鳴や驚き

 男性陣、主に騎士団の方々からはヒューっと無責任な口笛が鳴り、お昼になる頃には、ダレン様が薬草使いの魔女に入れ込んでいる、魔女に変な薬草を食べさせられた、などなど嫌な憶測が蔓延していた。


「何なのよ!私が被害者なのよ?みんなしてダレン様の肩ばっかりもって!!」

「仕方ないよ~魔物の討伐でまた武勲を挙げたらしいし、僕達はただの薬草師だしね~」


 マシューの言う通りだ、昨日ダレン様が率いた騎士団が魔物を討伐して凱旋したのだ、あの酒場で飲んでいた、らしい


 それに王宮務めとはいえ、花形の騎士団に日陰の薬草師。

 ダレン様の肩を持つのは致し方ないのかもしれない


「暫く休もうかしら、有休が残っていたはず」

「アマンダは休まないからね~たまには連休を取って気持をリセットするといいよ!薬草達の見方も変わっていい方向に向かうかも知れないよ?」


「そうね・・・マシューにしてはいい意見だわ」

「してはって・・・」


「さあ!仕事は終わりだ!帰るぞ!」


「「「はーい」」」

「「「お疲れ様でした」」」


 帰りの号令を掛けたのは、薬草師長である。

 見た目こそ熊のような長身でがっしりとしているが、彼は王妃の弟、という大変高貴なお方なのだ、その恩恵で私達は有休はしっかり取れるは、定時で帰れるはと、何かと優遇されている


 寮に帰るときは大体マシューと一緒になるので、自然と私達は二人で扉に向かった


「マシュー!今日飲みに行かない?」

「うーん、今日は止めておいたほう・・・ヒャッ!!」

「なに?変な声だし・・・ヒャッ!!」


 マシューが扉を開けた、その前に仁王立ちしている人がいた。

 ダレン様である


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