衝突の出会い
勢いで書きました。後悔はしています。
世界感の設定は曖昧です
心を空っぽにして、楽しんで頂ければ幸いです。
何日も暑い日が続く季節。
朝日が昇り始めるとグングンと気温が上昇していく、この季節の夕方は忙しい。
私、アマンダは薬草師しています。
成人を迎えてから勤めている職場は王宮にある一角。
詰所は王宮内にございますが、薬草畑は王宮を出てから少し歩いた場所にある
もちろん国一番の敷地を誇る、見事な薬草畑だ。
彼此早いもので、16歳の成人を経て、薬草師の試験に合格し、意気揚々と勤めて10年。
私は見事に行き遅れとなりました
貴族といえど、下位貴族の末席に辛うじてしがみついているような私です。
もちろん家庭教師などつける余裕はなく、それはもう薬草師になる為に努力致しました。
寝る間も惜しみ、勉強勉強、そして勉強
自分自身を着飾るなんて以ての外!
なんとかストレートで合格することが出来ました
そんな充実した日々を過ごしていました。
そう
過ごしてしまったのです。
この国の女性は成人と共に婚姻を結ぶなんてのは当たり前でして、遅くても20歳を迎える頃にはみな嫁いでおります。
そんな、何もせずともワケありではないか、とされてしまった私は、26歳。
夢も見ることさえ忘れてしまいました。
今私は、この暑い季節にのみある
朝、夕と当番制になっている薬草の水やり
今日は夕方の水やりを担当になりました。
同僚と二人、魔術を使い小さな雲を作り、雨を降らせます
この魔術は王宮魔術による便利な代物で、術札を持って「雨よ」と唱えると、自身の魔力を糧に発動し、金魚のフンならぬ雲のフンとなり、ゆっくりとついて来ます。
二歳年上の男性である、同僚のマシューとせっせと水を撒いていたいました。
「マシュー…またやったわね」
「わっわわざとじゃないんだ!アマンダ!怒らないでくれ〜」
マシューは誰に対しても、誠実で優しくていい人なのですが、おっちょこちょい!なのです、もちろん悪気がないのもわかっています
ですがこれはやり過ぎよ!
「あっ足元に!毛虫がいて〜!踏んでしまいそうだったんだ!本当だよ⁈」
「嘘だったら困るわ!でもこれでは…」
水やりも終盤に入り外側から内側へお互いに遠い位置から近づき、最後に合流する。その最後にマシューは足元の毛虫に気を取られ、雲を振り回し。
私をずぶ濡れにしましたとさ…
「着替えを用意していないのよ、このまま帰るしかないわね」
「だったら僕のシャツを貸すよ!まだ一度も袖を通していないから!」
「新品なら、まぁ…お借りします」
「ああ、直ぐに持ってくるから!待ってて!」
普段は着替えを用意していたのですが、今日に限って洗濯に出してしまっていのです。
薬草師の寮まではまた少し歩くのでこの身なりでは些か恥ずかしいのです。なので独身の男性からシャツを借りるという暴挙にも目を瞑って下さいまし
しかし、この全身ずぶ濡れにされたのはこれで3回目。
これで最後にして頂きたい!切実に!
「お待たせ!シャツとローブ持ってきたよ!」
「ありがとう、小屋で着替えるわね」
「ごめんよ〜アマンダ〜片付けは僕がやっておくから、風邪ひかないように気をつけて帰ってくれ」
「そうね、風邪引きたくはないわ」
マシューに向けて抑揚なく話すと、マシューはしゅんとした。私より年上なのに何処か憎めないような可愛さがある
「アマンダ、ごめん」
「濡れてしまったのはもうしょうがないわ、次やったらもっと怒るわよ」
「もちろん!いっぱい怒って!」
違うでしょ!と言いたくなるけどこれ以上話してもラチが明かないのがマシューだ、私は薬草畑にある小屋へと向かった。
下着まで濡れてしまって、気持ちが悪い
外も暗くなってしまって、後は帰るだけ
なので、全て脱いで髪を絞って、シャツを着てローブを羽織った
マシューのローブなので足首まで隠れたのが幸いか
見た目はかなり不恰好だが、誰が見るわけでもないし、このまま帰ろ
下がスースーするのは居た堪れないけど
小屋から出ると予想通り、暗くなり王都の街並みはすっかり夜の顔をしていた
マシューには声を掛けず、そそくさと家路へと足を運んだ
もう直ぐ着く!
そこで私は気が緩んでいたのかもしれません
全く気付きませんでした。
すぐ横に人影があったのを
「キャッ!!」
「!!」
急いでいた私は、勢いをそのままに酒場から出てきた人影に思いっきりぶつかってしまった。
「いっ・・・ たー・・・ なっ!いやっ!」
ぶつかった人はどうやら男性のようですが、私を支えようとしたのか、何なのか・・・
私のむっむっ胸を鷲掴みにしていました!!
ローブの中に手が入り、薄いシャツ一枚越しに
「離して!!」
「危ない」
初めて男性に触られました!!羞恥で胸がいっぱいで顔に熱が集まっているのを感じます!!
男性を突き飛ばすように叩くと、ぶつかった体勢が悪いまま、軸を失った男性共々、二人で仲良く倒れました
そして
私のスカート中に男性の顔がスポッと収まりました。
ええ、収まりました
下着はつけていません!濡れてしまったので
「いっ!〜〜〜〜〜!!」
声にならない叫びとはこの事を指します。
男性は私のスカートから顔を出し立ち上がり、呆然とする私も立ち上がらせました
「送ろう」
綺麗な低音ボイスが響きました、今なんと?
その前に、すごくお酒臭いです
かなり酔っているようです
「いっいえ!一人でかっ帰れますので」
何とか気持ちを奮い立たせました。
立ち上がらせる為に手を取られたままなので、慌てて私は彼の手を弾きました
「送ろう」
何故か同じ言葉、キチンとお断りしようと顔を見上げるとなんとその男性は我らが誇る、騎士団の副団長、その名もダレン・モンティス様その人でした
驚きを顔に出さなかったのを褒めて頂きたい!
「結構です!」
突き放すように言い放ち、私は寮に向かって足早に向かった
タッタッタッ
ザッザッザ
足音が・・・着いてきてる?
ダレン様?同じ方向なのかしら
寮の一つ手前にある、別のアパートメントの入口で足を止めて、振り返った
無表情のまま、ダレン様も歩みを止めていた
ダレン様のお住いがこのアパートメントではないのは知っています
王宮務めの女性陣がキャァキャァ言っていたので・・・
「着きましたので」
「送ろう」
聞いていました?今着いたと言ったのに、まさか部屋まで着いてくるつもりなの?
送られた事のない私は戸惑った、どれが一般的なのか分からない
「いえ、着きました!さようなら」
私は隣のアパートメントに入っていった
きっと一介の薬草師の顔なんて知らないだろうから、寮に入れば私が薬草師だとバレてしまうと思ったのだ
外側についている階段に上がって振り返ると
ダレン様はまた無表情のままこちらを見ていた
何なの?部屋に入るまでが送るという意味だったのね
間違えたわ!
でも入る家はなし、私は息を大きく吸った
「もう結構です!!お帰りください!!」
ダレン様と暫くの睨み合いの末、ゆっくりと帰って行きました
「何なのよ・・・」
周りを見渡して、アパートメントの裏口から出て寮の裏口から入り、やっとの思いで帰宅することが出来ました